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iPhoneが使える!macOS Venturaの「連係カメラ」を試してみた。アタッチメント2製品もレビュー

「連係カメラ」の使用例。MacBookなどに装着するためには、サードパーティ製アタッチメントが必要となる

 MacBookにはWebカメラが搭載されている。しかし比較的新しい「14/16インチMacBook Pro(2021)」や「MacBook Air(M2、2022)」であっても解像度は1080pで、iPhoneに搭載されている背面カメラとはイメージセンサー、レンズ性能に大きな差がある。

 そこでMacユーザーの多くが持っているiPhoneのカメラを有効活用するために、「macOS Ventura」で搭載された新機能が「連係カメラ」。iPhoneをMacとワイヤレス接続し、Webカメラとして利用するための独自機能だ。

 本記事ではこの連係カメラの使い方、MacBookのWebカメラとの画質比較、そして連係カメラに対応したサードパーティー製アタッチメントについてレビューしていこう。

連係カメラはカメラ関連アプリを起動すればすぐ使える

 連係カメラを利用するための設定は特に必要ない。macOS VenturaがインストールされているMacでWebカメラを利用するアプリを起動すれば、「iPhoneをWebカメラとして使用」という画面が表示される。ここで「今すぐ試す」ボタンをクリックすれば、WebカメラからiPhoneのカメラにプレビュー映像が切り替わる。iPhone側でも設定を変更する必要はなく、非常にお手軽だ。

Webカメラを利用するアプリを起動すれば、「iPhoneをWebカメラとして使用」という画面が表示される
連係カメラに対応したアタッチメントをiPhoneの背面に装着する
iPhoneをMacBookのディスプレイに取り付けたら、「今すぐ試す」をクリックする
すぐにWebカメラからiPhoneのカメラにプレビュー映像が切り替わる
連係カメラの使用を開始すると、「●●●●に接続しました」という画面がiPhoneに表示される
MacBookのWebカメラとiPhoneのカメラのどちらを使うかは、いつでも「カメラ」から切り替え可能だ

標準カメラと連係カメラの画質はまったくの別物

 今回連係カメラを試すにあたり、Macには720pの「FaceTime HDカメラ」を搭載する「MacBook Air(M1、2020、以下同)」、iPhoneには4,800万画素メイン/1,200万画素超広角/1,200万画素望遠カメラを搭載する「iPhone 14 Pro」を使用したが、両者の画質はまったくの別物だ。

 720pとは言え、MacBook AirのWebカメラの画質は、ノートPC用としては決して悪くはない。しかし、最新iPhoneのメインカメラと比べればイメージセンサーサイズ、レンズの光学性能はまったくの別物だ。

 今回は「Photo Booth」で撮影した写真を下に掲載しているが、解像感、露出やホワイトバランスの正確性は比較にならない。組み合わせるiPhoneによって画質が異なる可能性はあるが、連係カメラによる映像はWebカメラとして現在望みうる最高品質と言えるだろう。

連係カメラ(iPhone 14 Pro)で撮影した写真
MacBook Air(M1,2020)」のWebカメラ(720p)で撮影した写真
「MacBook Air(M2,2022)」のWebカメラ(1080p)で以前撮影した写真。座っている場所は異なるが、同じ室内灯下で撮影した写真だ。解像感などの参考にしてほしい

 また連係カメラ利用時には、背景をぼかす「ポートレート」、顔にライトを照らして背景を暗くする「スタジオ照明」、つねにユーザーをフレームの中央に収め続ける「センターフレーム」などのエフェクトを利用できる。これだけ画質と機能に違いがあるのだ。macOS VenturaをインストールできるMacと、iOS 16を導入可能なiPhoneを持っているのであれば、連係カメラを使わない理由はないと思う。

「コントロールセンター」を開き「エフェクト」をクリックすると、連係カメラで利用できるエフェクトが表示される
連係カメラで撮影した写真(ポートレート有効)
連係カメラで撮影した写真(スタジオ照明有効)
連係カメラで撮影した動画(センターフレーム有効)

 加えて、iPhoneの超広角カメラの広い画角を利用した「デスクビュー」という機能が用意されており、手元の映像を撮影可能だ。ただし、斜めから撮影した映像を台形補正しているので、真上から撮影したように見えても、テーブル面から離れるほど歪みが発生する。簡易的に手元を撮影するのには便利だが、自然な俯瞰映像を撮影したいのなら、俯瞰撮影用スタンドを用意したほうがいい。

「デスクビュー」を有効にしたら、まずはスライダーを動かして撮影範囲を設定する
少しでも厚みがある被写体だと、このように縦横比が変化してしまう
テーブルに置いた紙の上であれば縦横比は変わらない

 連係カメラはスマホアームスタンドなどでも利用できるが、専用に開発されたアタッチメントのほうが、いつでも手軽に設置できる。今回は連係カメラ対応の2製品を紹介しよう。

MagSafe非対応iPhoneでも利用できる「MagRinCam」

 トリニティの「MagRinCam」(直販価格2,680円)は連係カメラに対応したMagSafeリングスタンド。磁気増強メタルリング「MagRing」が同梱されており、MagSafe非対応iPhoneやケースでも本製品を利用可能だ。

MagRinCam、MagRingに加えて、貼り付けツール、アルコールシート、クロスが同梱。貼り付けツールは位置決めに利用でき、「MagRing」を正しい位置に装着できる
MagRinCamの本体サイズは57.1×5mm(直径×高さ)、重量は35g
MagRinCamの裏面は樹脂製

 MagRinCamは、普段はiPhoneの落下を防止するホールドリングや、iPhoneを立てて設置できるスタンドとして利用可能。リング根元にあるツメを利用してMacBookのディスプレイ上部に装着できる。Appleデバイス用アクセサリのデザインガイドラインに準拠しており、MacBookのディスプレイを傷つける心配はない。

MagRinCamの磁力はかなり強力。リング部だけをつまんで軽く振ってみても、はずれてしまうような不安感はない
動画視聴時に重宝するスタンド機能
凹部にはシリコンクッションが貼られており、MacBookのディスプレイを傷つけないように配慮されている

 MagSafe非対応iPhone、ケースにも対応可能な「MagRing」や貼り付けツールが同梱されているにもかかわらず、2,680円という低価格を実現しており、コストパフォーマンスに優れる連係カメラ対応のリングスタンドだ。

WWDCでも披露されたAppleお墨付きの「Belkin iPhone Mount with MagSafe for Mac Notebooks」

 Belkinの「Belkin iPhone Mount with MagSafe for Mac Notebooks」(Apple Store価格4,400円)は、Appleが6月に開催したイベント「WWDC 2022」で連係カメラ対応製品として披露されたMagSafeリングスタンド。カラーは今回借用したブラックモデルに加えて、ホワイトモデルも用意されている。

Belkin iPhone Mount with MagSafe for Mac Notebooksの本体サイズは6×6×0.65cm、重量は35g
裏面は「MagRinCam」より軟らかめの樹脂製

 本製品も同様に、普段はホールドリング、リングスタンドとして利用可能だが、連係カメラのためにMacBookに装着する際にはリング根元のツメを引き出して装着する構造を採用している。その分リング、固定具を収納したときには飛び出し部のないフラットなフォルムとなる。

ホールドリングの穴はやや小さめだがフィット感は良好
本製品はMagRinCamと同様に、スタンドを回転したり、角度調整できる
MacBookに装着する際にはリング根元の固定具を引き出す
MagRinCamよりも磁力が弱めな分、ディスプレイ上部に装着したときに角度調整しやすい

 Belkin iPhone Mount with MagSafe for Mac Notebooksはリング部の造形が凝っており、高級感がある。またブラックモデルとホワイトモデルが用意されており、iPhoneに合わせて好みのカラーを選択可能だ。Apple Storeで販売されており、価格は少しお高めだが、「WWDC 2022」で初披露されたときのデザインが気に入ったのであれば、買って満足感の高い一品と言えよう。

 なおどちらの製品も、連係カメラを利用するための必携アイテムだが、最初に装着する際にはディスプレイの角度に注意してほしい。ディスプレイをあまり寝かせていると、iPhoneの重みで後ろ側に倒れてしまうためだ。

 連係カメラは、MacBook内蔵のWebカメラを使うときよりも、ディスプレイを立てた状態で利用できるので実用上は問題ない。まずはディスプレイを直角にして、iPhoneを設置してから、適切な角度に調節することを強くおすすめする。

勢いよく倒れればiPhoneに傷が付きかねないので、くれぐれもご注意を!