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6年越しの新筐体は冷却力抜群!ユニットコムの新ゲーミングPCは必見の仕上がり

 ユニットコムの「LEVEL∞」ブランドのゲーミングデスクトップPCと言えば、ほぼフラットと言ってよいシンプルなフロントパネルに赤いフチ取りが印象的だ。そのLEVEL∞のゲーミングデスクトップPCが、新デザインへの刷新された。発売から6年を経て初のリニューアルとなる(LEVEL∞ R-Class 新モデルの特集ページ)。

 今回はハイエンドモデルで、Core i7-12700K、GeForce RTX 3070 Tiを搭載する「LEVEL-R769-LC127K-UAX [Windows 10 Home]」を検証する機会を得たので、新筐体になってどういった変化があったのか、詳しく紹介していく。

 なお、LEVEL∞シリーズは、パソコン工房WEB通販サイトおよび全国のパソコン工房店舗で購入可能。パソコン工房大阪日本橋店、パソコン工房秋葉原イイヤマストア、パソコン工房グッドウィル名古屋大須店では今回の「LEVEL∞ R-Class新モデル」の店頭展示も行なわれている。

国内ゲーマーに人気の「シンプルデザイン」

 「LEVEL-R769-LC127K-UAX」では、新筐体になってもひと目でLEVEL∞のデスクトップだと分かるデザインだ。フラットに近いシンプルなフロントパネルは旧筐体を継承している。なお、今回のモデルはRGB LED機能を搭載していないが、対応モデルも用意されており、そちらは別途紹介予定だ。

マットブラックとアクセントの赤ライン
正面から見ると一見ではマットブラックのケース
LEVEL∞の象徴とも言える赤いラインはカバーパネルの側面にある

 外枠(フレーム)とカバーパネルで構成されており、その隙間から吸気し、カバー内部には着脱可能なフィルタがある。トレードマークの赤いラインはカバーパネル側面にあるため正面からはほぼ見えないが、斜めから見える仕組みだ。カバーパネルは上部のツメ2カ所で固定されている。

フロントパネルにフィルタ装備
カバーパネルを外してフィルタメンテナンスが可能

 旧筐体が備えていた5インチベイは廃止された。ただし代わりにスリムドライブベイが採用されている。スリム光学ドライブはオプションまたは後から追加することになる。パネルが分かれているため少しだけ枠線が見えてしまうが、小さくなったことでほとんど目立たない。

光学ドライブはスリムタイプ
スリム光学ドライブベイ1基を備える

 天板部もほぼフラットだ。正面から見て右寄り1列にフロントインターフェイスとして、電源ボタン、2基のUSB Type-A、オーディオジャック×2(入/出力)、USB Type-C×1が並ぶ。

天板側にインターフェイス類
天板部にはフロントインターフェイス
左からUSB Type-A×2、オーディオジャック×2、USB Type-C×1

 また、後ろ寄りに12cm角ファン×2基があり、それよりやや大きめのフィルタが装着されている。フィルタは着脱が容易なマグネット式だ。目はそこまで細かいものではないが、この部分は排気口なのでPC稼働中ならホコリが入る心配はないだろう。

天板のフィルタも取り外し可能
フィルタ付き排気口がある

 フロントインターフェイスのうち、USB Type-Cについてはそのモデルが対応しているかどうかで利用可否が決まる。フロントUSB Type-Cケーブルのマザーボード側端子は内部のUSB 3.1(USB 3.2 Gen 2)用ヘッダーに接続するいわゆるUSB Type-E形状だ。

 マザーボードがこのUSB Type-Eを搭載しているモデルなら利用可能だ。本製品は残念ながら非搭載で、ケーブルは裏面配線スペースに留められていた。

USB Type-Eコネクタ
LEVEL-R769-LC127K-UAXはマザーボード上にUSB 3.1(USB 3.2 Gen 2)Type-Cヘッダー(Type-E)がないためケーブルはあるものの接続されていない

 フロントUSB Type-Cは市販のPCケースでもまだ対応製品が少ない。せっかくフロントUSB Type-C搭載されているのだから、なんとか使えるようにしたいと思う方もいるだろう。

 例えばマザーボード上にUSB 3.0ヘッダーの空きがあれば、ここにUSB Type-E変換ケーブルを挿し、フロントUSB Type-C側のUSB Type-E端子に接続することで、USB 3.0 Type-Cとして利用できるだろう。または、USB Type-Eを装備する拡張カードを使うのもアリだ。もちろんそれぞれ動作保証外なので注意は必要だ。

 背面で特徴的なのは、バックパネルや拡張カードブラケットが一段奥まったところにあることだろう。折返しによって剛性が高まることに加え、各種ケーブルの端子部分も奥まるため、後部の出っ張りも抑えられる。バックパネル横には12cm角ファンが、底面にATX電源がある。バックパネルのブラケットは7基分ある。

ケースの背面側
電源は底面配置でその上にマザーボードを配置する昨今のトレンドスタイル

 本体サイズは実測で220×493×467mm(幅×奥行き×高さ)。ATXミドルタワー筐体としては一般的なサイズ感だ。

最新トレンドも取り入れ、エアフローも強化した内部設計

 左右側板は、下が差し込み式、上が2つのネジで固定されている。脱落防止ネジなので紛失のおそれはない。素材はスチール。市場を見渡せば数千円で変える安価なケースもあるが、この新筐体はペラペラなスチールではなく十分な厚みがあり、各部の折返し処理で高い剛性を実現している。

新筐体の両側面
側板は2つのネジで着脱できる
左側面
右側面

 内部でまず目に入ってくるのはビデオカードを支えるサポートステイだろう。本製品はゲーミングPCだ。最近のハイエンドビデオカードはクーラーが大型化し重みも増し、スロットとブラケットだけの固定では歪みやたわみが生じることもよくある。それを抑えるのがサポートステイだ。専用設計だけあり下部でガッチリと固定されていて安心感もより高い。

ビデオカードのサポートステイ
ビデオカードサポートステイが搭載されている。なお、このステイはGeForce RTX 3070以上のクラスのビデオカードが搭載されている場合に装備される特別なアイテムだ

 また、電源ユニットを底部に配置し、マザーボードスペースと電源スペースを分離したセパレートデザインであるところも昨今のPCケーストレンドを取り込んだ格好だ。本製品の電源はケーブル直付けタイプ。余ったケーブルを電源カバーが隠してくれることで内部の見た目もスッキリとする。

電源のスペースを有効活用
電源スペースは奥行き25cmほど。奥行き14cmの電源が搭載されており、残りのスペースには余ったケーブルが収納されていた

 マザーボードスペース裏には裏面配線スペースが設けられており、表面に出るケーブルは最小限に抑えられている。その裏面配線スペースを見ても、要所ごとに結束バンドでケーブルをまとめ、ブラブラすることもなく稼働時の振動で擦れるようなこともない。

裏面配線で見た目すっきり
各ケーブルは裏面スペース部分に配線、きれいにまとめられている
CPUソケット裏にはCPUクーラー着脱用のスペースがある。立体加工されているため剛性が高い

 スペースも十分な広さだ。本製品は3連ファンのGeForce RTX 3070 Tiカードを搭載しているが、その後方にはまだ十分な余裕がある。ブラケットからフロントファンまでの長さは約39cmで、大型のビデオカードでも概ね33cm程度なのでハイエンドカードでも問題がないのだ。

 CPUクーラーについても、マザーボード上のMOSFETの上面からケース側板まで約17cm弱ある。本製品は簡易水冷クーラーなのでもちろん干渉ないが、空冷CPUクーラーでも高さ16cmまでのものは問題ないだろう。

ロングタイプのカードも余裕
拡張カード搭載スペースは約39cm

 新筐体ケースで最も注力しているのが冷却だ。ハイエンドパーツの熱量は年々増大傾向にあり、冷却力強化はPC全体のトレンドと言える。

 ファンのレイアウトを見ていこう。フロントファンが12cm角×3基、天板ファンが12cm角×2基、リアファンが12cm角×1基だ。フロント3基が吸気、残り3基が排気で数の釣り合いが取れている。また、フロント3基は36cmクラスの水冷ラジエータに対応している。

各所にファンを装備
フロントには3連12cm角ファン、36cmクラスのラジエータも搭載できる
天板部には12cm角ファン×2。フィルタ付き
リアには12cm角ファン×1

 このほか、底面には実際にファンを搭載することはできないものの、12cm角×3基分の吸気口がある。電源ユニットのファンは底面向きなのでこの部分から吸気、そのまま背面から排気する格好だ。底面にはスライド式のフィルタが搭載されており、ホコリの混入を防いでいる。脚部だけで高さ26mmあるので、設置時の吸気もスムーズだ。

底面のフィルタ
底面にも吸気口。面積は12cm角ファン3基分に相当する

 ストレージはマザーボード上のM.2スロット(本製品は2基。搭載数はモデルによる)に加え、ケース側には2.5インチや3.5インチドライブベイはそれぞれ2基がある。コンセプトは手軽さと隠す収納だ。

 どちらのドライブベイも裏面配線スペース部分にあり、右側板側からアクセスする。2.5インチベイはマザーボードベースの裏にあり、ネジ1つで着脱できるトレイ(ドライブの固定はネジ4つ)を介して搭載する。

2.5インチドライブはマザーの裏に装着
マザーボードスペースの裏に2.5インチシャドウベイ×2

 3.5インチシャドウベイは電源カバー内、フロントパネル直後にある。プラスチックトレイ式でドライブの固定もネジ不要だ。このように手間が少ない方法、スマートに固定できる方法を採用している。

3.5インチベイはフロント下部に
電源カバー裏に3.5インチシャドウベイ×2

 PCケースは見た目、拡張性、冷却性能が3本柱。ここまで紹介してきたように、LEVEL∞の新筐体は飾りっ気を抑え、ベイ数は控え目だが手間を減らし、エアフローは吸排気のバランスを向上させているところに注目だ。

ハイエンドパーツをしっかり冷やし、性能を引き出す

 それではLEVEL-R769-LC127K-UAXを用い、この新筐体の性能を見てみよう。用いたベンチマークはMAXONの「Cinebench R23」、ULの「PCMark 10」と「3DMark」、Ubisoftの「Far Cry 6」、スクエア・エニックスの「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」。

【表1】LEVEL-R769-LC127K-UAXの主な仕様
CPUCore i7-12700K
メモリDDR4-3200 8GB×2
チップセットIntel Z690
ビデオカードGeForce RTX 3070 Ti
ストレージ1TB M.2 SSD(PCI Express 3.0 x4)
電源出力800W
CPUクーラー36cmクラス簡易水冷
OSWindows 10 Home
CPU-ZによるCPUのスペック
GPU-Zによるビデオカードスペック

 先にベンチマーク結果から見ていこう。Cinebench R23はMulti Coreが22,455、Single Coreが1,923。

 PCMark 10はStandardが7208、Extendedが9707。

 3DMarkはFire Strikeが29551、Time Spyが14370。

 Far Cry 6はUltra画質で1,920×1,080ドット時114fps、2,560×1,440ドット時102fps、3,840×2,160ドット時63fps。

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークは3,840×2,160ドット、最高品質で6353(快適)だった。

 パーツ構成から想定されるスコアをキッチリと出している。

【表2】LEVEL-R769-LC127K-UAXのベンチマーク結果
Cinebench R23
Multi Core22,455
Single Core1,923
PCMark 10
Standard7,208
Extended9,707
3DMark
Fire Strike29,551
Time Spy14,370
Far Cry 6
1,920×1,080ドット(Ultra画質)114fps(平均フレームレート)
2,560×1,440ドット(Ultra画質)102fps(平均フレームレート)
3,840×2,160ドット(Ultra画質)63fps(平均フレームレート)
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
3,840×2,160ドット(最高品質)6,353(結果:快適)

 ではこれらベンチマーク中の各部温度をグラフで見てみよう。Cinebench R23は30分間Multi Coreテストを繰り返した際のもの、Far Cry 6は4K、Ultra画質を(手動で)10分間繰り返した際のもの、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークについては4K、最高品質をループモードで30分動作させた際のものをデータとしている。

 Cinebench R23 Multi CoreテストはCPU負荷テストなのでCPU温度のみが高くなるグラフだが、最大で78℃だ。Core i7-12700Kでスコア22,400前後をコンスタントに出している状態とすればまずまずの温度に抑えられていると言えるだろう。

Cinebench中の動作温度

 PCMark 10 Standardはホーム、ビジネス、クリエイティブといった用途を想定したプログラムを実行するテストだ。CPU負荷が中心だがGPGPU処理でGPUも利用する。また、これらは短時間の負荷の繰り返しとなることもあり、全体的に温度は低めで推移する。

 CPUはホーム用途のEssentialsシナリオで序盤に60℃を突破、最大63℃を計測したが、以降は40℃台中心でまれに50℃を超える程度だ。GPUはクリエイティブ用途のDigital Content Creation時に最大58.4℃を計測したがそのほかは概ね40℃前後で推移する。SSDの読み込みも多めだがこれも30℃前後で推移していた。

PCMark 10中の動作温度

 3DMarkのTime Spyは冒頭のデモと終盤CPUテストでCPU負荷が高く、60℃を超えるシーンが見られたがほかは40℃前後で推移している。GPU負荷はデモシーンでは低めだが、Graphicsテスト、CPUテストでは高く、温度も60℃を超えているものの、70℃には達していない。

3DMark中の動作温度

 Far Cry 6は同じベンチマークシーンを繰り返しているため、1ループが終わるたびに負荷が抜けて冷えるが、序盤よりも中盤~終盤にかけてが温度的に飽和する。GPU温度は最大67.8℃に達したが、これも70℃に達することはなかった。一方、CPU温度は終盤で何度か60℃に達したが概ね40℃台で推移している。

Far Cry 6中の動作温度

 最後のFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークは、ループモードを利用しており負荷が抜けるシーンはない。GPU温度は約200秒で67℃台後半に達し、以降は概ね68℃±1℃の範囲で推移する。CPU温度は激しく上下しているが、50℃を超えるシーンは少なく、中央値は38℃あたりになる。

FFXV中の動作温度

 これら5つのグラフが示す通り、PC上各パーツは安全な温度域に収まっている。

 LEVEL-R769-LC127K-UAXが採用している36cmクラスの簡易水冷CPUクーラーの性能や、ビデオカードの3連ファンの性能もあるが、Far Cry 6やFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークのように3D負荷を長めにかけても温度がずるずる上昇するのではなく、天井が見えた状態である点は、新筐体の冷却性能の高さと言えるだろう。

 フロントパネルはフラットだが通気性はよく、ファンの数も豊富なのでケース内部で熱がこもるということはないようだ。

新しいLEVEL∞の顔、新筐体は外も中も満足させてくれる仕上がり

 LEVEL-R769-LC127K-UAXを用いてLEVEL∞の新型ミドルタワー筐体の特徴、性能を見てきた。デザインは日本のゲーマー好み。昨今のPCケーストレンドを取り込み、特にフロントインターフェイスにUSB Type-Cを取り入れたのは先進性があると言える。

 ビデオカードサポートステイもハイエンドゲーミングPCでは必須のものだ。冷却性能は検証の通り。発熱量の大きなハイエンドパーツを組み込んでも、しっかりと冷やし性能を引き出してくれる。2022年のゲーミングPCにふさわしい筐体に仕上がっていると言えるだろう。