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既存PCのWi-Fi 6E対応状況を各社に確認してみた

富士通LIFEBOOK UH75/B1における技適のディスプレイ表示例。本体に刻印やシールはないが、BIOSに入って「認証情報」を選ぶと技適が表示される。ちなみにこの機種はそもそもWi-Fi 6対応でもないが、このようなディスプレイで技適を表示するタイプのWi-Fi 6Eモジュール搭載済みノートPCは、ファームウェアやBIOSのアップデートでWi-Fi 6Eに対応する可能性が高い

 去る9月2日、総務省は電波法施行規則等の一部を改正する省令を発表し、Wi-Fi 6Eで使われる6GHz帯を規定し、技術基準適合証明(技適)の対象とした。これを受ける形でWi-Fi 6E対応無線LANルーターの新製品が、NECプラットフォームズおよびバッファローから発表された。

 ただ、無線LANルーター側が対応しても、PCやスマートフォンといったクライアントが非対応だと無意味となってしまう。PCでは、既にWi-Fi 6Eに対応した無線LANモジュール(Intel AX210/211およびAMD RZ608/RZ618)があり、これを搭載したPCがすでにあるのだが、日本向けにはドライバなどによってWi-Fi 6Eの部分を無効にして出荷されていた。

 過去のWi-Fiの場合と異なり、総務省ではWi-Fi 6Eについて、既存製品も新たに技術基準適合番号の申請を求め、その番号表記をした製品でのみWi-Fi 6Eを利用可能とすることとした。

 この詳細については、僚誌INTERNET Watchの記事が詳しいが、内容を大雑把にまとめると、

  • シールや本体への刻印/印刷などで技適番号が表示されている既存のPCで新たに対応するのは現実的に難しい
  • 番号を電磁的にのみ表示するタイプのPCではアップデートにより対応は可能(表示方法について説明書などに記載する必要がある)

となる。

 筆者が確認した限りでは、Intel AX210/211やRZ618/608を含む多くの無線LANモジュールは、モジュール上で技適番号の表記をしていないようで、PC本体としてもモジュールの技適に準ずるものとして、本体に番号を表記をしていない製品が多数のようだ。なおIntel AX210/211の技適なら、Intelが公開している各国の規制に準拠したことを示すPDFで確認できる

 もちろん、技適取得済みモジュールを搭載していても、PC全体としても技適を取得して、独自の番号を付与している製品もあり、これらのPCがシールや刻印によって記載されているのであれば、ソフトウェアでの将来的なWi-Fi 6Eへの対応は困難だと言える。

 対して、モジュールの技適に準拠するのか、本体として技適を取得したのかを問わず、電磁的表示のみを行なっている製品で、それがアップデートできるなら対応は容易と言ったところだろう。

では、対応しているPCは?

 このようにWi-Fi 6Eへの対応の可否はメーカーによってマチマチ、さらに言えば同じメーカー内でもモデルによってはマチマチとなる可能性がある。そこで、実際にどのように対応していくのかを各メーカーに聞いて取りまとめた。

 以下、各社広報のコメントを紹介をする。なお、唯一VAIOについては既に一部機種(VJS125*、VJS145*、VJS155*、VJPH23*、VJPJ22*、VJPK22*)でアップデートプログラムを適用することによりWi-Fi 6Eへの対応が可能と公式にアナウンスされているほか、NECパーソナルコンピュータが10月に発売した製品「LAVIE N15」および「LAVIE Direct N15」ではドライバの更新により対応できるしている。

  • レノボ・ジャパン
    現時点で公開できる内容はございません。
  • NECパーソナルコンピュータ
    対応予定はございません(ただし10月発売のLAVIE N15などの製品は対応)。
  • エムエスアイコンピュータージャパン
    現時点では調整中となります。
  • ユニットコム(パソコン工房)
    現時点、弊社のPCにはWI-FI6Eモジュールを搭載したモデルはございませんが、今後の新製品において搭載モジュールを採用した製品は調整中となります。
  • FRONTIER
    現時点では調整中。
  • サードウェーブ(ドスパラ)
    サードウェーブの現行ラインナップでWi-Fi 6Eに準ずるモジュールを搭載したモデルはございません。今後の発売予定製品についてはWi-Fi6E対応製品も搭載予定で進めています。
  • Dynabook
    最新の12世代モデル機には一部Wi-Fi 6E対応モジュールを採用しており、現時点ではWi-Fi 6までの機能に絞り対応をしていました。Wi-Fi 6Eが日本でも使えるようになり、既出荷分含めてWi-Fi 6Eを使えるようにすることは技術的に可能です。ただし、電波関係の遵法が最優先であり、どのようにアップデートすることで問題を回避できるかは検討中です。
  • 日本HP
    現在調整しております。決まり次第、製品ホームページ等でご案内予定です。
  • GIGABYTE
    GIGABYTEノートPC製品の中には、Intel AX210/AX211を搭載した製品がございますが、これら製品の6GHz帯技適取得につきましては、現時点では対応は未定です。
  • マウスコンピューター
    販売済みもしくは販売中のモデルに付きまして、Wi-Fi 6Eに対応する製品はございません。今後のWi-Fi 6E対応については技適に準拠した形で製品開発中でございます。
  • デル・テクノロジーズ
    デル、Alienware製品のWi-Fi6Eへの対応に関する詳細は未定・調整中となります。
  • パナソニック コネクト
    レッツノート・タフブックともに対応したモデルはございません。
  • LGエレクトロニクス・ジャパン
    調整中の段階ではございますが、現時点では1月上旬以降で技適の番号を新たに取得し直す予定です。
  • 日本エイサー
    現在社内で対応について協議中でございます。
  • TSUKUMO
    現在弊社では、Wi-Fiモジュールメーカー並びにマザーボードやWi-Fi機器メーカーが、総務省と対応について調整中と伺っております。弊社PCの対象モデルは、ボードメーカーと対応を協議中となっており、現時点において回答を行なえる状況にございません。総務省と機器メーカーの対応が確定した後、適切な対応を検討しアナウンスを行なう予定でございます。
  • ASUS
    現時点は確認中となっております。
  • 富士通
    当社としましては、Wi-Fi 6E対応を調整中でございます。
  • エプソン
    現時点で「Wi-Fi 6E」に対応した製品はありません。対応予定で検討を進めておりますが、対象機種・日程については現在調整中となります。

 このように、一部メーカーはWi-Fi 6E搭載機を販売しておらず、搭載機を発売済みのメーカーでもほとんどが調整中もしくは後日アナウンスとなっている。なお、中国系PCメーカーにも確認をしたが、まだ回答は得られていない。

 10月以降に発売される新製品では、対応する見込みが高そうだ。ルーターやPCを新調するのがこのタイミングなら、対応をきっちり確認した上で購入されることをおすすめしたい。