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6Uサイズの探査機「OMOTENASHI」、月着陸を断念。「EQUULEUS」はミッション継続中
2022年11月22日 12:51
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、超小型探査機「OMOTENASHI」の月着陸ミッションを断念したと発表した。
OMOTENASHI(Outstanding Moon exploration TEchnologiesdemonstrated by NAno Semi-Hard Impactor)は、月面へのセミハード着陸の実証を主任務とした超小型探査機(Cubesat)。月まで航行するためのオービティングモジュール、減速用のロケットモーター、着陸モジュールのサーフェスプローブの3モジュールで構成される。NASAの月・火星探査プログラム「アルテミス計画」の第1弾「アルテミス1」として16日に打ち上げられた大型ロケット「SLS」(Space Launch System)にほかのCubesatとともに搭載された。
打ち上げ時の機体サイズは12×24×37cm、総重量は12.6kgで、着陸に成功していれば世界最小の月着陸機となるはずだった。
OMOTENASHIはロケットから分離した直後より電波が安定しない状態が続いており、状態を確認したところ太陽電池が太陽と反対方向を向いて、速い回転をしている状態だったという。内蔵のガスジェット装置によって回転軸方向の調整を行なうことで太陽電池方向の補正を試みていたが、その後、送信機の電圧不足によって状況が確認できない状態が続いていた。
21日の夜までに通信状況と姿勢制御が回復すれば月着陸に挑戦する機会があったが、そのまま通信が回復せず、OMOTENASHIによる月着陸ミッションは断念することになった。月面着陸は果たせなかったが、探査機航行中に実施可能なもう1つのミッションである地球磁気圏外での放射線環境測定や、月面着陸以外の技術実証を目指し、引き続き復旧作業を実施するとしている。
なお、JAXAがSLSに搭載したもう1つのCubesat「EQUULEUS」(エクレウス)は現在のところ計画通りミッションを進行している。
11月16日(水)にSLSロケットから分離された#OMOTENASHI探査機について、11月21日(月)22:05から11月22日(火)2:00(ともに日本時間)まで行った地上局運用(DSNゴールドストーン局)において、探査機との通信が確立できず、月着陸マヌーバ(DV2)運用の実施ができないと判断いたしました。
— JAXA(宇宙航空研究開発機構) (@JAXA_jp)November 21, 2022