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ロールス・ロイス、ジェットエンジン整備のため虫型ロボットを構想

検査ロボットの想像図

 航空機エンジン大手の英ロールス・ロイスは17日(現地時間)、小さな虫型ロボットをはじめとするロボット技術を用い、複雑なジェットエンジンの整備を容易にする構想を明らかにした。

 具体的な技術開発は英ノッティンガム大学や米ハーバード大学と協力して行なわれており、遠隔操作による整備は実験室での試験を行なっている段階だ。

 ロールス・ロイスが先進的なロボット技術の活躍を期待するのは、高い精度で組み上げられた無数のブレードをもつ旅客機用ジェットエンジンの整備について。エンジンの構造自体の複雑さもさることながら、高い加工精度や検査精度が要求されるため、ブレードの加工には熟練工を必要とするなど、時間もコストもかかっている部分だという。

エアバスA330neoに搭載されるロールス・ロイス「Trent 7000」

 現在でも内視鏡を用いてコンプレッサーやタービンのブレード検査を行なっているものの、内視鏡自体の可とう性の制約もあり、視野には限界がある。さらに、ブレードが変形している場合では内視鏡下で精密にブレードを加工する必要があるが、そのための熟練工の人数や、移動によるリードタイムの増加が課題となる。

 そこで、同社が構想しているのは、「直径1cm程度の内視鏡を通過できるほど小型で、カメラを搭載した虫型のロボットの群れによってエンジン内部を観察する」ことや、エンジンにあらかじめ組み込まれた通信機能をもつ内視鏡ロボットで内部の状態を観察するというもの。いずれもより高頻度かつ正確にエンジンの状態を把握することで、メンテナンスの効率を向上させることが期待されている。

 さらに、熟練工が遠隔でブレード加工を行える「Remote boreblending robots」は実験室での試験の様子も公開されており、実用化されれば整備リードタイムの短縮につながることが見込まれる。

 いずれの技術も現時点では構想や実験段階ではあるが、医療分野ではすでにカプセル内視鏡や遠隔手術といった形で類似の技術は具体化している。直接目にすることはあまりないとは思われるが、こうした技術が空の旅をより快適に、あるいはより安価にしてくれる日はそう遠くないかもしれない。