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米液晶ディスプレイメーカーViewSonicが日本市場再参入!

~3万円を切るカラーマネージメント対応ディスプレイなどを展開

 1987年にカリフォルニアで設立され、昨年(2017年)に創立30周年を迎えた米国のディスプレイメーカー、ViewSonic。日本市場にはCRTモニター時代に参入したが、その後撤退。しかし、2015年より再参入を果たし、2017年からは幅広い製品ラインナップを揃え、新体制で再スタートを切っている。

 そこで、ViewSonicの日本市場への取り組みや、製品の特徴などを聞いてきた。あわせて、同社が日本市場に投入する製品も紹介する。

日本が求める高いレベルの製品とサポート体制を用意

 冒頭でも紹介したように、ViewSonicは1987年にカリフォルニアで設立されたディスプレイメーカーだ。扱っている製品は、液晶ディスプレイやプロジェクタ、サイネージ用ディスプレイ、タッチ操作に対応するインタラクティブフラットパネルやペンディスプレイなどで、米国では非常に高いシェアを誇っている。

 また、世界で初めて3DプロジェクタやフルHDレーザープロジェクタを発売するなど、優れた開発技術も備えている。実際に海外では、さまざまな賞を受賞し、顧客満足度No.1の評価も得ており、米国では高品質ディスプレイメーカーとして認知されている。今回は、ViewSonic日本法人である、ビューソニックインターナショナルのディレクター、Jerry Peng氏に話を聞いた。

ビューソニックインターナショナル ディレクターJerry Peng氏

 日本市場においては、諸事情で一時撤退した同社その後、欧州やアジア市場で製品の売れ行きが高まるとともに、日本国内で販売して欲しいという声が高まってきたことを受けて、再参入を決めたという。現在はオンラインを中心として幅広い製品を販売しており、2018年春以降は実店舗での販売も増やしていきたいという。

 また、Peng氏によると、日本市場への参入は、製品販売への期待が高まっていることもあるが、ViewSonicの製品の品質をさらに高める目的もあるという。日本の消費者は品質に厳しく、非常にレベルの高い製品を求めるため、そういった市場に参入することで、全体の品質を高めることに繋がると考えているそうだ。

 日本市場への再参入にあたっては、サポートにも力を入れており、スタッフ全員が日本人で構成されたサポートセンターを日本に置いて展開してきたが、2018年3月より、さらにサポート品質を高めるため体制を新たにし、日本の消費者が求める品質やサポート体制を提供していくとのことだ。

 海外メーカーではサポート体制が弱い場合もあるが、しっかりとしたサポート体制を整えるという点は、大いに歓迎できる。

価格以上の品質と性能を備える、コストパフォーマンスに優れた製品を提供したい

 日本で展開する製品としては、エントリークラスからプレミアムクラスまで、幅広いラインナップが揃っている。そういった中で特に注力したいのが、発色にこだわった製品だという。

 たとえば、写真家などプロ向けとして位置付けられている「VPシリーズ」では、工場出荷時に全製品でキャリブレーションなどの検査を行なっており、それぞれキャリブレーションレポートを添付しているという。

 これはカラーマネージメントモニターでは各メーカー標準になりつつあるが、ViewSonicでは、高価格帯の製品だけではなく、価格が3万円クラスの普及価格帯の製品でも行なっており、色に対する姿勢と品質には非常に自信があるとPeng氏は語る。

 また、同社ディスプレイには「ViewMode」という、表示モードを簡単に切り替えられる機能が用意されている。写真や映像、ビジネス向けなど、利用用途や環境に合わせた表示モードがプリセットされており、それらを簡単に切り替えられる点は便利とのこと。

 デザインや低EMIにも着目しており、6.6mmの薄さと台座のクロームデザインにもこだわったスリムデザインモデルは、電磁妨害(EMI)の値が低く、人体に優しい製品をラインナップしている点も特徴だという。

 そのうえで、「日本では品質はもちろん、価格のバランスに優れる製品を提供していきたい」とPeng氏は述べる。

 具体的には、今後カラーマネージメント対応製品が日本市場での注力製品になるという。プロはもちろん、高品質な製品を求める一般の人にも最適で、「価格以上の品質と性能を提供できる製品」と胸を張る。

 ホームユーザー向けとしては、ゲーミング向けや4Kディスプレイも充実させていきたいという。低価格ながら高性能な4Kプロジェクタの発売も計画しているそうで、色再現に優れたホームシアター向けと高輝度なモデルの2機種になるようだ。

 今後、サッカーワールドカップや東京オリンピックなど、スポーツのビッグイベントが続くため、4Kプロジェクタにはかなり注目しており、「今後驚くほどコストパフォーマンスの高い製品を投入したい」(Peng氏)とのことだ。そのうえで、高性能ながら比較的手に入れやすいコストパフォーマンスに優れる製品を提供することによって、日本市場での競合に対抗していきたいとする。

 今後は年30%前後という高い成長率を目標としつつも、数字だけを追うようなことはせず、「日本の消費者に、高品質で発色に優れる製品や、優れたサービス、サポートを提供し、満足していただくことを第一とし、努力していきます」とPeng氏は意気込みを語る。

スリムデザインと低EMIの「VX2476-SMHD」

カラーマネージメントディスプレイ「VP2468」

 では、実際にViewSonicのディスプレイを紹介しよう。今回取り上げた製品は、23.8型フルHDディスプレイの「VP2468」だ。ViewSonicの製品の中でも上位に位置付けられているカラーマネージメント対応ディスプレイで、プロレベルの優れた表示品質や、ハードウェアキャリブレーション対応などが特徴となっている。実売価格は29,800円前後とこのクラスでは安価だ。

「VP2468」

ハードウェアキャリブレーションに対応

 実際に、VP2468でデジタルカメラで撮影した写真や動画などを表示してみたが、写真や動画が持つ本来の色合いがしっかり再現されているという印象。明るい部分や暗い部分も潰れることなく、細かな部分までしっかりと表示されており、ひと目見ただけでもその表示能力の高さが伝わってくる。このあたりは、プロのクリエイターなどをターゲットとする製品だけのことはある。

 また、VP2468はハードウェアキャリブレーションにも標準対応しており、さらなる画質追求も可能。このハードウェアキャリブレーション機能は、カラーマネージメントメーカー「X-Rite」と共同開発されたものとなっており、X-Rite製のキャリブレーションツール「i1 Display Pro」や「i1 Pro 2」シリーズに対応。これなら、実際にプロ用途にも柔軟に対応できると言える。

 これだけの表示品質や機能を備えながら、販売価格はメインストリーム向け製品と同等だ。表示品質や機能などと合わせて、非常にコストパフォーマンスに優れる製品と言える。プロ向けとしてだけではなく、高品質ディスプレイを安価に手に入れたい一般ユーザーにも、広くお勧めできる製品と言える。

写真本来の色合いが再現され、明るい部分や暗い部分も潰れることなく精細に表示されている

23.8型フルHD AH-IPSパネルを採用

 液晶パネルは、1,920×1,080ドット表示対応の23.8型。駆動方式はIPSで、視野角は上下/左右ともに178度と広く、多少視点を移動させても発色や色合いの変化はほとんど感じられない。パネル表面はアンチグレア処理となっており、外光の映り込みも少ない。タッチパネルは非搭載。

 VP2468はプロ向けのグラフィックス用途をターゲットとしており、sRGBカバー率は99%、色差(ΔE)は2未満とされており、14bit、4兆3,000億色のカラーパレットの採用と合わせ、優れた色再現性を実現しているという。また、sRGBだけでなく、欧州放送連合規格「EBU」、米国の映画テレビ技術者協会(SMPTE)の「SMPTE-C」、HDTV向けスタジオ規格「REC709」、医療画像規格「DICOM SIM」に対応した色域やガンマを再現するモードも用意している。

 コントラスト比は標準で1,000:1だが、ダイナミックコントラスト機能有効時には20,000,000:1に拡張。実際に映像を表示させてみても、細やかな色のグラデーションやメリハリのある明暗部の表現力は非常に優れていると感じる。

 バックライトはLEDを採用し、輝度は250cd/平方mと十分。輝度ムラも感じられない。応答速度は標準14ms、オーバードライブ時5ms(GTG)となる。ゲーミングディスプレイのような高速な応答速度ではないが、動画表示時やゲーム画像などでも残像が気になる場面はほとんどなかった。ターゲットとする用途を考えると、この点が問題になることはほぼないと言える。

1,920×1,080ドット表示対応の23.8型 AH-IPSパネルを採用。上下左右ともに狭額縁仕様で、コンパクトさが際立っている

DisplayPortデイジーチェーン接続に対応

 映像入力端子は、DisplayPort 1.2×1、Mini DisplayPort 1.2×1、HDMI 1.4×2と4系統を用意。DisplayPortデイジーチェーン接続用のDisplayPort 1.2出力を備えている点も大きな特徴の1つだ。

 このほかには、USB 3.0ハブ機能とヘッドホン出力端子を備えている。USB 3.0ハブ機能としては、アップストリームポート×1、ダウンストリームポート×4を備える。映像端子と合わせ、これらポートは本体背面に、下側に向かって配置されている。

映像入力はHDMI 1.4×2、DisplayPort、Mini DisplayPortを用意、DisplayPort出力端子も備え、DisplayPortデイジーチェーン接続に対応。そのほか、ヘッドホン出力端子とUSB 3.0 Hub機能も用意

4辺狭額縁でコンパクトなデザイン

 VP2468の本体デザインは、液晶ディスプレイとして比較的オーソドックスなものとなっている。筐体色はブラックで、スタンド背面にシルバーを採用しており、全体的にかなり落ち着いた印象だ。

 大きな特徴となっているのが、ディスプレイ4辺全てが狭額縁仕様となっている点。ベゼル幅は実測で1.2mmほど、表示領域からも上部と左右が約6mm、下部が約8.5mmと狭められている。これによって、本体サイズは538.67×215×519.48mm(幅×奥行き×高さ)と、23.8型ディスプレイとしてなかなかのコンパクトさを実現している。重量はスタンド込みで約5.65kg。

左側面
背面
右側面

 スタンド部も高機能となっている。高さは130mm、チルト角度は下5度、上21度、スイベルは左右それぞれ60度の範囲で調節可能。左右それぞれ90度のピボット機構も備えており、非常に自由度が高い。加えて、それぞれの調節に大きな力は不要で、ぐらつきが少なく、安定して利用可能だ。

チルト角度は下5度から上21度の範囲で調節可能
高さ調節は130mmの範囲
ピボット機構も備え、縦画面での利用が可能
ピボットは左右どちらにも回転可能
スタンドは角形
スイベルは左右それぞれ60度
スタンド背面はシルバー
付属品は、Mini DisplayPortケーブル、USB 3.0ケーブル、電源ケーブルなど。写真には入っていないが、キャリブレーションレポートも同梱される

充実した設定項目を備えるOSD

 OSDは、設定項目が豊富で、かなり充実した内容となっている。メニュー構成は、プリセットカラーモードの変更やコントラストと輝度の変更、映像入力選択などが行なえるサブメニューと、豊富な設定項目を備えるメインメニューを用意。普段はサブメニューの利用が中心となり、細かな設定を行ないたい場合にメインメニューを利用することになる。

 メインメニューでは、表示モード、カラー調整など細かな設定項目が用意されている。「Viewモード」と呼ばれる項目では、ゲームや映画、テキストなど、プリセットの表示モードを切り替えたり、カスタムモードでは黒の明るさや応答速度などを調整できる。カラー調整では、コントラストや輝度、色温度、ガンマの調節はもちろん、ゲイン、オフセット、色調、彩度を細かく調節できるアドバンスドモードも用意。色調と彩度は6軸での調整もサポートしている。

 OSD操作用のボタン類は、本体右の背面側に、縦に並んで用意されている。画面に操作ガイドも表示されるが、ボタンが背面にあるため、慣れるまで時間がかかるかもしれない。

OSDサブメニューでは、プリセットカラーモードやコントラスト・輝度調節、入力選択などが行える
OSDメインメニューでは、豊富な設定項目が用意されており、細かな調整が可能となっている
電源ボタンやOSD操作ボタンは、本体右側の背面に用意

ビューソニックが日本展開する製品の代表例

製品型番サイズパネル解像度応答速度(中間色)
カラーマネージメント
VP246823.8型AH-IPS1,920×1,0805ms
エンターテインメント
VX3276-2K-MHD-731.5型IPS2,560×1,4404ms
VX2776-SMHD27型IPS1,920×1,0804ms
VX2476-SMHD23.8型IPS1,920×1,0804ms
ゲーミング
VX2757-MHD27型TN1,920×1,0801ms
VX2457-MHD23.6型TN1,920×1,0801ms
VX2452MH23.6型TN1,920×1,0802ms
VX2252MH21.5型TN1,920×1,0802ms
ホーム&オフィス
VG2719-2K-727型IPS2,560×1,4405ms
VG2439SMH23.6型VA1,920×1,0805ms
VA2407H-723.6型TN1,920×1,0803ms
店頭専売モデル
VX3276-MHD-731.5型IPS1,920×1,0804ms
VA2719-SMH-727型IPS1,920×1,0805ms
VA2419-SMH-723.8型IPS1,920×1,0805ms
製作協力:ビューソニックジャパン