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“自宅”で1,200トランジスタの半導体を製造したYouTuber現る

ピンセットに挟まれているのがSam Zeloof氏が製造した半導体「twelve Z2」

 YouTuberのSam Zeloof氏は14日、自身のYouTubeチャンネルにおいて、“自宅ファブ”で1,200トランジスタを集積した半導体「twelve Z2」の製造に成功したことを発表した。

 同氏は2018年に世界初を謳う“ホームメイドシリコンチップ”「one Z1」の製造に成功したが、その時はわずか6トランジスタだけだった。今回同氏が製造した第2世代の「twelve Z2」は1,200トランジスタを集積し、ムーアの法則を遥かに上回るスピードで集積度が向上した。

 同氏の製造プロセスの中でのポイントは「フォトマスクレス露光」。半導体はフォトマスクという「露光させない部分」を隠すマスクを用意するのが一般的で、このフォトマスクの製造のハードルが高いわけだが、同氏はDLPプロジェクタを用いてPhotoshopで作ったトランジスタの画像を投影することで露光するというユニークな手法を用いた。

 ちなみにフォトレジストの均一塗布は、シリコンを4,000rpmで回転させることで実現。それ以降は水酸化カリウム液に浸してエッチングしたり、アセトンでフォトレジストを除去。その後、二酸化シリコンとリン溶液を加えて1,000℃で45分焼くと、ソース/ドレインを持つMOSFETが生成される。

 その後ゲート層とコンタクト層を生成し、二酸化ケイ素の絶縁層を作る。そして真空チャンバーの中でアルミニウムを蒸着させ、このメタル層に対してもコーティングや露光を行なえば半導体の完成だ。

 同氏が製造した従来の半導体は10Vでしか駆動できなかったが、twelve Z2は1Vの電圧で駆動するという優れた特性を示した。Intel最初のCPUである「4004」は2,250トランジスタであったが、同氏が自宅で4004を製造できる日もそう遠くないだろう。

【8月23日訂正】記事初出時、フォトマスクの塗布としておりましたが、フォトレジストの誤りです。お詫びして訂正します。