2022年10月4日 11:00
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院、AMR臨床リファレンスセンターは、診療所・地域の抗菌薬適正使用支援システム 診療所版 J-SIPHE“OASCIS”を公開、参加医療施設の募集を開始いたしました。
抗菌薬が効かない、もしくは効きにくい薬剤耐性菌の問題に対し、日本政府では2016年から「薬剤耐性(AMR) 対策アクションプラン」に基づいて取り組んでいます。薬剤耐性アクションプランの目標のひとつに「薬剤耐性及び抗微生物剤の使用量を継続的に監視し、薬剤耐性の変化や拡大の予兆を適確に把握すること」が掲げられており、各病院では抗菌薬使用量や薬剤耐性菌の検出状況などのサーベイランスに取り組まれるようになってきました。そして、それらの情報を地域の施設間で共有することにより、地域における薬剤耐性対策に役立てる取り組みがされています。
2019年に当センターにおいて運用を開始したJ-SIPHE[感染対策連携共通プラットフォーム]は、全国の病床のある保険医療機関を対象としていますが、今回公開したOASCIS[診療所における抗菌薬適正使用支援システム]は、全国の診療所を対象としています。OASCISでは、参加登録した診療所のデータを解析し、可視化したデータを地域単位や、 診療科・系列医院単位での抗菌薬の適正使用活動の推進に活用することができます。
J-SIPHE:Japan Surveillance for Infection Prevention and Healthcare Epidemiology
OASCIS :Online monitoring system for antimicrobial stewardship at clinics
参加医療施設 募集開始
・システム利用開始:2022年10月3日
・参加申し込み受付中
・ https://oascis.ncgm.go.jp/
【診療所版 J-SIPHE活用】
診療所版 J-SIPHEで、できること
●各施設の抗菌薬の種別使用割合や処方率について算出、および時系列比較ができる
●各施設の急性気道感染症(急性上気道炎、急性気管支炎、急性咽頭炎、急性鼻副鼻腔炎)の、より詳細な抗菌薬使用状況の分析と時系列比較ができる
●都道府県別や全国の診療科別の他施設のデータと比較ができる
診療所版 J-SIPHE活用の利点
●月ごとのデータ登録とそのグラフィック化により、自施設の薬剤耐性対策の現状が把握でき、より効率的な取り組みへつなげることができる
●地域の医療施設間のネットワークによる感染対策・薬剤耐性対策の推進に活用できる
●各診療所等でのシステム構築の費用や、データ入力・取得における負担が軽減できる(参加施設は参加登録後、レセプトコンピュータ内に既存の請求情報やレセプトファイルの出力機能を利用してデータ登録できる)
●多くの医療施設が参加することにより、全国共通の薬剤耐性における評価指標の検討が可能となる
●全施設状況
すべての参加医療機関の登録データに基づき、抗菌薬処方の推移や地域の傾向がわかります。
●自施設状況
登録したレセプトデータに基づき、年齢別の受診件数、傷病名グループ別の抗菌薬処方率・内訳など詳細な分析結果を確認、処方内容の振り返りが可能です。
●他施設との比較
すべての参加医療機関のデータに基づき、全体及び地域別や診療科別に集計されたデータと、自施設データの比較が可能です。