レビュー

クラウドゲーミング「GeForce NOW」で「モンスターハンターライズ」を快適に遊べるのか試してみた

「モンスターハンターライズ」がクラウドゲーミングで動く

 NVIDIAのクラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」において、カプコンのハンティングアクション「モンスターハンターライズ」が対応すると発表された。

 「GeForce NOW」は、NVIDIAのサーバーでPCゲームを動かし、映像をストリーミングビデオとしてユーザーに送信、ユーザーの操作情報をインターネット経由で受信することで、ゲームのプレイ環境を提供する。

 同種のクラウドゲーミングサービスはほかにもあるが、NVIDIAは「GeForce NOW」の優位性として、低遅延であることや、GeForce RTXシリーズが持つリアルタイムレイトレーシングなどの高度な処理にも対応していることを挙げている。またクラウドゲーミングの仕組み上、ユーザー側の機器はストリーミングビデオを再生できる程度の性能があればよく、PCのみならずスマートフォンなどでも利用できるのが利点だ。

 今回、NVIDIAの協力により「GeForce NOW」で動作する「モンスターハンターライズ」を先行体験する機会が得られたのでレポートする。

「GeForce NOW」の利用登録と、Steamのゲーム本体が必要

 「GeForce NOW」で「モンスターハンターライズ」を利用するには、大きく2つの手順が必要になる。

 まず最初に「GeForce NOW」を利用するためのユーザーアカウントを作成する。「GeForce NOW」は国内ではソフトバンクとauの2社がサービスを提供しているが、今回はソフトバンクのサービスを例に説明する。

 アカウント作成は、「GeForce NOW Powered by SoftBank」のホームページの右上にある「マイページログイン」から。ログイン画面が表示されるが、下部にある「アカウントをお持ちでない方」をクリックすると、メールアドレスの入力を促される。後は入力したメールアドレスに届くメールの指示に従い、「GeForce NOW」アプリをインストールする。

「GeForce NOW Powered by SoftBank」のホームページ。右上にある「マイページログイン」をクリック
ログイン画面で下部にある「アカウントをお持ちでない方」をクリック
新規仮登録の画面でメールアドレスを入力。あとはメールの指示に従う

 「GeForce NOW Powered by SoftBank」では、無料で利用できるフリープランと、月額1,980円のプレミアムプランが用意されている。フリープランではサーバー混雑時に順番待ちが発生する、連続プレイ時間が最大1時間に限定、RTXの機能が使えないという制約がある。最初はフリープランで試してみて、良さそうだと思ったらプレミアムプランに切り替えるのがいいだろう。

フリープランとプレミアムプランの比較。フリープランでも1時間はしっかりプレイできる

 今回のレポートではプレミアムプランを使用した。時間を変えて何度か利用したところ、サーバーの混雑で待ち時間が発生することもなく、いつでもすぐにプレイできた。

 もう1つの手順は、Steamで「モンスターハンターライズ」を購入しておくこと。「GeForce NOW」はサービス利用料にゲームの利用料は含まれておらず、Steamなどのアカウントを接続することでゲームをプレイできる。これはフリープランであろうとプレミアムプランであろうと同じだ。

 既に「モンスターハンターライズ」や、拡張コンテンツの「モンスターハンターライズ:サンブレイク」をSteamで所有していれば、「GeForce NOW」のために改めて購入する必要はない。購入済みのSteamアカウントを接続すれば利用できる。Steamを通してセーブデータも共有されるので、ローカルプレイと「GeForce NOW」の使い分けも可能だ。

ゲームは別で用意する必要がある。今回はSteamの「モンスターハンターライズ」を使用

遅延はごくわずか。ゲーム設計で遅延を吸収する部分も

 では、「GeForce NOW」上で動く「モンスターハンターライズ」のレポートに入ろう。読者の皆様が最も気になるのは、「操作に遅延はあるのか」だろう。あくまで筆者の体感ではあるが、数時間プレイした試した感覚をお伝えしたい。

 筆者宅と「GeForce NOW」のサーバー間の通信状態は、「GeForec NOW」のネットワークテストのデータとして、遅延(おそらくPingのこと)が3ms、パケットロスは0.0%、バンド幅は50Mbps以上。測定したのは22時前後だったが、筆者宅のインターネット回線と「GeForce NOW」のサーバーの両方に混雑はなく、クラウドゲーミングには理想的な環境と言える。

筆者宅では「GeForce NOW」のサーバーとの遅延が3msとかなり高速だった

 まず「GeForce NOW」から普通にプレイしてみたところ、操作の反応に対しては特に違和感はなかった。メニューの選択の反応を意識して確認すると、ほんのわずかに遅れているような気がするという程度。筆者は以前リモートプレイツールの「Steam Link」で操作遅延を測定し、およそ50ms(60fpsなら3フレーム相当)の遅延があったのだが、その時と比べて遅延は少ないと感じた。

メニュー操作で遅延の有無に注意を向けると、わずかにあるようなないような……

 実際にモンスターの狩りに出ている時も、攻撃やガードが遅れたという感覚はまったくなく、筆者が思った通りの操作ができている。「ローカルプレイなら間に合ったのに!」といった違和感を覚えたことは一度もなかった。

狩りは快適そのもので何の違和感もない

 この遅延の少なさについて考察すると、2つの要因が考えられる。1つは「GeForce NOW」のサービスの品質の高さだ。メニュー操作のような場面で、見た目と操作感のズレがほとんどないというのは、サービス自体の質がいいというしかない。ユーザーのインターネット環境の品質やサーバーとの距離にもよるが、筆者宅のように好条件が整えば十分な品質が確保できると言える。

 もう1つはゲーム側の設計だ。そもそも「モンスターハンター」というゲーム自体、一瞬の反応速度を求めるゲームではない。攻撃などの行動には操作を受け付けなくなる硬直時間が設定されているので、攻撃から防御や回避への切り替えには一定の時間がかかる。モンスターの予備動作を見極めて、次の動きを準備しておくのが攻略の肝だ。

 これはモンスターとの駆け引きを生むためという、ゲームの面白さに繋がる側面もあるのだが、タイムラグの影響を小さくするという意味もある。本作はオンラインプレイを想定した作品で、プレイヤー間で若干のタイムラグがあってもゲームに致命的な問題を起こさないことが重要だ。長めの硬直時間はネットワークの遅延を吸収し、ユーザーにタイムラグを感じさせないようにできる余地になる。

プレイヤーにとっては歯がゆさもある長い硬直時間は、遅延を吸収、あるいは気になりづらくする要素でもある

 つまり本作は、FPSや格闘ゲームのように1フレーム単位が致命傷になるようなゲームではない。よってゲーム自体がクラウドゲーミングに向いていると言える。

 これらを総合すると、「GeForce NOW」における「モンスターハンターライズ」では、操作の違和感が出にくいと理解できる。もちろん、「GeForce NOW」がクラウドゲーミングサービスとして低遅延であることは確かで、そこは素直に評価できる。

画質の劣化は見ても分からない程度

 クラウドゲーミングでもう1つ気になるのが画質だ。ストリーミングで映像を送るということは、映像を圧縮して送信することになるため、大なり小なり画質の劣化は免れない。

 画質に関しては「GeForce NOW」アプリの設定にある「ストリーミング品質」を確認しておきたい。ストリーミングに使用するデータ使用量を調整するもので、「バランス」に選択すると可能な限り高い画質とゲームプレイを実現するとしている。ほかの項目はデータ使用量を絞るための設定となるため、通信速度が十分ならば「バランス」を選ぶといい。データ使用量はプレイ内容によっても異なるが、1時間当たり約10GBとされている。

ストリーミング品質は「バランス」を選んでおけば間違いない

 PCから「GeForce NOW」の「モンスターハンターライズ」を動かしてみると、解像度の設定はフルHD(1,920×1,080ドット)が最大だった。ローカルプレイだと4K(3,840×2,160ドット)も選べるが、PC向けの「GeForce NOW」の最高解像度がフルHDまたはWUXGA(1,920×1,200ドット)となっているようだ。

「GeForce NOW」アプリで設定できる解像度はフルHDまたはWUXGAまでだった

 「モンスターハンターライズ」のゲーム上の映像設定では、映像品質を設定する「グラフィックス設定」の項目を調整できた。初期状態では「中」だったが、「高」にしておく。また「NVIDIA DLSS」もオン/オフの切り替えが可能だ(RTXが使えるプレミアムプランだけかもしれない)。今回は画質を正確に見たいので、DLSSは使用しない。

「GeForce NOW」上の「モンスターハンターライズ」でも画質設定が可能

 さて、実際のゲームプレイで画質に目を向けてみたところ、こちらも全く違和感がなかった。動きの少ないシーンで気にならないのは予想どおりだが、戦闘中に強いエフェクトが発生した時や、カメラを大きく回転させた時など、映像の変化が多いシーンでも気になることがなかった。

激しい戦いの中のエフェクトも美しく表示されている

 3Dゲームで視界を回した時にはストリーミング映像は大きく乱れやすいのだが、意図的にそういう場面を作ってチェックしても、やはり特に気にならない。ブロックノイズが目立つとか、ぼやけた感じになるとかいう変化は当然あるだろうと思っていたのだが、全然問題を感じない。少なくともゲームプレイに悪影響を及ぼしたような感覚は全くない。

 そこでローカルプレイで画質設定を揃えた上で、同じシーンを比較してみた。屋根の模様などの細かい部分や、文字の輪郭などが、ローカルプレイの方が若干ながらシャープに見える。

 ただしこれは静止画で比較してようやく少し違いがあるかなと感じる程度。実際のゲームプレイにおいて差を実感できる人はかなり少ないと思う。

「GeForce NOW」上の画面
映像設定を合わせたローカルプレイの画面

「GeForce NOW」ならゲーミングPCがなくても最新のPCゲームが遊べる

 一通り「GeForce NOW」上で「モンスターハンターライズ」をプレイしてみて、この品質ならローカルプレイの代わりとして使っていきたいと感じた。操作感と画質ともに、「GeForce NOW」でプレイしているんだと前置きされなければ、ほとんどの人は自分がクラウドゲーミングで遊んでいることに気づきもしないはずだ。

 ローカルに十分な性能のゲーミングPCがあり、そこでしかゲームをプレイしないのであれば、「GeForce NOW」を利用する価値はない。しかしゲーミングPCがない場所で、非力なノートPCやスマートフォンなどを用いても同様のゲーム体験ができるのであれば、これは大いに活用する価値がある。

 あるいは高価なゲーミングPCは持っておらず、普通のPCやスマートフォンしかないが、PCゲームをプレイしたいという人にはうってつけだ。1台で何十万円とするゲーミングPCを買うことなく、ゲームプレイに十分な環境を整えられる。

 オンラインゲームでは、プラットフォーム間のクロスプレイができないものも多い。「モンスターハンターライズ」もそうだが、同じゲームがPCとPlayStation 5で出ていても、クロスプレイができないため一緒に遊べないということはよくある。PC版で遊んでいる友人と遊びたいとなれば、自分もPC版が要る。そんな時に、必要な時だけレンタル気分で使える「GeForce NOW」はとても重宝するだろう。

 月額1,980円のサブスクリプションで、ゲーム代は別……などと言われると、反射的に拒否反応が出てしまう人も多いとは思うが、使いどころを見極めれば格安でハイエンドなPCゲームをプレイできる環境を整えられるサービスだ。幸いなことに無料で使えるフリープランもあるので、ぜひ気軽にお試しいただきたい。

スマートフォン用の「GeForce NOW」アプリを使えば、「モンスターハンターライズ」も動かせる。バーチャルパッドも使えるが、ゲームパッドはほぼ必須