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スマホとPCの中間サイズ。8型タブレット7機種を一斉レビュー

~カジュアル/仕事/電子書籍/AV視聴目線で個別評価

【モバイルワーク目線】笠原 一輝の評価

※ここでは、笠原 一輝氏による7製品の評価を掲載している。各製品のスペックやほかのライターの評価をご覧になりたい方は、ページ最下部にあるリンク付きの目次を参照いただきたい。

 当たり前の話だが、生産性を重視して評価するとなると、コストパフォーマンスの項目は最後の評価軸にならざるを得ないため、結果はほぼ価格順になっている。

 iPad miniが今回取り上げた製品のなかではずば抜けていいというのは選出の理由にも書いたところだが、それは価格が高いことの裏返しでもあり、順当な結果と言ってもいいだろう。生産性を重視するユーザーの場合、価格とはどれだけ使えば元が取れるかとのバランスこそが重要であって、絶対的な価格は問題ではない。そのため、こういう評価になるのは致し方ないだろう。

 しかしながら、2位に選んだZenPad 3 8.0 Z581KLも、そこそこ高い性能を持つSoCと1,536×2,048ドットという高解像度ディスプレイの組み合わせは悪くなく、価格もLTEが入って35,000円前後という良好なバランス。iOSでなくてもいいというユーザーであれば、こちらも十分な選択肢と言える。浮いた予算で256GBのmicroSDカードを導入すれば、ストレージに余裕ができて、使い勝手も大きく向上するだろう。

 個人的にはせっかくの8型の製品なのに、ペンが標準で使える製品が1つもないのは残念だ。もはやペンはお絵かきのためのデバイスではなく、PDFを編集したり写真の編集に使ったりと生産性向上のデバイスにもなりつつあるので、タブレットには必須だと筆者は考えている。今後は、そうした製品が登場することに期待したい。

第1位「Apple iPad mini 4」

 iPad mini4は、最新のiPhoneに比べると3世代前のSoC(A8)を使っているが、それでも8型タブレットのなかでは最高性能。解像度ではなく、表示品質が高く質感の良好な液晶を使っているのはさすがで、今回見たなかでは最高である。

 LTEモデルを選択することが可能で、指紋認証もついているなど機能面でも最高点を上げることができる。惜しむらくはmicroSDカードスロットがないことと、価格が高いことでコストパフォーマンスの低さが否めないことだ。

 ただ、コスパの低さは高機能とのトレードオフだし、microSDカードが使えない代わりに最初から128GBモデルが用意されているので、そこは予算が許せばカバーすることができる。

 隠れたメリットとしてはワコムなどのサードパーティが発売しているBluetooth接続のペンが利用できることも挙げておきたい。使えるアプリに制限はあるが(アプリケーション側でそのペンをサポートしている必要があるため)、ほかの8型タブレットではそういう選択肢がないので、この点はiPad mini 4の強みだ。

 シンプルに、今回取り上げたなかでは性能、使い勝手、ディスプレイの品質、すべての点で優れている製品だと言ってよい。

 また、MicrosoftやAdobeのモバイルアプリケーションも、最初はiOS向け、ついでAndroid向けという形になるので、その点からも生産性向上用途のタブレットには(Windowsタブレットを除けば)iPadは今のところ最上の選択肢だ。

第2位「ASUS ZenPad 3 8.0(Z581KL)」

 ZenPad 3 8.0は、SoCにSnapdragon 650を搭載しており、Apple A8搭載のiPad mini4ほどではないが、高い性能を実現している。LTEモデムが標準で搭載されているのも1つの特徴で、ユニークな機能としては通話可能なSIMカードを入れるとスマートフォンのように通話にも利用できるのは便利だ。

 普段はスマートフォンのテザリングでデータ通信するとしても、たとえば海外に行ったときに現地のSIMカードを入れて使う、あるいは国内ではMVNOのSIMカードを買い足して使うなどの使い方が考えられる。

 IPS液晶を採用しているだけあって画面の応答性も悪くないが、映り込みはやや気になるため-1とした。映り込みを低減する保護フィルムなどを貼って使えばその点は補うことができるだろう。

 同じLTEが入っているiPad miniが63,800円なのに対して、本製品は35,000円前後と安価で、128GBのmicroSDカードを追加しても数千円程度なので、コストパフォーマンスは高いと言える。かけられるコストの制約からできるだけ安くてよいものを選ぶとなると、本製品はすばらしい選択になるのではないだろうか。

 今回のAndroidタブレットのなかでは性能が最高で、解像度も高く、LTEモデムも内蔵し、タブレットとして高いバランスにまとまっている。

第3位「Huawei MediaPad M3 Lite」

 Huawei MediaPad M3 Liteの特徴は、今回取り上げた8型タブレットのなかでiPad mini 4を除けば(つまりAndroidタブレットとしては)どのタブレットにも搭載されていない指紋認証センサーが搭載されていることだ。これによりログインを高速に行なうことが可能になっており、使い勝手の面では今回取り上げたAndroidタブレットのなかでもっともよい。

 また同じHuaweiのMediaPad T3と比較すると、高品質なディスプレイを採用しており、解像度も高くて視差も小さく視認性は悪くない。惜しむらくはやはり映り込みは大きいので、映り込みを低減する保護フィルムとかで対応したい。

 また、LTE搭載モデルでも税別29,800円というコストパフォーマンス的に優れた価格設定であり、LTE内蔵の高コスパタブレットという条件であれば、かなり有力な製品となる。

 残念なのはSoCの性能があまり高くないところで、やはり快適に使うことを考えるともう少し性能がほしいと感じたため3位にとどまった。


※以下、4位以降の製品を点数順で掲載。同点の場合は製品リスト順で並べている。

Huawei MediaPad T3

 Huawei MediaPad T3の特徴はLTEモデムが入って税別で2万円を切るという低価格にある。ほかのLTEモデム内蔵の製品はいずれも3万円を越えており、LTE内蔵でコストパフォーマンスを求めるなら本製品が唯一の選択肢だ。

 なおかつ、液晶も800×1,280ドットと十分実用になるスペックになっている。惜しいのはガラスが厚いためか、液晶まで遠く感じるため、視差が大きい。この点が液晶表示の品質を結果的に下げてしまっているので残念である。

 ただし、その分価格は安く設定されているので、それはトレードオフだと考えることができる。CPUはSnapdragon 425を採用しており、低価格なタブレットとしてはそれなりの性能を実現している。

BLUEDOT BNT-791W

 BLUEDOT BNT-791Wの特徴はなんと言っても税別で1万円以下という価格設定にある。iPad miniのWi-Fi版が、このタブレットであれば5台近く買えてしまう計算になるのだから、そのお買い得度はすばらしい説得力だ。

 ただ、ディスプレイの表示品質に関しては、正直もう少しがんばってほしいと感じた。解像度が768×1,024ドットとあまり高くないこと、また表面のガラスと液晶面の視差が大きく、横から画面を見るとすぐわかるのだが、液晶面までが遠く感じてしまうことが弱点として挙げられる。

 最近のタブレットではこうした視差が大きなガラスを採用している例は少なくなっているだけに、もう少しなんとかしてほしかった。だが、それも価格とのトレードオフだと考えれば致し方のないところ。ディスプレイの見栄えにはあまりこだわらないけど、コストパフォーマンスにはこだわりたい、そういうユーザーにおすすめと言える。

NEC PC LAVIE Tab E TE508/HAW

 LAVIE Tab Eは、LAVIE Tabシリーズのローエンドモデル。その特徴は税別23,800円という価格から来るコストパフォーマンスの高さだ。しかも、NEC PCというサポート体制がしっかりしている大メーカーで、何かあったときにも安心してサポートを受けられるということを考えれば、その価格以上のコストパフォーマンスを実現していると言える。

 ただ、液晶は800×1,280ドットのIPS液晶と普通だし、性能面でもとくに見るべきことがないなど、タブレットとしては特徴に欠ける。microSDカードを入れるフタは非常に開けにくいので、慣れが必要だろう。コストパフォーマンスと日本メーカーという安心感の両方が必要と考えるなら、本製品はいい選択肢になる。

Amazon Fire HD 8(第7世代)

 Amazon Fire HD 8(第7世代)の特徴も、16GBモデルで11,980円という価格にあるだろう。その価格から来るコストパフォーマンスは最強で、何よりコスト重視という人にはおすすめだ。Amazon Primeを契約しているユーザーであればさらに値引きされた値段になるので、さらにコストパフォーマンスが増すことになる。

 ただし、そのトレードオフとして液晶の表示品質には改善の余地がある。800×1,280ドットと解像度が低いのはともかく、やはり視差は大きめで、液晶面が遠く感じる。これはガラスのコストとのトレードオフになるので、この点は価格なりと言える。性能面でも正直あまり高くないが、コンテンツを見るという用途に特化した製品だと考えれば、十分かもしれない。