イベントレポート
「5Gの取り組みは既に始まっている」、Intelが5G開発環境を提供へ
~33バンドに対応する新4xCA対応モデムXMM7480も発表
(2016/2/23 15:47)
5Gの試験環境“Intel 5G mobile trial platform”の提供を開始
記者会見に登壇したIntel 副社長 兼 コミュニケーション・デバイス事業本部長 アイチャ・エバンス氏は、「IoTなどの新しい機器の登場により、2020年までにインターネットに接続されるデバイスは500億台に達するだろうと予想している。そうした未来に必要なのが5Gだ」と述べ、現在IEEE/3GPPなどで規格化が進められている5G(第5世代移動通信システム)の取り組みへの必要性を訴えた。
同氏は「5Gはどうして必要なのかとよく問われる。それに対して私は、5Gが必要なのは将来の使い方、そして今後どんどん増えるであろうインターネットに接続されるユーザーのためだと答えている。5Gこそその答えなのだ」とし、今後もインターネットに接続されるユーザーやデバイスが増え続けると予想され、その結果として帯域が足りなくなるので、4Gよりもより効率よく帯域を利用できる5Gへ取り組むことが必要だと説明した。
「5Gへの取り組みを我々一社だけが行なっているのではない。広範囲な業界のパートナー各社と協力して開発を進めている」とし、通信キャリア、基地局などのインフラを製造するメーカー、機器ベンダーなど、複数の企業と協力しながら5Gの開発を進めていると説明した。同氏はそうした通信キャリアの名前として、AT&T、China Mobile、ドイツテレコム、KT、SKテレコム、ベライゾン、vodafone、NTTドコモといった通信キャリア、さらにはエリクソン、ノキア、ファーウェイ、シスコ、ZTEと言った通信インフラ(基地局やサーバーなど)を提供するメーカーをパートナーと紹介し、協力して5Gに向けた開発を行なっているとした。
ステージにはエリクソン 上席副社長 兼 クラウド&IP事業本部 本部長 アンダース・リンドバルド氏が呼ばれ、エリクソンとIntelが5Gに向けたインフラ開発を共同で取り組んで行くと述べた。
さらにエバンス氏は「Intel 5G mobile trial platformの提供を開始する。このプラットフォームにより、デバイスメーカーなどが5Gに対応した製品の開発を早期に行なえるようになる」と述べ、パートナーと協業しながら5Gのテスト環境を提供していくと説明した。
1つのSKUで33のLTEバンドに対応したXMM7480を投入、PCやタブレットの対応バンドが広がる
続いて、現在の4G世代に基づいたIntelの最新通信製品を発表した。IoT向けのSoCとなる「Atom x3-M7272」で、自動車向けの通信モジュールを含んだSoCとなる。さらに、IoT向けで低帯域だが低消費電力で通信できるNarrowband IOT(NB-IOT)の規格に基づいた「XMM7115」、さらにはアプリケーションプロセッサとLTEを1チップにした「XMM7315」、超小型3Gモデムとなる「XMM6255M」、M2M向けのLTEモデムとなる「XMM7120M」の各種通信製品を発表した。
加えて、Intelは現在PC/タブレット/スマートフォン向けのLTEモデムとして提供している「XMM7360/7260」の後継となる「XMM7480」を発表した。XMM7480は、4xCAに対応しており最大450Mbpsの下り速度を実現できる。最大の特徴は、1つのSKUで33ものLTEのバンドに対応が可能になっており、PCメーカーやタブレットメーカーは、グローバルに販売するモデルにXMM7480を採用することで、FDD/TDDの幅広いバンドに対応することが可能になる点だ。
また、エバンス氏はIntelのデータセンター部門の担当者などをステージに呼び、5Gの時代には現在Intelが強力に推進しているSDN(Software Defined Networking)、NFV(Network Functions Virtualization)などのデータセンターを活用したネットワークのインフラ構築が重要になると説明し、現時点では5Gの規格が全て決まっている訳ではないので、迅速に対応できるようにソフトウェアによって柔軟に対応できるようにしておく必要があるとした。
同氏は「5Gは2020年から商用サービスが始まる見通しだが、その準備となるビジネスは開始している。未来は既に始まっている」と述べ、5Gに向けた製品を計画しているのなら、今すぐに取り組みを開始すべきだとまとめ、記者会見を終了した。