特集

古いスマホは捨てるな!サブモニターに無線マイクなど、まだまだ活用できる方法6選

機種変更で不要になったスマホの使い道はたくさんある。今回は、iPhone(写真手前)はiPhone 8(iOS 16.7.7)、Android(写真奥)はPixel 4 XL(Android 13)で試用を行なっている

 スマホの機種変更を行なったあと、長年使ってきた古いスマホはどことなく処分しにくいもの。古いといっても直前まで現役だったわけで、工夫すればまだまだ使える。そうしたことから売却せず、手元に残してある人は多いのではないだろうか。

 もっともこうした場合に、無理に使い道を見出そうとして、スマホ自体の運用の効率が下がってしまうのは考えものだ。どうせならば、2台に分けることで、より効率的な使い方や、これまで不可能だった使い方が可能になるというのが、あるべき姿と言えるだろう。

 今回はそうした、メインスマホとは別に、古いスマホを有効活用するのにぴったりな用途を、それを実現してくれるアプリとともに紹介する。PCはWindowsを、スマホは原則としてiPhoneとAndroidの両方で使えることを前提としているが、一部例外もあるのでご了承いただきたい。また無料で使える機能や日数に制限がある場合もあるので注意してほしい。

スマホをPCのサブモニターとして使う

 最初に紹介するのは、スマホをPCのサブモニターとして使うためのアプリだ。画面サイズは小さいとはいえ、作業中に邪魔なウィンドウを移動させておいたり、ウィジェットを常時表示させておいたりと、何かと役に立つ。

 もしこれをメインのスマホで行なおうとすると、使用中に通知や着信が入ってくるたびに画面を切断しなくてはならず、非常に煩わしい。メインスマホとは別に運用しているからこそできる活用法と言っていいだろう。

 アプリは汎用性を重視するのであれば「SPACEDESK」がおすすめだ。PC側にソフトをインストールして起動状態にしておけば、あとはスマホ側でビューアアプリを立ち上げると一覧にPCが表示されるので、タップするだけで起動できる。あとはWindows側のディスプレイ設定で、解像度などを調整してやればよい。

「SPACEDESK」。スマホやタブレットをサブモニターとして使うアプリだ
まずはPCにソフトを導入し、起動しておく
続いてスマホ側(iOS版Android版)にもアプリを導入。起動するとPCのIPアドレスが表示されるのでタップ
スマホにPCの画面が表示された。解像度や配置などの設定はPC側で行なう
iPhoneはもちろんAndroidでも表示が可能だ

スマホをPCの監視ツールとして使う

 続いて紹介するのは、PCをシステムモニター画面を表示するためのアプリだ。自作PC界隈では、サブモニターを使ってPCのCPU使用率や温度、消費電力などを表示するのが一部で流行しているが、それをそっくりスマホに置き換えた格好だ。離れた場所に設置してあるPCのこれらステータスを、枕元などから監視できるスグレモノだ。

 今回は「TRIGONE」というソフトを使用している。必ずしも広い画面サイズを必要としないことから、使い道のない古いスマホの活用には適している。ちなみに対応するのはAndroidのみだ。

 使い方はこちらもやはり、まずPC側にサーバーソフトをインストールして起動。続いてスマホ側でクライアントアプリを起動すれば、サーバーが動作しているPCのIPアドレスが表示されるので、それをタップすれば起動する。不必要な項目は表示をオフにし、なるべく少ない画面数で多くの情報を表示できるように調整しよう。

「TRIGONE」。PCのシステムモニターをスマホで表示できる。まずはPC側でサーバーソフトをインストールし起動しておく
続いてスマホアプリをインストール。起動するとこのようにサーバーのIPアドレスが表示される
タップするとPCのシステムモニター画面が表示される。項目は多彩だ
Windowsのタスクマネージャーのようなグラフ表示にも対応する
表示する項目は自由に選択できる。見やすいように絞り込んでおこう

スマホでPCやNAS上の音楽を再生する

 次に紹介するのは、PCに保存した音楽ファイルを、スマホ上でストリーミング再生する用途だ。大量の音楽ファイルを保存している場合に、わざわざスマホにダウンロードしなくとも再生できるので、容量が少ない古いスマホでも問題なく使える。

 同種のサービスは複数あるが、今回はPCやMacのほか、SynologyなどのNAS内に保存した音楽ファイルの再生にも対応する「Subsonic」を使用する。まずPC側に「Subsonic」をインストールし、ブラウザで設定画面のページを開く。最初にユーザー名とパスワードなどの基本項目や、音楽ファイルの保存場所などを設定する。

 続いてスマホに再生アプリをインストールする。この「Subsonic」対応のスマホアプリは多数あるが、今回は「substreamer」を使用する。インストールが完了し、サーバーのIPアドレスとポート、さらにユーザー名とパスワードを入力してログインすれば、音楽ファイルのライブラリが表示される。あとは一般的な音楽プレーヤーを使うのと同様、再生を行なえばよい。頭出しやリピートなどの機能も使える。

 メインのスマホをこうした用途に使うと、音楽再生中に通知や着信で遮られることもしばしばなので、こうした古いスマホを使い、さらにBluetoothスピーカーも組み合わせた再生環境を構築するのはよい手だ。CPUパワーをそれほど必要としないのも、古いスマホをそのまま活かせるという意味でメリットだ。

サーバーアプリの対応OSは多彩。今回はWindows用の「Subsonic」をダウンロードし、インストールを実行
ブラウザから「http://localhost:4040/index.view」にアクセスすると設定画面が表示される。言語設定を日本語にしたのち、IDとパスワードの変更を行なっておく
音楽フォルダのパスを指定すると曲が読み込まれる。iTunesで管理しているフォルダをまるごと指定することもできる
続いてスマホアプリ「substreamer」(iOS版Android版)をインストールし、さきほど設定したIDとパスワード、およびサーバーのIPアドレスとポート番号を入力してログイン
ホーム画面。指定した音楽ファイル内のアルバムが表示されている
曲をタップすれば通常の音楽アプリと同じく、再生や頭出し、リピートなどが行なえる
今回はiPhoneで手順を紹介したがAndroid(右)でも同様。同時にアクセスして異なる曲を再生することもできる

スマホをWeb会議用のWebカメラとして使う

 スマホをPCの周辺機器として使うというのは、スマホのハードウェアを有効活用するという意味でよい方法だ。代表的なのはWebカメラで、Webカメラを内蔵していないデスクトップPCに追加すれば、市販のWebカメラを買い足すことなく、テレビ会議などで活用できる。

 最大のメリットは画素数だ。市販のWebカメラは、安価な製品だと画素数が低いこともしばしばだが、スマホのカメラであれば一定以上の画質が期待できる。不要になった古いスマホが、一昔前のハイスペック機だった場合はなおさらだ。スマホの広い画面がそのままファインダーとして使える利点もある。

 今回は「iVCam」を使用する。最初にPCにサーバーソフトをインストールして起動。続いてスマホ側でアプリを起動するとPCからWebカメラとして認識されるので、設定画面の「カメラ」で選択すれば、カメラの映像が表示される。外付けカメラの1つとして認識されるので、さまざまなWeb会議サービスとの組み合わせで活用できる。

今回は「iVCam」を使用する。まずはPCにサーバーソフトをインストールする
続いてスマホにアプリ(iOS版Android版)をインストール。起動するとPCを自動的に見つけてくれるので再生ボタンをタップする
あとは一般的なWebカメラと同じように使えばよい。画面がそのままファインダーになるのでプレビューも容易だ。ちなみにワイヤレスで接続できるので設置場所の制約もない
Windowsの「カメラ」アプリで表示したところ。Windowsからは外付けカメラの1つとして認識される。なおほかにもWebカメラを接続している場合はここで切り替えてやる必要があるので要注意
市販のWebカメラと比べても高解像度で、スマホの性能をフルに活かせる。ちなみにAndroidはもちろんiPhoneにも対応する

スマホをPCのマイクとして使う

 スマホをPCのカメラとして使えるのと同じように、マイクとして利用することも可能だ。PCに内蔵されているマイクと異なり、置き場所を自由に変更できるので、より声が通りやすい場所に設置したりと、自由度の高さは重宝する。専用のマイクを購入する前に、1度は試してみたい。

 今回使用したのはiPhoneとAndroidの両方に対応する「WO Mic」。まずはPCにクライアントアプリおよびランタイムをインストールしたのち、スマホにもアプリをインストールし、起動。表示されているスマホのIPアドレスをPC側で入力してやれば、マイクとして接続される。なおPC上で音を聴くには、オプションの「Play in speaker」にチェックを入れてやる必要がある。

 ちなみに前述のWebカメラアプリ「iVCam」にも、オプションとしてマイク機能が搭載されている。カメラと一体化していることから置き場所を自由に移動させられるメリットはないが、Web会議などでカメラとマイクがどちらも必要な場合は、こちらのほうがオールインワンで使えて便利かもしれない。

今回は「WO Mic」を使用した。まずは指示に従ってPCにクライアントおよびランタイムをインストールする
並行してインストールしておいたスマホアプリ(iOS版Android版)を起動。IPアドレスが表示されている
続いてPC側のクライアントで「Connect...」を開き、前述のスマホアプリで表示されていたIPアドレスを入力したのち「Connect」をクリック
接続完了。この時、オプションの「Play in speaker」にチェックを入れておく
Windowsの設定で「システム」→「サウンド」に、マイクとして「WO Mic Device」が表示されているので選択する。これでマイクとして使えるようになった

スマホをマウスやキーボードの代わりに使う

 最後に紹介するのは、スマホをキーボードやマウスの代わりに使うアプリだ。これを使えば、スマホのタッチスクリーンを使って、PCのマウスポインタの移動やクリック、スクロールといったマウス操作のほか、ソフトキーボードからの文字入力も行なえる。

 今回試した「Remote Mouse」は、iPhoneとAndroidのどちらにも対応。無料版では基本的なマウス操作に加えて、英字キーボードからの文字入力も行なえる。キーボードは日本語非対応ゆえ英数字のみとなるが、パスワードの入力など、使い道はあるはずだ。

 使い方は、PCにサーバーアプリをインストールしたのち、スマホにアプリを導入する。一般的なタッチやスワイプ、ホールドしてのドラッグのほか、2本指でのスクロールにも対応している。ちなみにマルチメディアキーの操作などの機能も用意されているが、こちらは有料版限定となる。

まずは「Remote Mouse」のサイトからPC向けアプリをダウンロードしインストール。完了したら起動する
スマホアプリ(iOS版Android版)を起動するとPC側が認識される。タップすると接続される
マウスおよびタッチパッドとして利用できる。2本指でのスクロールなどにも対応
キーボードとしても使える。ただし日本語キーボードは用意されていない
PCとはBluetoothでの接続も可能だが、その場合もPC用サーバーアプリはインストールする必要がある

まとめ:セキュリティ面はくれぐれも注意を

 以上のように、さまざまな活用方法があるが、1つ気をつけたいのは、古いスマホは、セキュリティアップデートが早いタイミングで終了している場合が多いことだ。怪しいリンクは踏まない、素性の知れないアプリは入れないなどのルールは必ず守るようにしたい。

 またこれに加えて、古いスマホともなると、OSアップデートが終了しているせいで、アプリがインストールできないこともある。その場合は潔く諦めるしかない。

 いずれにしても、スマホ自体に愛着があって、手放したくなく、かといって引き出しの中に入れっぱなしで死蔵するよりは何かしらの方法で活用したいという場合、今回紹介したようなアプリを試してみるとよい。メインスマホしか所有していなかった時とは違った、新しい世界が開けるかもしれない。