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擬似ノイズでクラウドゲームの遅延を抑える技術。MicrosoftとMITが開発

 Microsoftマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、MIT)は31日(米国時間)、クラウドゲームにおける映像や音声といった、ストリーム同士で起きる遅延の差を擬似的なノイズで抑制する同期技術「Ekho」を開発した。

 クラウドゲームでは、映像、音声、触覚フィードバックなどのストリームが1つのソースから複数のデバイスに送られる。だが多くの場合、各デバイスは個別のネットワークで動作しており、互いが同期していないため、ストリーム同士で遅延が発生してしまう。

 この対策として、サーバーからデバイスへPingを送って、応答が返ってくるまでの時間を測り、それを半分にすることでネットワーク遅延を計算して抑制する手法が広く用いられている。しかし、数百msの誤差が生じる場合があり、信頼性が低いのが問題だった。

 今回開発したEkhoでは、まずゲーム音に擬似ノイズを追加してからプレイヤーに送信する。擬似ノイズは人間に聞こえない程度の小さな音量のホワイトノイズシーケンスで、データ転送時の圧縮への耐性も持つ。

 プレイヤー側では、コントローラのマイクがゲーム音を収録し、この擬似ノイズを検知してストリーム同士の遅延を算出。ゲーム音声をスキップしたり遅らせたりすることで、遅延を抑制する。

 実験の結果、品質の悪いマイクを使ったり、マイクが周囲の背景ノイズを拾った場合でも、ほかの同期方法より優れた結果が得られたという。また、ストリーム中の約87%の時間においてストリーム間の遅延を10ms未満に抑えられたという。

 両社では、1つの画面に5台のコントローラを同期するといったより複雑な場合や、コンサートホールのような巨大な空間でデバイスを同期するといった用途も検討しており、クラウドゲームだけでなくARやVRなど、あらゆるマルチデバイスストリーミングにおいて応用できる可能性があるとしている。