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1万円台と、第3世代Ryzenの“コスパの良さ”を活かせる、ASUSのTUFマザー2製品を徹底検証
~12コアのRyzen 9 3900Xも安定動作
- 提供:
- ASUS JAPAN株式会社
2019年8月9日 11:00
第3世代Ryzenと共に登場したAMD X570チップセットは、PCIe 4.0を正式にサポートする唯一のSocket AM4向けチップセットであり、第3世代Ryzenの機能をフルに活用したいユーザーにとっては唯一無二の選択肢となっている。
しかし、ハイエンドチップセットであるX570を搭載したマザーボードの多くは高価だ。絶対性能や機能に期待するユーザーには問題にならないが、コストパフォーマンスを優先したいユーザーにとって、高価なX570マザーボードは第3世代Ryzenの魅力を損ないかねない。
そこで今回、コストパフォーマンスを重視するユーザーにお勧めできるマザーボードとして、ASUS TUF GAMINGシリーズのAMD B450チップセット搭載マザーボード「TUF B450-PRO GAMING」と「TUF B450M-PRO GAMING」を紹介する。PCIe 4.0が使えないという不利はあるが、1万円と少々で買える低価格と、第3世代Ryzenの12コアCPUでも安心して使える堅牢な設計が魅力のマザーボードだ。
高耐久ゲーミングブランド「TUF GAMINGシリーズ」のAMD B450マザーボード
今回紹介するのは、ASUS製のATXマザーボード「TUF B450-PRO GAMING」と、microATXマザーボード「TUF B450M-PRO GAMING」の2製品。
いずれもASUSの高耐久ゲーミングブランド「TUF GAMING」に属する製品で、AMDのメインストリーム向けチップセットのB450を搭載したSocket AM4対応マザーボードだ。両製品は2019年3月以降に発売された新しい製品であり、実売価格はATXモデルが1.1~1.3万円前後、microATXモデルは1~1.2万円前後で販売されている。
ASUSのTUF GAMINGシリーズは、高耐久にフォーカスしたメインストリームクラスの製品に与えられるブランドであり、同シリーズのマザーボード製品は、耐久性に優れた部品群である「TUFコンポーネント」を採用することで、高負荷での長時間動作を強いられるゲーミングシーンでもシステムの安定性を確保している。
また、ASUSは他社製品とTUF GAMINGシリーズでコラボレーションする「TUFゲーミングアライアンス」を展開しており、同アライアンスに基づくCPUクーラーやメモリ、電源ユニットなどが登場している。ユーザーはTUFゲーミングアライアンス製品を組み合わせることで、統一されたデザインのゲーミングPCを手軽に構築できる。
ATXマザーボード「TUF B450-PRO GAMING」の外観をチェック
まずはATXマザーボードの「TUF B450-PRO GAMING」の外観からチェックしてみよう。
ATXフォームファクターを採用するTUF B450-PRO GAMINGの基板サイズは305×244mmの標準サイズ。ケース固定用のねじ穴も一般的な9カ所に備えている。
CPUソケット付近で目を引くのが、大型のヒートシンクを搭載したVRMだ。1万円前半のマザーボードのVRM冷却用のヒートシンクとしては相当に立派なヒートシンクで、MOSFETに加えチョークコイルも冷却する仕様となっている。
ASUS独自のデジタルPWMコントローラ「ASP1106」を搭載したVRMには、10個のチョークコイルが並んでいる。ただしドライバICは合計6基であり、電源回路のフェーズ数に関しては4+2フェーズという構成のようだ。
メモリスロットは片ラッチタイプのDDR4メモリスロットを4本搭載。DDR4-3533までのOCメモリと、合計64GBまでのメモリ容量をサポートしている。
拡張スロットの構成は、CPU直結のPCIe x16スロット×1基、チップセット接続のPCIe x16スロット(PCIe x4接続)×1基、PCIe x1スロット×3基。CPU直結スロットはPCIe 3.0をサポートするが、チップセット接続のスロットはPCIe 2.0での接続となる。
TUF B450-PRO GAMINGは2基のM.2スロットを備えている。CPUに近い1番スロットはCPUに直結されており、M.2 2210サイズまでのM.2 SSDを、PCIe 3.0 x4またはSATA 6Gbpsで接続できる。2番スロットはチップセットに接続されており、M.2 2280サイズまでのM.2 SSDを搭載できるが、接続インターフェイスはPCIe 2.0 x4のみとなっている。
ストレージ用のSATA 6Gbpsポートは合計6基。1~4番ポートはチップセット接続で、5~6番ポートはCPUに直結されている。なお、CPU接続の5~6番ポートはCPU直結M.2スロットと帯域を共有しているため、同時使用には制限が生じる。
バックパネル部分にはTUF GAMINGロゴ入りの樹脂製カバーを装備。背面インターフェイスには各種USBポートやGigabit Ethernetのほか、APU利用時の画面出力ポートとしてHDMI 2.0bとDVI-Dを備えている。
Gigabit Ethernetには、落雷や静電気からマザーボードを保護する「TUF LANGuard」を搭載。NICにはRealtekの「RTL8111H」を採用した。Realtek ALC S1200Aコーデックを搭載したサウンド回路には、分離設計やオーディオ向けコンデンサを採用し、ライン出力で108dBのSN比を実現している。
microATXマザーボード「TUF B450M-PRO GAMING」の外観をチェック
続いてmicroATXマザーボード「TUF B450M-PRO GAMING」の外観をチェックする。
TUF B450M-PRO GAMINGの基板サイズは244×244mmであり、microATXフォームファクタのフルサイズ仕様だ。ケース固定用のねじ穴も8カ所に備えている。
VRMにはATXモデルと同形状の冷却用ヒートシンクを搭載。PWMコントローラに「ASP1106」を搭載した4+2フェーズのVRMは部品構成もATXモデルと変わりなく、VRMの仕様に関しては、ATXモデルとmicroATXモデルは同等であると考えてよさそうだ。
片ラッチタイプのDDR4メモリスロットを4本備え、DDR4-3533までのOCメモリと、合計64GBまでのメモリ容量をサポートする。
拡張スロットの構成は、CPUに直結された金属補強スロット「ASUS SafeSlot」仕様のPCIe x16スロット×1基と、チップセット接続のPCIe x16スロット(PCIe x4接続)×1基、PCIe x1スロット×1基。CPU直結スロットはPCIe 3.0、チップセット接続スロットはPCIe 2.0までのサポートとなっている。
M.2スロットは、PCIe 3.0 x4とSATA 6Gbps対応のCPU直結の1番スロットと、PCIe 2.0 x4とSATA 6Gbps対応のチップセット接続の2番スロットの計2基を搭載。両スロットとも搭載可能なカードサイズは最大M.2 2280。
TUF B450M-PRO GAMINGが備えるSATA 6Gbpsポートは合計6基。ただし、チップセット接続の1~4番ポートのうち3~4番はチップセット接続のM.2の2番スロットと排他利用で、CPU直結の5~6番ポートはM.2の1番スロットと排他利用となっている。
背面パネル部分には、ATXモデルと同じTUF GAMINGロゴ入りの樹脂製カバーを装備。背面インターフェイスはUSBポートの数がATXモデルと異なるが、こちらも4K/60p出力が可能な画面出力ポートのHDMI 2.0bを備えている。
有線LANやサウンド機能もATXモデルと同等で、TUF LANGuardを備えるGigabit Ethernetや、ライン出力で108dBのSN比を実現するRealtek ALC S1200Aコーデック採用サウンド回路を搭載している。
12コアのRyzen 9 3900Xを問題なく使えるVRMを搭載、高負荷動作時のVRMヒートシンクの温度をサーモグラフィでチェック
TUF B450-PRO GAMINGとTUF B450M-PRO GAMING共通の特徴が、大型のヒートシンクを搭載したVRMだ。フェーズ数自体が多いというわけではないが、放熱面積と熱容量が大きなヒートシンクの採用は、VRM回路全体の温度上昇を抑制し、高発熱CPUの連続した高負荷動作に対しても安定して電力を供給できる。
実際のVRM用ヒートシンクの放熱性能がどれほどのものなのか、ATXモデルのTUF B450-PRO GAMINGに12コアCPUの「Ryzen 9 3900X」を搭載して高負荷動作させたさいのヒートシンク温度を、サーモグラフィで確認してみよう。
テストでは室温27℃の環境下で、Ryzen 9 3900Xを搭載したTUF B450-PRO GAMINGにて、OCCT 5.3.1のストレステスト「CPU:Linpack」を実行。テスト前、10分経過時点、20分経過時点の3つのポイントでサーモグラフィ画像を取得する。
なお、CPUクーラーにはRyzen 9 3900X付属の「Wraith Prism」を静音重視のLモードで利用している。負荷実行中のファンスピードは約2,800rpmで、CPU温度は85℃前後で推移していた。
まずはOCCTでストレステストを実行する前の時点で撮影したサーモグラフィ画像だ。ヒートシンク各部の温度は39.1~40.3℃を記録している。
次はストレステストを開始してから10分が経過時点のサーモグラフィ画像だ。ヒートシンク各部の温度は45.1~49.6℃に上昇している。このさい、もっとも高温になっている基板部分は約59℃程度だった。
最後がストレステスト開始から20分経過時点で撮影したサーモグラフィ画像だ。
ヒートシンク温度は44.8~49.4℃で、10分経過時点からほとんど変化していない。基板部分の温度も約59℃で変化しておらず、今回の条件ではこの程度の温度で安定するようだ。Ryzen 9 3900Xが電力リミット付近の145Wもの電力を消費していることを考えれば、かなり優秀な結果と言って良いだろう。
高度なファン制御を提供する「Fan Xpert」
冷却ファン制御機能である「Fan Xpert」は、ASUSのマザーボードユーティリティである「AI Suite 3」が提供する機能の1つ。ATXモデルのTUF B450-PRO GAMINGでは「Fan Xpert 4 Core」、microATXモデルの「Fan Xpert 2+」が利用できる。
ATXモデルとmicroATXモデルで利用できるFan Xpertの名称は異なるが、UIやできることに大きな違いはない。
AI Suite 3上でFan Xpertを起動し、最初に「ファンの調整」を実行すると、自動で各ファンの制御可能な範囲と回転数の検出作業が実行され、自動的にファン制御の設定が適用される。その後は、Fan Xpertが検出したファンの特性を参照しながら冷却ファンの制御設定を手動で調整することが可能だ。
今回のマザーボードでは、任意の温度でケースファンを自動停止してセミファンレス運用する機能や、ファン回転数の変化を緩やかに行なう「Fan Smoothing up/down time」の設定などが行なえる。
また、GeForce GTX 700シリーズ以降のGPUを搭載したASUS製ビデオカードと組み合わせている場合、ファン制御の基準温度としてGPU温度を利用することもできる。
CPUよりもGPUに負荷が集中しがちなゲーミングPCでは、ケースファンの制御をGPU温度基準にしたほうがケース内温度を適切に保てる場合が多いので、GPU温度基準でケースファンを制御できるFan Xpertの存在は、ASUS製ビデオカードとの組み合わせでゲーミングPCを構築するメリットの1つとなるだろう。
RGB LEDイルミネーション機能「Aura Sync」に対応
TUF B450-PRO GAMINGとTUF B450M-PRO GAMINGは、ASUSのRGB LEDイルミネーション機能「Aura Sync」に対応している。
1万円前半という低価格製品であるため、マザーボード自体に搭載されたRGB LEDは、基板端のTUF GAMINGロゴ部分のみと控えめだが、両マザーボードとも2系統の4ピンRGB LEDヘッダーを備えており、同ヘッダーを介して周辺機器のRGB LEDを制御できるほか、Aura Syncに対応した他社製品と同期発光させることも可能だ。
マザーボード自体も多数のRGB LEDを搭載したモデルほど高機能ではないが、RGB LEDヘッダーやAura Sync対応機器、あるいはTUFゲーミングアライアンス製品を選ぶことで、見た目にも凝った自作PCを楽しむことができそうだ。
そのほかのB450搭載製品
ASUSでは、これ以外にもAMD B450チップセット搭載マザーボードを多数ラインナップしているので、ここでその一部を簡単に紹介しておく。気になる製品があったら、こちらも同社サイトにてチェックしてもらいたい。ASUS TUFシリーズは、デザイン的に優れるほか、ヒートシンクの面積、チョーク、その他の電源設計コンポーネントなど、同じセグメントの他のマザーボードに比べて上位レベルにあると言っていいだろう。
第3世代Ryzenのコストパフォーマンスを活かした自作に好適なB450マザーボード
今回紹介したTUF B450-PRO GAMINGとTUF B450M-PRO GAMINGは、どちらも冷却が強化されたVRMを備えた、最新設計のB450チップセット搭載マザーボードであり、Ryzen 9 3900Xのパワーリミット限界クラスの電力消費でも、安定した動作を実現できる実力を備えている。
最上位のRyzen 9 3900Xが問題ないということは、第3世代Ryzenのどのモデルでも十分にCPU性能を発揮できるということだ。第3世代Ryzenの優れたCPU性能とコストパフォーマンスに魅力を感じているユーザーにとって、1万円と少々で購入できる両製品は、CPUのコストパフォーマンスの良さを損なわないマザーボードとして、有力な選択肢となるはずだ。