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NASA、月の極地に氷が存在する決定的証拠を発見
~月面探査/滞在の資源としての活用も模索
2018年8月21日 18:35
米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)は20日(米国時間)、月の表面に氷が存在する決定的な証拠を観察したと発表した。
氷が存在するのは月の極地で、南極側はクレーターに、北極側は南極側よりもまばらかつ広範囲に分布している。なお、氷ははるか古代から存在している可能性が高いという。
発見したのはハワイ大学およびブラウン大学のShuai Li氏が率いる科学者チームで、NASAの月面鉱物マッピング装置(M3)のデータが用いられている。
M3は、2008年にインド宇宙研究機構(ISRO)によって打ち上げられた月探査機「チャンドラヤーン1号」に搭載された観測機器のうち、JPLが設計/製造したものの1つで、氷の反射特性を観測できるだけでなく、その分子が赤外光を吸収するかどうかを直接測定できるため、観測結果から液体の水や蒸気と固体の氷を判別できる。
これまでにも、月の南極表面に氷が存在する兆候が間接的に発見されてきたが、異常な反射特性をもった月の土壌の可能性など、そのほかの現象によるものとも説明できたため、確たる証拠とは言えなかった。
今回新しく発見された氷の大部分は、最高気温が約-156.7℃を下回るという極地付近のクレーターの影に存在している。月の場合、回転軸の傾きが非常に小さいため、それらの影には年間を通じて太陽光が到達しない。
NASAでは、もし地表面の氷が十分な量存在すれば、地表面下に存在する水よりも簡単にアクセスできるため、将来的に月面探査/滞在のための資源として利用できるとしている。