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MIT、カメラなしに“目隠し”状態で動ける四足歩行ロボット
2018年7月6日 18:37
米マサチューセッツ工科大学(以下MIT)は4日(現地時間)、視覚情報なしに動作できるロボット「Cheetah 3」を発表した。
大きな特徴として、カメラや外部環境センサーを利用せずに行動できるよう設計されており、人間が真っ暗な部屋を通るように、開発者が「ブラインドロコモーション」と称する方法で周囲を“感知”して行動できる。
MIT機械工学准教授で本ロボットのデザイナーであるSangbae Kim氏は、「視覚情報はノイジーな場合もあり、かつやや不正確で、(暗所など)状況によって利用できない場合もある」と語り、それらに加えて、視覚に頼りすぎていると、ロボットの姿勢が非常に正確な位置であることを必要とされるため、最終的に動作が遅くなってしまうとして、今回の「ビジョンフリー」技術を開発したと述べており、Cheetah 3ロボットでは、触覚情報をより活用することを目指し、高速で移動している間でも予期せぬ障害に適切に対応できると説明している。
Kim教授は、今後数年内にロボットが人間にとって危険、あるいは接近不可能な作業を代わりに実行するようになると考えており、Cheetah 3自身も階段や縁石、地面の障害物などさまざまな地形条件で多彩な作業を行なえるよう設計されているという。
接触検出アルゴリズムとモデル予測制御アルゴリズムで動作を実現
Cheetah 3では、チームの開発した「接触検出」と「モデル予測制御」という2つの新しいアルゴリズムによって、“目隠し状態”で階段を上り、構造化されていない地形を通過したり、予期しない力が加えられてもすばやくバランスを回復できる。
接触検出アルゴリズムは、脚を上げた状態から地面を踏みしめる動作へ切り替えるのに、ロボットが最適なタイミングを判断するのに役立つもの。
各脚ごとに、ジャイロスコープと加速度計、関節位置データに基づいて、地面と接触する確率、地面に当たった力(反発力)が生成される確率、脚を踏み外す確率の3つを常に計算することで、ロボットが脚の「スイング」から「ステップ」への移行を決定することをアシストしている。
一方、モデル予測制御アルゴリズムは、脚が地面と接触するときにかかった力から、0.5秒未来のロボット本体と脚の乗算位置を計算するというもの。
同アルゴリズムは50msごと(毎秒20回)に各脚の計算を行なうよう設計されており、これによって、歩行中に右側から押される力が働いた場合、脚が接地した時点で左方向に力がかかっていることを認識し、その“望ましくない力”を打ち消すように逆方向へ力を加えるといった動作を実現している。
研究は、Naver、トヨタ研究所、Foxconn、米空軍研究所らのサポートを受けており、スペインで10月に開催予定の「International Conference on Intelligent Robots (IROS 2018)」にて、ロボットの“ビジョンフリー”機能について発表が行なわれる予定。