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同じ「M5」なのに結構違うかも?最新のiPad ProとMacBook Proの横並び比較で見えたこと
2025年11月20日 06:20
AppleはM5を搭載した「11インチ/13インチiPad Pro」と「14インチMacBook Pro」を10月22日に販売開始した。価格はiPad Proが16万8,800円から、14インチMacBook Proが24万8,800円から。
製品の成り立ちは異なるものの、iPadが採用する「iPadOS 26」がウィンドウのサイズや配置を自由に調整可能となり、Mac、PCユーザーがある程度は違和感なく利用可能となったのが注目点と言える。
そこで今回はAppleから「11インチiPad Pro(M5)」と「14インチMacBook Pro(M5)」を借用し、同じM5を搭載するデバイスとして、両者のスペック、パフォーマンス、使い勝手などを比較してみた。
両者の大きな違いは端子、通信機能、そして当然形状だ
今回の「iPad Pro」と「14インチMacBook Pro」は、Apple独自開発のM5チップを採用している。M5は3nmプロセスで製造されており、M4に対して最大15%高速なマルチスレッド性能、最大45%高いグラフィックスパフォーマンスを実現。また帯域幅が約30%増加して153GB/sになったユニファイドメモリと、より高速なNeural Engineにより、デバイス上のAIツールのパフォーマンスが強化されたと謳われている。
なお、iPad Pro(M5)のストレージは256GB/512GB/1TB/2TBの4種類が存在しており、256GB/512GB搭載モデルは9コアCPU(高性能コア×3、高効率コア×6)、1TB/2TB搭載モデルは10コアCPU(高性能コア×4、高効率コア×6)が異なる。よりパフォーマンスを必要とする方は留意しておこう。
大まかなスペックについては、下記の表を参照してほしい。
| 11インチiPad Pro(M5) | 13インチiPad Pro(M5) | 14インチMacBook Pro(M5) | |
|---|---|---|---|
| OS | iPadOS 26 | macOS Tahoe 26 | |
| CPU | 【256GBまたは512GBストレージモデル】 M5(高性能コア×3、高効率コア×6) 【1TBまたは2TBストレージモデル】 M5(高性能コア×4、高効率コア×6) | M5(高性能コア×4、高効率コア×6) | |
| メモリ | 12GB、16GB | 16GB、24GB、32GB(LPDDR5) | |
| ストレージ | 256GB、512GB、1TB、2TB | 512GB、1TB、2TB、4TB | |
| ディスプレイ | 11インチOLED(2,420×1,668ドット) | 13インチOLED(2,752×2,064ドット) | 14.2インチIPS液晶(3,024×1,964ドット) |
| サウンド | 4スピーカーオーディオ、4アレイマイク | 6スピーカーオーディオ、3アレイマイク | |
| 通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth 6 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 | |
| WWAN | 5G(eSIM) | - | |
| インターフェイス | Thunderbolt/USB4 | MagSafe 3、Thunderbolt 3基、HDMI、SDXCカードスロット、3.5mmヘッドフォンジャック | |
| カメラ | 広角カメラ(12MP)、フロントカメラ(12MP) | 12MP | |
| センサー | Face ID、LiDARスキャナ、3軸ジャイロ、加速度センサー、気圧計、環境光センサー | 環境光センサー | |
| バッテリ容量 | 31.29Wh | 38.99Wh | 72.4Wh |
| バッテリ駆動時間 | Wi-Fiでネット利用/ビデオ再生:最大10時間、モバイルデータ通信でネット利用:最大9時間 | ネット利用:最大16時間、ビデオ再生:最大24時間 | |
| バッテリ充電時間 | 約30分で最大50%充電(40W以上供給できるUSB-C電源アダプタを使用した場合) | 非公表 | |
| 本体サイズ | 約249.7×177.5×5.3mm | 約281.6×215.5×5.1mm | 約312.6×221.2×15.5mm |
| 重量 | Wi-Fiモデル:444g、Wi-Fi+Cellularモデル:446g | Wi-Fiモデル:579g、Wi-Fi+Cellularモデル:582g | 約1.55kg |
| セキュリティ | Face ID | Touch ID | |
| カラー | シルバー、スペースブラック | シルバー、スペースブラック | |
| 価格 | 16万8,800円~39万2,800円 | 21万8,800円~44万2,800円 | 24万8,800円~51万2,800円 |
見た目の違い
CPUコア数の差はわずか、高負荷時には冷却ファンを搭載するMBPが有利
それではパフォーマンスから比較してみよう。今回借用した「11インチiPad Pro(M5)」はメモリ12GB/ストレージ512GB、「14インチMacBook Pro(M5)」はメモリ16GB/ストレージ512GBを搭載している。
つまりプロセッサは、「11インチiPad Pro(M5)」(以下iPad Pro)が9コアCPU[高性能コア×3、高効率コア×6]、「14インチMacBook Pro(M5)」(以下MBP)が10コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×6]だ。高性能コアの数に差があることを踏まえて、ベンチマークスコアを見ていこう。
CPU/GPU性能
まず、CPU/GPUベンチマーク「Geekbench 6」については、iPad ProがMBPに対して、Single-Core Scoreで98%相当、Multi-Core Scoreで87%相当のスコアとなった。Single-Core Scoreは計測誤差だろうが、Multi-Core Scoreでは高性能コアの数が明確に表われている。
GPU性能
一方、GPUコアについては性能差がないはずだが、Geekbench 6のGPU Metal Scoreの差はわずかだったものの、3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark」では、iPad ProがMBPに対して、Steel Nomad Lightで72%相当、Solar Bay Extremeで66%相当、Solar Bayで68%相当、Wild Life Extremeで69%相当のスコアに留まった。
この差については、MBPに冷却ファンが搭載されており、ファンレスのiPad Proよりもサーマルスロットリング(温度上昇による性能制限)が起きにくいことが原因である可能性が高い。
ストレージ性能
ストレージ速度については、ストレージベンチマーク「Jazz Disk」で計測したところ、iPad ProがMBPに対して、Sequential Readで103%相当、Sequential Writeで94%相当、Random(4K) Readで102%相当、Random(4K) Writeで103%相当というスコアになった。全体的にはiPad Proのほうが好成績だったわけだ。ただし、このぐらいであれば計測誤差の範疇だし、体感できるほどの違いでもないと言える。
エンコード性能
実際のアプリにおける処理スピードも試してみた。まずApple純正の動画編集アプリ「iMovie」で2時間8分のフルHD動画の書き出しを実行したところ、iPad Proが14分38秒(877秒)、MBPが14分12秒(852秒)となった。冷却ファンを搭載するMBPのほうがわずかだが早く書き出し処理を終えたわけだ。
ただし、iMovieのiPad版は解像度しか選択できないため、MBPでは書き出し後のファイルサイズに合わせて、「品質: 中」「圧縮: 高速」を選択して実行している。最終的なファイルサイズはiPad Proは14.65GB、MBPは12.92GBとなったので、両機種で同じ処理を行なったわけではない。可能な範囲で出力ファイルのサイズを合わせた、参考値として受け止めてほしい。
バッテリ駆動時間
バッテリ駆動時間については、ディスプレイ輝度、ボリューム50%でYouTube動画を連続再生したところ、4時間後のバッテリ残量はiPad Proが67%、MacBook Proが78%になった。つまり単純計算で、バッテリ残量0%までであれば、iPad Proが約12.1時間、MacBook Proが約18.2時間動作することになる。
どちらの機種でもまだ輝度を下げても実用的な視認性を得られるので、調整次第でスペック通りのバッテリ駆動時間となるだろう。とはいえスタミナ性能としては、11インチiPad Proの2倍以上の72.4Whバッテリを搭載するMBPのほうが上だ。
純正アプリは両プラットフォームに提供、ただし画面構成が微妙に異なる
Apple純正アプリは同じものが両プラットフォームに提供されている。特に「Pages」「Numbers」「Keynote」などのビジネス系や、「iMovie」「GarageBand」などのクリエイティブ系がどちらでも利用でき、ファイル互換性が保たれている。またほかのオフィス系アプリのファイルを読み込んだり、他形式で書き出せる。どちらのモデルを購入した場合でも困ることはないはずだ。
ただ下記の画面写真を見ていただければ分かる通り、画面構成が微妙に異なっている。基本機能だけを使っているのなら困ることはないが、全機能をフル活用する際にはある程度の慣れは必要だ。
マルチウィンドウ操作には事前の設定が必要
さて前述の通り、「iPadOS 26」はウィンドウのサイズや配置を自由に調整可能となった。デフォルトではこれまで通りアプリをフルスクリーンで表示する「フルスクリーンアプリ」に設定されているが、「設定→マルチタスクとジェスチャ」で「ウィンドウ表示アプリ」を選択すれば、WindowsやmacOSと同じような感覚でウィンドウを好きな位置に配置し、ほかのウィンドウを参照しつつ作業したり、直感的にコピー&ペーストなどを利用できる。
ただまったく同じUIというわけではなく、細かなところではウィンドウサイズの調整の際に左上をつまむことができないなどの違いがある。マルチフィンガージェスチャーの挙動も異なっている。どちらかだけを使うのであれば問題はないが、両プラットフォームを交互に使う場合などは、ちょっと混乱するというのが正直なところだ。
WindowsやmacOSに慣れたユーザーが使いにくさを感じやすいのが、iPadOSのファイル管理システム。iPadOSではアプリごとに独立した「サンドボックス構造」が採用されており、従来の階層型ファイルシステムのように自由な操作ができない。デスクトップOSに慣れたユーザーが違和感を覚えるのは当然だ。
一方で、近年はスマホやタブレットしか使ったことのない世代が増加している。そのようなユーザーにとっては、シンプルで直感的に扱えるiPadOSの「ファイル」アプリのほうが理解しやすいはず。今後もユーザー層の割合が変化していくことを考えると、いずれはiPadOS的ファイル管理システムが主流となる可能性が高い。
両方式が共存しつつも、緩やかに割合が変化していくのだから、現時点でファイル管理システムの「優劣」を判断することに意味はないと筆者は考えている。
両者は競合というより、異なるワークスタイルに最適化された2つの選択肢
iPad ProとMBPは、同じプロセッサを採用しつつ、製品の成り立ちがまったく異なる。MBPは冷却ファンと大容量バッテリ、豊富な端子を備え、長時間の高負荷処理や外部周辺機器との接続も考慮したマシンだ。一方、iPad Proは極薄ボディと軽さ、タッチ・ペン操作を生かしつつ、「iPadOS 26」でよりPC的な利用も可能となっている。
性能・機能面ではMBPのほうが優位だが、iPad Proは直感的な操作性とシンプルなファイル管理システムにより、スマホ世代にもなじみやすい。両者は競合というより、異なるワークスタイルに最適化された選択肢と言えるだろう。












































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