パソコン工房新製品レビュー
17.3型の大画面ゲーミングノートを性能検証。パソコン工房「LEVEL-17FG180-i9-WAZX」
2023年2月4日 06:30
パソコン工房のゲーミングブランド「LEVEL∞」から、17.3型ノートの「LEVEL-17FG180-i9-WAZX」が発売中だ。第12世代CoreとGeForce RTX 3080 Tiを搭載し、フラグシップとあって高価だが、近いスペックのモデルと比べればお値段以上の価値を感じられる出来映えだ。
筐体サイズは396×263×30.2mmで、17.3型とあって大きめだが、狭額縁パネルの採用によって極力幅を抑えている。また、厚みは3cm少々あるのだが、デザイン的な工夫でスリムに見せている印象だ。
重量は2.85kgで3kgは切っている。ACアダプタは出力が230Wと多めのためかサイズは大きいが、安定して電力を供給できるだろう。
液晶天板はフラットで、中央にLEVEL∞のロゴを施している。ゲーミングPCの派手さはなくスッキリした印象だ。本製品をクリエイティブ用途やWeb会議などでマルチ活用しても違和感はないだろう。
17.3型の液晶パネルは狭額縁仕様で画面占有率が高く、ベゼルの存在感が薄まることでゲームへの没入感も高まる。工場出荷時に「X-Rite Factory Display Calibration」をしているとのことで色再現性もよく、ユーティリティ「X-Rite Color Assistant」からsRGB、Rec.709などカラープロファイルを切り換えることもできる。
解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)、リフレッシュレートは144Hzとなっている。両方ともゲーミングノートとしてはスタンダードなスペック。解像度がWQHD(2,560×1,440ドット)などに上がると途端にゲームも重くなり、高フレームレートの維持が難しくなるため、リフレッシュレート優先で考えれば妥当と言えるだろう。
キーボード面もシンプルで、フラットなデザインだ。右上に電源ボタンが独立しているところもよい。キーボードはテンキー付き日本語配列。カーソルキー付近を中心に一部若干幅を抑えたキーもあるが、配列自体がスタンダードなものなので、そこまでの違和感はなく入力できた。
ゲーミングノートPCということでRGB LEDバックライトも搭載している。ゾーン分けはなく全面が同色なのでハデさという点はやや控えめ。ブルーやレッド等にすればゲーミング感が出るものの、ホワイトに指定すれば落ち着いた使用感になる。また、大きな筐体だけにタッチパッドも大面積だ。
インターフェイスはやや特徴的なレイアウトながら充実している。まずUSB 3.0が左側面に2ポート、右側面にはUSB 3.1 Type-Cがある。つまり外付けキーボードやマウスは左側面に接続する想定だ。背面にはThunderbolt 4も備えているので、USBとして利用可能なのは4ポートということになる。
そのほかでは、Gigabit Ethernet、HDMI、Mini DisplayPort、microSDカードリーダ、ヘッドフォン/スピーカー出力、マイク入力を備えている。
ゆとりある17.3型ボディに高性能CPU&GPU、ストレージを搭載
内部ハードウェアスペックは、まずCPUが第12世代Core i9-12900H。Pコア6基、Eコア8基の構成でトータル20スレッドの同時処理が可能だ。動作クロックもターボブースト時最大5GHz出る。
GPUはGeForce RTX 3080 Ti。モバイル向けRTX 40シリーズが発表されてしまったので旧世代にはなったが、6,144基のCUDAコア、16GBのGDDR6メモリなど、ハイエンドゲーミング向けのスペックとパフォーマンスだ。ビデオメモリも16GB搭載しており、高画質設定に強いところも特徴だ。
メモリはDDR4-3200で、LEVEL-17FG180-i9-WAZXは32GBを搭載している。SO-DIMMを採用しており、2スロット構成とされているので、必要に応じてBTOカスタマイズ&増設が可能だ。BTOカスタマイズには、スタンダードなDDR4-3200メモリのほか、国産高耐久のDDR4-3200メモリも用意されている。
ストレージはNVMe対応のM.2 SSDで、容量は1TB。ここもBTOカスタマイズで必要に応じて容量を、必要ならセカンドストレージも搭載できる。
電源設定などは、標準インストールされている「Control Center 3.0」から行なう。デフォルトは「エンターテイメント」。そのほか「省電力」、「静音」、「パフォーマンス」といったプロファイルが用意されており、切り換え可能だ。
別途ファン回転数制御もあり、たとえばパフォーマンスを引き出したい時のために常時最大回転にすることもできる。Control Center 3.0には、キーボードマクロ、キーボードバックライト制御も統合されている。
重量級ゲームも60fps超、強力なCPUでデザイン分野にもおすすめ
それではベンチマークを使って実力を見ていこう。なお、今回の検証ではすでに終息した下位モデルのLEVEL-17FG180-i9-WASXを使用しているが、LEVEL-17FG180-i9-WAZXとの違いはメモリが16GB、SSDが500GBと、これらが約半減されているだけで、CPUやGPUは変わらない。
用いたベンチマークソフトは以下の通りだ。
- Cinebench R23
- PCMark 10
- Procyon
- VRMark
- FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
- Cyberpunk 2077
- Forza Horizon 5
- Tom Clancy's Rainbow Six Siege
まずCinebench R23の通りモバイル向けCPUながらマルチスレッド性能の高さが光り、シングルスレッド性能も十分だ。PCMark 10では高性能dGPUを搭載していることもあり、4つのシナリオはすべて10,000点オーバー。どの用途にも使える高性能ノートPCで、スコアが低くなりがちなDigital Content Creationも良好だ。
ここをProcyonのPhoto Editing Benchmarkで補足すると、Photoshopの写真補正(Image Retouching)が7,000点超、Lightroomの現像のバッチ処理が9,000点弱、Overallで7,936点とここも高性能だった。
グラフィックスでは、VRMarkがOrange Room、Cyan Roomでターゲットフレームレートを超えるスコア。VR用途にも期待できる。
実ゲームベンチマークでは、フルHDパネル採用とあってFINAL FANTASY XVはもちろん快適の域、以降のタイトルも最高画質設定やレイトレーシングオンでも平均60fpsを超えた。特に高フレームレートが求められるTom Clancy's Rainbow Six Siegeも最高画質設定で267fpsなので、144Hzパネルのスペックを引き出せる。
省スペースでありながら快適。高性能ゲーミングノートPCをお探しの方に
ゲーミングノートPCでどこまで高いパフォーマンスを実現できるのか、フラグシップモデルはそこに挑戦する製品だ。LEVEL-17FG180-i9-WAZXは、レイトレーシングも含め、現実的にフルHDで最高画質設定を楽しめる製品に仕上がっている。17.3型の大画面も視覚的な快適さをプラスしてくれるだろう。
加えて、おそらく大きな筐体であることは静音性や冷却にも寄与している。より小型のゲーミングノートPCと比べると若干静かで、キーボード面の熱を感じにくかった。ゲーミングノートでより快適さを求めるならば、17.3型を検討してみるのもよい。
LEVEL-17FG180-i9-WAZXは標準構成で45万9,800円からと高価だ。しかし17.3型のハイエンドCPU&GPU搭載モデルと言えばこのくらいの価格帯であり、パーツ価格が高騰している現在から考えると、わりとまっとうな価格帯を維持した製品と言える。