レビュー

WQHD解像度10bit対応で3万円台のViewSonic製31.5型液晶「VX3276-2K-MHD-7」

~情報量が多くて、文字も見やすく、心地よい作業が可能

ViewSonic 「VX3276-2K-MHD-7」

 ViewSonicから登場した31.5型液晶ディスプレイ「VX3276-2K-MHD-7」。WQHD(2,560×1,440ドット)とフルHD超の表示解像度を備える31.5型10bitカラー対応IPS液晶を採用しつつ、実売33,800円前後と安価な価格を実現する、コストパフォーマンスに優れる製品となっている。今回、実際にVX3276-2K-MHD-7を試用する機会を得たので、その魅力に迫ってみたいと思う。

超狭額縁ベゼルで、大型パネル採用ながら省スペース

 VX3276-2K-MHD-7は、表示解像度がWQHD(2,560×1,440ドット)に対応する31.5型の大型パネルを採用した液晶ディスプレイだ。大型のパネルを採用しているため、サイズは712.89×230×503.87mm(幅×奥行き×高さ)と、かなり存在感のある大きさだ。それでも、パネルのサイズを考えるとまずまずコンパクトとなっている。その大きな要因となっているのが、液晶ベゼルが極限まで狭められている部分だ。

左側面
背面
右側面

 上部と左右のベゼル幅は、本体フレーム部が約2mm、表示領域からフレームまでが約5mm、合計でも約7mmしかない。また、下部のベゼル幅も約17mmに抑えられている。ディスプレイのサイズを考えると圧倒的な狭額縁仕様で、目の前にPCの映像が浮かび上がっているように感じるほどだ。このため、デスクの上に置いてもパネルの大きさの割には圧迫感がなく、すっきりと設置できる印象だ。

 また、ディスプレイ部の奥行きも最厚部で38.2mm、上部はわずか6.5mmほどしかない。そして、ディスプレイ部のみの重量は約5.6kgと、液晶アームへの取り付けも全く問題のない軽さで、100×100mmのVESAマウントにも対応。液晶アームに取り付けることで、さらなる省スペース性を追求できそうだ。もちろん、付属スタンドも奥行きが230mmと十分にコンパクトで、液晶アームを使わなくても十分省スペースに利用できる。

 付属スタンドは、下4度から上15度の範囲内でチルト角度調節が可能だが、高さ調節やスイーベル機構などは備えない。このあたりはコストダウンの影響と考えられるが、実際に試用したところでも、チルト角度調節ができれば十分快適な利用が可能だったため、それほど大きな問題とはならないはずだ。よりフレキシブルな使い方を求めるならば、液晶アームの利用を考慮すればよさそうだ。

チルト角度は、下4度、上15度の範囲内で調節可能
付属スタンド。形状は三角形で、本体をしっかりと支える
上部と左右側面のベゼルが極限まで狭められた、超狭額縁仕様となっており、31.5型という大型パネル採用ながら比較的コンパクトなサイズを実現
上部と左右は、表示領域から側面までわずか7mmほどしかない

WQHD表示対応で広大な作業領域を確保し、等倍表示でも文字が見やすく、発色も鮮やか

 冒頭でも紹介しているように、VX3276-2K-MHD-7ではWQHD表示対応の31.5型液晶パネルを採用している。パネルの種類はIPSで、視野角は上下左右とも178度と十分な広さを確保。大きく視点を動かすと、わずかに輝度ムラを感じるものの、通常の利用時には視点が大きく動くことはなく、ほぼ気になることはないだろう。パネル表面はアンチグレア処理となっており、外光の映り込みが少ない。

WQHD表示対応の31.5型IPSパネルを採用。視野角は十分に広く、色ムラや輝度ムラもほとんど感じられない

 表示解像度はWQHDということで、フルHD(1,920×1,080ドット)よりも広大な作業領域を確保でき、快適な作業が可能となる。ExcelやWordを同時に利用するなど、複数のアプリを開いて利用する場合でも、それぞれに十分な領域を確保でき、作業効率を高められる。

 31.5型というサイズを考えると、表示解像度はもう少し高くてもよかったのでは、と思う人もいるかもしれない。確かに、30型超のディスプレイでは、4K(3,840×2,160ドット)以上の表示解像度を備える製品が多いのも事実だ。ただ、4K以上の表示解像度となると、表示される文字サイズがかなり小さくなり、視認性が落ちてしまう。それに対しVX3276-2K-MHD-7では、文字サイズが大きくなり、小さな文字の視認性も申し分ない。

 実際に、Excelファイルを全画面表示してみたが、フォントサイズが11ポイントでも漢字は3mmほどのサイズとなり、見やすかった。31.5型のWQHD表示対応パネルは、実際の利用を考えると、ちょうどいいサイズと表示解像度だろう。

 ちなみに、31.5型WQHDパネルの画素ピッチは0.273mmと、23.8型フルHD(1,920×1,080ドット)パネルの画素ピッチ(0.2745mm)とほとんど同じだ。つまり、23.8型フルHD液晶ディスプレイと同等の視認性が確保できるということになる。この点からも、31.5型でWQHD表示という仕様は、理にかなっていると感じる。

表示解像度はフルHD超のWQHDのため、複数のアプリを同時利用する場合でも双方に十分な領域を確保でき、快適に作業を行なえる
Excelでフォントサイズが11ポイントでも漢字は3mmほどの大きさとなり、視認性は抜群だ
13.3型フルHD液晶搭載のノートPCとの比較。サイズに余裕があるのはもちろん、表示領域も広いことが一目瞭然だ
当然ながら、表示される文字の見やすさも圧倒している
Webページも2ページを並べて余裕で表示可能だ

 そして、VX3276-2K-MHD-7の表示映像を見て感じるのが、発色が非常に鮮やかで、色のグラデーションも非常に滑らかに表示されているという点だ。これは、VX3276-2K-MHD-7がViewSonic独自技術「SuperClear画像補正技術」を採用しているからだろう。

 SuperClear画像補正技術では、採用する液晶パネルの特性を校正し、その特性に合わせた画像補正を行なうことによって、優れた色再現性や広色域を実現するとともに、優れたコントラスト比も実現。具体的な表示色域性能については非公開だが、実際にデジタルカメラで撮影した画像を表示しても、鮮やかな発色や明暗のコントラストも非常にメリハリがあり、ひと目で表示品質が十分に優れていると感じる。

ViewSonic独自技術「SuperClear画像補正技術」の搭載によって、鮮やかな発色と滑らかなグラデーションを実現。コントラストも高く、3万円台前半の価格帯とは思えない優れた表示品質だ

 このサイズで3万円台前半という価格帯の製品としては、トップクラスの表示品質を備えていると言っていいだろう。

応答速度も十分に高速で、ゲームも残像などを感じることなく快適にプレイ可能だった

豊富な映像入力端子を備える

 映像入力端子は、DisplayPort 1.2×1系統、Mini DisplayPort 1.2×1系統、HDMI 1.4×2系統と全4系統を備える。入力端子数は十分に豊富で、PCだけでなくAV機器やゲーム機なども接続して利用できる。また、本体には2W+2Wのステレオスピーカーも内蔵。音質はまずまずといったところだが、HDMI経由で入力された音声を再生できるため、ゲーム機などの接続時には役立つだろう。また、音声出力端子も備えるため、外部スピーカーの利用も問題ない。

映像入力端子は、、DisplayPort 1.2×1系統、Mini DisplayPort 1.2×1系統、HDMI 1.4×2系統と全4系統を用意。この他、音声出力端子もある

 電源ボタンやOSD操作用のボタンは、本体右側面付近の後方に用意されている。ボタンは全部で6個あり、上から5つがOSD操作用ボタンで、一番下が電源ボタンとなる。

本体右背面に、OSD操作用のボタンや電源ボタンを配置

 表示モードの切り替え機能として「Viewモード」という機能が用意されており、ボタンを押すことで呼び出せる。Viewモードには、ゲーム、映画、ウェブ、テキスト、モノクロ、Macと6種類のプリセット表示モードも用意されており、利用シーンに応じて手軽に切り替えて利用できる。また、ゲームモードでは、プリセットが4種類とカスタムが3種類あり、カスタムではユーザーがプレイするゲームに合わせて自由に表示モードを登録できる。

 このほか、OSDでは輝度やコントラストの調節、色温度、RGBの色調整など、基本的な機能を網羅している。プロクラスの製品のような高度な調整は行なえないが、このクラスの製品としては申し分ない機能を備えていると言っていいだろう。

 ところで、正面からは操作用のボタンが見えないため、基本的には手探りでの操作となる。OSD操作時には、画面に操作ガイドも表示されるが、ボタンが見えないため誤操作してしまうことも何度かあった。また、OSD操作用のボタンと並んで、電源ボタンが間隔を開けずに置かれている点も少々気になった。OSDはそれほど頻繁に操作するわけではないが、多少の慣れは必要そうだ。

OSDのメインメニュー
中央4個のボタンのいずれかを押すと、このようなサブメニューが表示され、表示モードの変更、コントラストや輝度の調節、入力切り替えに直接アクセスできる
表示モードは、ゲームや映画、ウェブなど6種類が登録されており、用途に応じた最適な表示環境を簡単に設定できる
ゲームモードでは、3種類のカスタムモードが用意され、ユーザーが自由に表示設定を登録できる
OSDで設定できる項目は、コントラストや輝度、色温度、RGB色調節など、このクラスの液晶ディスプレイとして必要なものを網羅している

サイズ、解像度、表示品質など、さまざまな面でちょうどいい心地よさを実現

 VX3276-2K-MHD-7は、31.5型と大型サイズでWQHD表示をサポートし、滑らかな発色など表示品質も申し分なく、非常に完成度の高い液晶ディスプレイに仕上がっている。10bitカラー対応なので、対応するビデオカードとアプリを使えば、写真編集などでさらに威力を発揮する。

 一般的なサイズの液晶ディスプレイに比べると大きいが、WQHDという表示解像度のため、23.8型フルHDディスプレイ同等の視認性で利用できる。実際の使用感覚は、大きすぎず小さすぎず、ちょうどいい表示環境が実現できるという印象で快適だ。

 写真などのレタッチ作業を軽快に行なえるのはもちろん、文字中心の作業でも十分に広い作業環境を確保しつつ、文字の視認性にも優れ、とても快適に作業をこなせる。

 それでいて、実売価格が33,800円前後と安価という点も大きな魅力だ。31.5型というサイズはもちろん、十分満足できる表示品質を備えていることを考えると、破格の安さだ。競合製品と比べても、コストパフォーマンスは圧倒していると言っていいだろう。

 このようにVX3276-2K-MHD-7は、フルHDよりも高解像度表示に対応しつつ、表示品質に優れ、等倍表示でも優れた文字の視認性が確保でき、それでいて安価、という非常にわがままな要求に応えてくれる製品だ。個人で利用するメインPC用のディスプレイとしてはもちろん、ビジネス用途、ゲーム用途など、幅広い用途に柔軟に対応できる、コストパフォーマンスに優れるディスプレイとして、広くお勧めしたい。

VX3276-2K-MHD-7
液晶サイズ31.5型
パネル方式IPS
表示解像度2,560×1,440ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.273×0.273mm
表面処理アンチグレア
タッチパネルなし
バックライト方式LED
応答速度8ms/オーバードライブ時4ms(GTG)
コントラスト比1,200:1(ダイナミックコントラスト機能有効時8千万:1)
視野角水平178度/垂直178度
輝度250cd/平方m
表示色約10億7,000万色
走査周波数水平:HDMI 15~113kHz、DisplayPort 24~113KHz、垂直:HDMI 24~75Hz、DisplayPort 50~75Hz
チルト角度下4度、上15度
高さ調節なし
スイーベルなし
ピボット機能なし
入力端子DisplayPort 1.2×1
Mini DisplayPort 1.2×1
HDMI 1.4×2
出力端子音声出力用3.5mmジャック
スピーカー2W+2W
VESAマウント対応(100×100mm)
電源内蔵
消費電力標準45W、最大48W、エコ36W
付属品HDMIケーブル、電源ケーブル
本体サイズ712.89×230×503.87mm(幅×奥行き×高さ)
重量約6.2kg
製作協力:ビューソニック