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スマホとPCの中間サイズ。8型タブレット7機種を一斉レビュー

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【AV視聴目線】鳥居 一豊の評価

※ここでは、鳥居 一豊氏による7製品の評価を掲載している。各製品のスペックやほかのライターの評価をご覧になりたい方は、ページ最下部にあるリンク付きの目次を参照いただきたい。

 価格的な差が思った以上に大きく、高価格なモデルほど画質・音質には有利な傾向があったのは事実。とくにディスプレイの実力は解像度だけでなく、コントラスト感や色再現でもけっこうな差があった。ディスプレイはあとからグレードアップできないので、じっくり吟味して選びたいところだ。

 ただし、そんななかで大健闘したのがAmazonのFire HD 8。ディスプレイの実力の差で上位には食い込めなかったが、音質の良さは水準以上のレベル。価格を考えるとコストパフォーマンスではNo.1と言ってもいいモデルだ。

第1位「Apple iPad mini 4」

 画質は明るさ調整のみ。音質についての細かな調整はなしと、AV性能は案外シンプル。ただし、Retinaディスプレイは高解像度で発色も良好で画質的にも良好。くっきりと明るい画面で、映画特有の暗いシーンも見通しよく再現する。アニメを見ても発色がよく、細部のディテール描写も緻密だ。

 内蔵スピーカーの音は標準的で、ボーカル曲では声を聴きやすい音で再現。下側に配置されたスピーカーの間隔がせまく、ステレオ感がやや感じにくかった。ヘッドフォン出力の音は音圧感やエネルギーも十分で、情報量も豊富。細かい音の再現も優秀で、クラシックなどを聴いても聴き応えは十分。良質なヘッドフォンを組み合わせて使いたい。

 価格の高さから、ディスプレイ、スピーカーなども質の良いものが使われているとわかるが、映像や音にもその差がはっきりと現れた。音質的には内蔵スピーカーのステレオ感がやや物足りなかったが、基本的に実力は高い。ヘッドフォン出力の音も携帯プレーヤーに迫る実力を持つ。価格は高めだが、画質・音質優先ならばぜひおすすめしたい。

第2位「Huawei MediaPad M3 Lite」

 フルHDのディスプレイの採用やHarman/Kardon製スピーカーなど、映像や音にも力を注いだモデル。ディスプレイは色温度の調整が可能で、色温度を暖色とすると映画に合った色になる。

 解像感も十分高く、色合いも自然でなかなか見応えのある映像になる。アニメも発色が豊かで動きによる甘さもなく、キレのよい動きが楽しめた。

 内蔵スピーカーは横置き時の両脇にあり、ステレオ感が良好。音量も十分で迫力のある音が楽しめる。ボーカル曲でもくっきりとした音で情感豊かな声が再現できた。

 ヘッドフォンの音も情報量が豊かで、クラシックを聴いてもスケール感が雄大。各楽器の音色もリアルで、質の高い音だと感じた。

 スペックや機能で目立ったところは少ないが、ディスプレイ、内蔵スピーカーなどの基本的な実力の高さが高得点につながった。外観の仕上がりの良さなども含めて、物作りの質が高く、満足度の高いモデルだ。

第3位「ASUS ZenPad 3 8.0(Z581KL)」

 画面解像度も1,536×2,048ドットを高解像度で、スピーカーは横置きの両側に配置。DTS HDプレミアムサウンド、DTS Headphone:Xに対応しているのが大きなアドバンテージ。映画を見ると、全体に明るい映像だが暗部はやや潰れ気味で暗い場面が見づらいのが惜しい。そのため暗色がやや見づらいが全体的な色再現はリアル志向だ。

 内蔵スピーカーは、やや派手気味で音量は十分パワフルだが、少し高域がキツく感じることがあった。特筆したいのはヘッドフォンの音で、DTS headphone:Xの「ピュア」モードで聴くと、厚みのあるサウンドでボーカルを情感豊かに再現。ベースやドラムの音も忠実感があり、いきいきとした躍動感が良い。

 価格的な優位性もあるが、ディスプレイの出来の良さ、DTS Headphone:X採用など、高機能を盛り込んで、画質、音質ともになかなかの実力を発揮。映画をサラウンドで楽しみたい人にはとくにおすすめしたいモデル。


※以下、4位以降の製品を点数順で掲載。同点の場合は製品リスト順で並べている。

NEC PC LAVIE Tab E TE508/HAW

 画面解像度は800×1,280だが、画質プロファイルとして映画や音楽、ゲームなどが選べ、再現性はなかなか良好。映画も暗部の階調感がスムーズで、迫力のある映像。解像感の不足もあまり感じない。アニメも精細感は十分で色が豊かに出て、満足度は高い。

 内蔵スピーカーは横置き時の左右に配置され、低音から高音までしっかりと鳴る。音場が豊かで細かな音も鮮明に再現できる。

 ヘッドフォン出力は、Dolby Atmos for Headphoneを採用しており、サラウンド再生や音質調整なども可能。音楽を聴くと、情報量の豊かなサウンドで、低音もベースの刻むリズムを力強く再現。ボーカルの生々しい表現もそこそこ。なかなかの本格的な音。

Amazon Fire HD 8(第7世代)

 価格はかなり安価で、ディスプレイは800×1,280となるが、意外や基礎体力が高く、映像、音ともになかなか健闘した。画面は明るさがやや不足気味だが、階調感は優秀で色も自然だ。屋外では使いにくいこともあるが室内ならば不満は少ないだろう。

 内蔵スピーカーは縦置き時の下側の両側に配置。間隔は狭いがステレオ感は十分にある。クラシックのオーケストラの音の広がりも十分に出るし、低音感も不満のないレベルだ。

 ヘッドフォン出力は、低音がしっかりと出て、ステレオの音場感がしっかりと出る。なかなか雄大な再現で、質の高いイヤフォンを使うと、情報量の豊かさや出音の勢いの良さが存分に味わえる。お買い得度ではNo.1。

Huawei MediaPad T3

 カジュアルに使える低価格モデルのため、スペック的な見劣りは少々ある。映画では、暗部の再現が厳しく、動きによる映像のぼやけ感も少々目についた。明るいシーンでの色再現は良好で自然で見やすい。肌の色の描き分けも比較的優秀。アニメは細部の甘さを感じるが、自然な発色でリアルな質感はよく表現できていた。

 内蔵スピーカーは前面に1個配置。低音は不足気味だが、中域が充実していて物足りなさは少ない。ボーカルも力感がしっかりと出て音質としてはなかなかの出来。

 ヘッドフォンの音も中域主体のバランスだが、情報量も豊かで楽器の音色もしっかりと描き分けができている。まとまりのよい聴きやすさが美点。

BLUEDOT BNT-791W

 1万円を切るお買い得モデルだが、画面解像度が低く、ストレージ容量も少ないなど、スペック的な差はある。

 スピーカーは背面にあるため机などに置いてしまうと大幅に音量が減る。立てかけて使うことが推奨。音質的にも低音不足でやや軽い音になる。内蔵スピーカーも中域主体の音になっておい、低音の力感や高域の伸びが不足しがち。ボーカル曲は声もクリアで情報量も十分だが、伴奏の音がややひかえめでパワフルさがほしくなる。

 映画では暗いシーンがやや見にくくなり、映像全体のディテール感も少々ソフトに感じる。アニメの発色はなかなか良好だが、暗色が黒くつぶれがちになるのが惜しい。動きが早い場面でやや甘い描写になるのも気になった。