パソコン工房新製品レビュー
約16万円のRTX 3050搭載お手頃ゲーミングノート「LEVEL-15FX152-i7-NASX」を試す
2023年2月7日 10:00
パソコン工房の「LEVEL-15FX152-i7-NASX」は、CPUにCore i7-12700H、GPUにGeForce RTX 3050 Laptopを搭載する15.6型ゲーミングノートだ。CPUとGPUの組み合わせからして、本製品はフルHD(1,920×1,080ドット)解像度での快適なゲーミング体験にフォーカスしたモデルであり、ややエントリー寄りの手堅い製品と言える。
国内でもPCゲーム市場の裾野が広がり続けている昨今、若い世代も購入しやすい価格帯をカバーした本製品は注目度が高い。人気のバトルロイヤル系ゲームや対戦型シューター、MMOといったジャンルをこれからプレイしてみたいが予算に限りがある、といったユーザーにとっては、特にマッチしやすいモデルだろう。
この記事では「LEVEL-15FX152-i7-NASX」の製品サンプルをもとに、特徴や使い勝手などのインプレッション、およびベンチマークによる性能チェックを実施していく。
フルHD環境では堅実なスペック
LEVEL-15FX152-i7-NASXの主なスペック | |
---|---|
CPU | Core i7-12700H (14コア/20スレッド/2.3~4.7GHz/24MBスマートキャッシュ) |
GPU | GeForce RTX 3050 Laptop GPU(4GB GDDR6) |
メモリ | 16GB(DDR4-3200、8GB×2/デュアルチャネル) |
ストレージ | 500GB(M.2NVMe SSD) |
ディスプレイ | 15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)非光沢 |
OS | Windows 11 Home |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5 |
本体サイズ | 360×241.5×27.7mm |
重量 | 約2.12kg |
価格 | 15万9,800円 |
パソコン工房のLEVEL∞ブランドから販売されているゲーミングノート「LEVEL-15FX152-i7-NASX」。まずは基本的なハードウェア性能から確認していくが、冒頭で述べた通り、本製品はCPUに14コア/20スレッドのCore i7-12700H、GPUにGeForce RTX 3050 Laptopを搭載する。
CPUに関して言えば、2種類のCPUコアを併用するハイブリッドアーキテクチャを採用し始めた第12世代Coreプロセッサの高性能モデルであり、最新のゲーミングノートPCとしては手堅いチョイスだ。従来のIntel CPUと比較した場合、特にマルチタスクの処理に強いが、パワー自体も十分で、ゲームだけでなくクリエイティブ用途や普段使いでも活躍が期待できる。
GPUの「RTX 3050 Laptop」は、近年のAAA級ゲームタイトルなどに採用されるリアルタイムレイトレーシング(DirectX Raytracing)に対応可能なGeForce RTXシリーズのうち、もっとも下位のモデルだ。
GeForceシリーズの下2桁50番台GPUは基本的にエントリー向けとされるが、近年はDXRに対応しない「GeForce GTX 16」シリーズが用意されていることもあってか、RTX 3050自体はフルHD解像度でのゲーミングにおいてはそれほど不自由しないだけのポテンシャルを備えている。
ノートPC向けながらRT CoreとTensor Coreもしっかり搭載することで、DXRはもちろん、Tensor Coreによる処理を行なうアプリ「NVIDIA Broadcast」なども利用可能だ。とは言え、RTX 3050 LaptopのVRAM容量は4GBとやや心もとないため、一般的なゲーム用途ならともかく、DXR向きのGPUとは言い難いところはある。
LEVEL-15FX152-i7-NASXのディスプレイは15.6型フルHDパネルで、解像度は1,920×1,080ドット、リフレッシュレートは最大60Hz。近年はゲーミングノートPCでも滑らかな画面描画が可能な高リフレッシュレートパネルを採用する例が増えているものの、RTX 3050 Laptopの処理性能では恩恵を受けられる場面が限られるためか、本モデルでは採用が見送られている。120Hz以上の表示に対応する外部モニターを使用することでカバーできるため、プレイするタイトルや設定に応じて導入するのは有効だろう。
メインメモリの容量は16GB(DDR4-3200、デュアルチャネル)で、ストレージは高速なデータ転送に対応する500GB NVMe SSD。今どきのノートPCとしてはオーソドックスな構成で、可もなく不可もなくといったところ。
CPUおよびGPUのグレードからすれば妥当だが、購入時のBTOカスタマイズを活用すればメモリは最大64GB、ストレージは最大2TBのほか、データ保存用のNVMe SSDをもう1枚追加可能だ。
ネットワークに関しては、本体右側面に用意されているGigabit Ethernetコネクタが使用でき、Wi-Fi 6にも対応する。通信速度や接続性の向上により、近年は無線LAN接続でオンラインゲームをプレイするユーザーも増えているが、実際にどちらを使うべきかは使用するネットワーク環境によりけりだ。自宅などの環境に合わせてうまく使い分けるのがベストと言える。
シンプルデザインの筐体、重量・サイズともにオーソドックス
本体カラーはヒンジ部分含めブラック一色で、装飾らしい装飾は天面に「LEVEL∞」のブランドロゴが刻印されているのみ。スッキリとしてシンプルな、今どきのゲーミングPCらしい筐体だ。
本体サイズはおよそ360×241.5×27.7mmと、15.6型ディスプレイ採用ノートPCとしては標準的な寸法。本体重量は公称約2.12kgとなる。電源アダプタは実測466gほどで、本体と合わせて持ち運んだ場合の重量は約2.56kgになる。持ち運べないほどの重さではないものの、基本的にはリビングや自室に据え置きで運用するのがベターだ。
インターフェイスは、USB 3.1 Type-C×2、USB 3.0、USB 2.0、HDMI、Mini DisplayPort、Gigabit Ethernet、microSDカードリーダ、オーディオジャック。USBポートは合計すれば4つ用意されているが、Type-A形状のものが2つ、残りがどちらもType-Cということで、接続したい周辺機器が多い場合などは、別途ドッキングステーションなどの用意も考えた方がいいだろう。
2系統の映像出力で外部モニターを活用すれば、マルチモニター環境の構築なども可能。先に述べたような高リフレッシュレートモニターを活用するのは1つの選択肢だが、高解像度のモニターなどはGPUパワーの都合上、あまり適していない。
キーボードはテンキーありの日本語配列を採用。キーピッチは実測17mm前後で、打鍵感は及第点といったところ。PCゲームで使用頻度の高いWASDキー、左シフトやスペースキー周辺は特にクセのある配置もないため、ゲーム向けとしても問題なく扱えるはずだ。テンキーは独立しているものの、ノートPCにありがちな矢印キーの食い込みなどもあり、やや変則的な配列となっている。
なお、LEDバックライトのカラーや明るさ、スリープタイマーの設定はプリインストールされているアプリ「LED KEYBOARD SETTING」から変更可能。発光エリアは分けられておらず、全体のカラーが一括で変更される仕様だ。明るさを0に設定することで発光をオフにできるため、このあたりは好みで調整するといいだろう。
「LEVEL-15FX152-i7-NASX」の性能をベンチマークでチェック
では、「LEVEL-15FX152-i7-NASX」の性能を検証していこう。今回はベンチマークアプリに加え、実ゲームタイトルでもフレームレートを計測した。使用したアプリとタイトルは以下の通りだ。ちなみに計測時の本体動作モードはすべて出荷時の「バランス」としている。
- Cinebench R23
- 3DMark
- CrystalDiskMark 8.0.4
- ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
- レインボーシックス シージ
- Cyberpunk 2077
「Cinebench R23」のスコアは、「Core i7-12700H」搭載PCとしては平均的なもの。これ以前の世代と比べマルチスコアがよく伸びており、ハイブリッド化したCPUのパワーを感じさせてくれる。
Cinebench R23 | |
---|---|
CPU(Multi Core) | 12,054 pts |
CPU(Single Core) | 1,750 pts |
「3DMark」の総合スコアは、そもそもWQHD~4Kなど高解像度を想定したテストが多いこともあり、数値の上ではいずれもやや控えめだ。とは言え、WQHD解像度の描画テストである「Time Spy」の総合スコアは5,000越えと悪くなく、フルHD解像度で描画される「Fire Strike」はしっかり総合スコアが12,000を超えてくるなど、本来想定されているフルHD解像度環境では高いレベルでの描画性能を期待できると言える。また、CPUスコアの水準が高いことも特筆しておくべきだろう。なお、リアルタイムレイトレーシングのテストである「Port Royal」では、VRAM不足からか十分な性能を発揮できていない。
3DMark v2.24.7509 | |
---|---|
Time Spy Extreme score | 2,390 |
Time Spy Extreme Graphics score | 2,213 |
Time Spy Extreme CPU score | 4,393 |
Time Spy score | 5,251 |
Time Spy Graphics score | 4,834 |
Time Spy CPU score | 10,297 |
Fire Strike Ultra score | 2,961 |
Fire Strike Ultra Graphics score | 2,825 |
Fire Strike Ultra Physics score | 24,552 |
Fire Strike Ultra Combined score | 1,514 |
Fire Strike Extreme score | 6,001 |
Fire Strike Extreme Graphics score | 6,097 |
Fire Strike Extreme Physics score | 24,909 |
Fire Strike Extreme Combined score | 2,660 |
Fire Strike score | 12,044 |
Fire Strike Graphics score | 13,231 |
Fire Strike Physics score | 25,271 |
Fire Strike Combined score | 4,901 |
Port Royal Score | 452 |
比較的軽量な「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では、計測可能な解像度がディスプレイの最大解像度に依存するため、フルHD解像度のみでテストを実施した。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク | |
---|---|
1,920×1,080ドット 最高品質 | 13,429 |
1,920×1,080ドット 高品質(デスクトップPC) | 15,056 |
最高画質設定では評価指標こそ上から2番目の「とても快適」判定に留まるが、テスト中の平均フレームレートは92fps、最低フレームレートは53fpsと、本製品で想定されるフルHD・60fpsラインに沿うパフォーマンスを発揮できている。画質設定を「高品質(デスクトップPC)」に落とした場合は最低フレームレートも60fpsを超え、評価指標はもっとも高い「非常に快適」に到達した。
ゲーム内ベンチマークモードでフレームレートを計測した「レインボーシックス シージ」に関しては、もともと軽量なチームシューター系タイトルということもあり、フルHD・最高画質設定で最低180fps越えの良好な結果を出せている。同じく軽量な「VALORANT」などのタイトルでも似たような結果が出ると思われるが、こうしたタイトルでは高リフレッシュレート対応の外部ディスプレイを接続してプレイすることで、より滑らかな画面描画が期待できるだろう。
ゲームタイトルごとのフレームレート | ||
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平均 | 最小 | |
レインボーシックス シージ | ||
1,920×1,080ドット 最高画質 | 234.0fps | 182.0fps |
Cyberpunk 2077 | ||
1,920×1,080ドット 画質:ウルトラ | 43.47fps | 19.01fps |
Cyberpunk 2077 | ||
1,920×1,080ドット 画質:ウルトラ (DLSS:パフォーマンス) | 54.79fps | 20.53fps |
Cyberpunk 2077 | ||
1,920×1,080ドット 画質:レイトレーシング:ウルトラ | 18.19fps | 5.45fps |
同じく「Cyberpunk 2077」でも、ゲーム内ベンチマークモードを使用してフレームレートを計測。「Cyberpunk 2077」はリリースからそれなりに時間が経過した現在でも屈指のヘビー級タイトルであり、フルHD解像度でも最高画質設定の「ウルトラ」では平均フレームレートが40fps程度。
ただし、プリセットでは無効化されているNVIVIDA DLSSを「パフォーマンス」に設定した場合は平均54fpsと大きくフレームレートが改善し、より軽快な描画が可能だ。レイトレーシングを適用した場合はいずれも結果が芳しくないものの、RTX 3050にDXR環境でのパフォーマンスを求めるのは少々酷かもしれない。
「CrystalDiskMark 8.0.4」では、データサイズ1GiB、テスト5回の条件で計測を実施。シーケンシャルリードでは3,500MB/s前後、シーケンシャルライトは2,400MB/s以上で、どちらも基本的には良好な速度が出ている。ランダムリード・ライトはいずれもさほど高速ではないが、データコピーやゲームの読み込みといったシーンでは、SATA接続のSSDやHDDを上回る速度のメリットが感じられるはずだ。
CrystalDiskMark 8.0.4 | |
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Q8T1 シーケンシャルリード | 3,563.68 MB/s |
Q8T1 シーケンシャルライト | 2,407.34 MB/s |
Q1T1 シーケンシャルリード | 2,535.40 MB/s |
Q1T1 シーケンシャルライト | 1,621.82 MB/s |
Q32T16 4Kランダムリード | 447.72 MB/s |
Q32T16 4K ランダムライト | 473.17 MB/s |
Q1T1 4Kランダムリード | 47.44 MB/s |
Q1T1 4K ランダムライト | 120.50 MB/s |
フルHDで性能十分の手堅い1台
ここまで見てきた通り、「LEVEL-15FX152-i7-NASX」は、フルHD解像度設定のゲーミング用途で現行の多くのタイトルを快適にプレイ可能なノートPCだ。
WQHD(2,560×1,440ドット)以上の高い解像度、高フレームレートといった付加価値にこだわらない場合、本製品のパフォーマンスは実にちょうどよい塩梅で、手頃なゲーミングノートPCという選択肢を求める人にとって魅力的な選択肢になり得るだろう。
また、ノートPCとしてはCPU性能が比較的優秀であり、普段使いでの軽快さが期待できるのもうれしい。シンプルかつクセのないゲーミングノートPCを探しているユーザーにおすすめしたい1台だ。