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スマホとPCの中間サイズ。8型タブレット7機種を一斉レビュー

~カジュアル/仕事/電子書籍/AV視聴目線で個別評価

【電子書籍利用目線】山口 真弘の評価

※ここでは、山口 真弘氏による7製品の評価を掲載している。各製品のスペックやほかのライターの評価をご覧になりたい方は、ページ最下部にあるリンク付きの目次を参照いただきたい。

 最近は電子書籍はスマートフォンで読まれるケースも多いことから、あえてタブレットを使うならば、ページサイズが大きいか、あるいは見開き表示ができるか、このいずれかが求められるというのが筆者の考え。

 今回はこの2つの条件が混在したランキングになっているが、見開き表示が必須でなく、かつテキストコンテンツ主体なら、安価なMediaPad T3やFire HD 8がもう少し順位を上げる可能性もありそう。

 とはいえiPad mini 4とZenPad 3 8.0が「2強」であることに代わりはなく、すでに1年以上もこの状況が続いていることから、そろそろこの牙城を崩す新製品が登場するのを期待したいところだ。

第1位「ASUS ZenPad 3 8.0(Z581KL)」

 7.9型、アスペクト比4:3と、明らかにiPad mini 4を意識した機種。重量は320gとわずかに重く、実際に手に持つとそれ以上に差があるように感じるが、重量とサイズのバランスは悪くなく、解像度も高いためコミックの見開き表示にも十分耐え得る。

 この価格ながらSIMロックフリーというのも利点で、LTEモデルを選択すると割高になるiPad mini 4と比較した場合、大きな強みとなる。唯一といっていいネックは指紋認証を備えていないことで、頻繁にロックを解除する用途ではややわずらわしく感じる。

 iPad mini 4と本製品のどちらを1位にするか迷ったが、指紋認証がないことを除けば全方位的に欠点らしい欠点がなく、またSDカードも使えて自炊用途にも対応できる本製品のほうが、より電子書籍向けの製品として1位に選出。

 本製品よりもむしろOSの違いによるものだが、多くの電子書籍アプリではコンテンツの購入がストア内で完結すること、音量ボタンによるページめくりに対応することも、iPad mini 4との比較ではアドバンテージとなる。

第2位「Apple iPad mini 4」

 この画面サイズで300gを切る軽量さは魅力。アスペクト比が4:3のため、電子書籍ユースでは見開き表示に耐え得るのもメリットの1つだが、iOSならではの制限により、アプリ内で電子書籍が購入できないストアが多いのがネック。

 さらにAndroidでは端末の音量調整ボタンで電子書籍のページめくりが行なえる場合が多いが、本製品はそれに対応していないため、Androidの操作性に慣れるとやや戸惑うことも。

 動作速度はとくに遅いとは感じないが、発売されてからかなり年数は経過しており、できればそろそろ後継モデルがほしいところ。

 解像度や画面サイズなどではZenPad 3 8.0と同等で、本体の軽さ、および指紋認証が使える点などは本製品のほうが優位だが、価格や使い勝手、OSにまつわる機能制限などを考慮すると、電子書籍ユースではZenPad 3 8.0にわずかに届かず。

第3位「Huawei MediaPad M3 Lite」

 8型でワイドサイズのタブレットは一般的には見開き表示にはあまり向かないが、本製品は解像度がフルHDであることから、ページの面積が小さいことさえ許容できれば、見開きでも細部のディティールの描写は問題ない。

 視野角も十分広く、また指紋認証も搭載しているため使い勝手にも優れる。横向きにした時の持ちやすさも申し分ない。重量350gと、下位の「MediaPad T3」に比べると40gも重く、手に持ったさいに明らかにずっしり来るのは好みが分かれそうだ。

 今回試したかぎりでは、Kindleなど一部の電子書籍ストアで、ホーム画面やライブラリ画面が縦向き表示にしか対応しなかったのが若干気になるところ。

 順当だった1、2位と比べて3位選びは激戦だった。Fire HD 8と本製品の争いになったが、本製品はフルHDで見開き表示にも対応し得る解像度であること、またFire HD 8と違って電子書籍ストアを選択できることが決め手になった。


※以下、4位以降の製品を点数順で掲載。同点の場合は製品リスト順で並べている。

Amazon Fire HD 8(第7世代)

 Amazonのコンテンツ向けのタブレットであり、OSはAndroidがベースだが、Google Playストアは公式には利用できない。そのため電子書籍は実質Kindleストアしか利用できず、ほかのストアを利用しているユーザーにとってははなから対象外となる。

 音量ボタンによるページめくりに対応しないのもマイナス要素。ただしその分価格は安く、Amazonビデオなども快適に利用できるようチューニングされていることから、電子書籍はKindleを利用しており、ほかのAmazonコンテンツも楽しんでいるユーザーにとっては、魅力的な製品と言える。

BLUEDOT BNT-791W

 こちらも7.9型、アスペクト比4:3と、iPad mini 4を意識したスペックで、メモリ2GBモデルで1万円を切る価格が大きな魅力。ただし画面解像度は初代iPad mini 4並で、また筐体の質感はお世辞にも高いとは言えない。

 サブ端末として、あるいはこれまで1台のタブレットを共用していた家族がそれぞれ専用の1台を持ちたいとなった時の選択肢としてはありだが、それ以外には少々厳しい印象。国内メーカーということもあり紙での取扱説明書が付属するのは、ほかの端末と比べた時のプラス要因。

Huawei MediaPad T3

 前述の「MediaPad M3 Lite」と同じ画面サイズながら解像度が低いため、見開き表示は少々厳しく、液晶の視野角が狭いのもネック。汎用のAndroidタブレットでありながら16,980円、LTEモデルでも19,980円というリーズナブルな価格は魅力だが、基本的に縦向きでしか使えないため、電子書籍ユースではややコンテンツを選ぶ。

 横向きではそこそこ持ちやすく、重量も約310gと軽い部類に入るだけに惜しい。また指紋認証を搭載していないので、頻繁にロックを解除する用途ではややわずらわしく感じられる。縦向き利用に限るならばありか。

NEC PC LAVIE Tab E TE508/HAW

 Huaweiの2製品に比べると厚みがややあるが、実際に手に持ったかぎりではそれほどの違いは感じず、また重量も公称値の340gほどの重さは感じられない。

 横向きにした状態でも十分に持ちやすいが、解像度は必ずしも高くなく、また視野角もそれほど広くはないため、電子書籍ユースでは基本的に縦向きでの利用になるだろう。

 指紋認証も搭載しておらず、使い勝手の部分でもあまりプラス要因がない。大きな欠点もない代わりに、これといった特徴もない印象。