イベントレポート

【詳報】新たな10年へ踏み出す「OS X Mavericks」

~サービス統合が進むOS XとiOS、機能のローカライズには課題も

会期:6月10日~6月14日

会場:Moscone Center West

WWDCの基調講演を行なうティム・クックCEO

 サンフランシスコのMoscone Center Westで開催されたAppleの開発者会議「WWDC 2013」は、同社にとって24回目のWWDC開催にあたる。日本でも四半世紀は大きな区切りの1つと考えられるが、米文化ではもう少し大きな意味で捉える。何より流通しているコインの多数を占め、もっとも有効に利用できるのが1ドルの4分の1の価値である25セントコイン(通称クォーター)でもある。終わったばかりで気が早いと言われそうだが、もしかしたら2014年のWWDCはアニバーサリーを伴うものになるかも知れない。

 さて、その24回目のWWDCには世界66の国や地域から6,000人もの開発者が参加している。ティム・クックCEOが示したスライドによれば、今年のWWDCのチケットの販売開始から完売までの時間は71秒。Appleの広報担当者によれば、2013年は前年以上に開発者の参加枠を増やしたという。また64%が今回初めてのWWDC参加ということで、開発者の裾野が広がっていることも示唆している。

 併せて、基調講演が行なわれる3階のホールも2012年とはやや椅子の配置を変えて、メインホールへの入場人員を増やしたとのこと。我々メディアが指定される位置は例年どおりのステージに向かって左手、中央ブロックからは1つずれているブロックである。例年はそこが左端だったが、2013年はさらに左手にもう1ブロックが追加された。それでも、このホールに入場するにはそれなりの時間に早起きして、入場待機列に並ぶ必要がある。キャパシティを超えた場合は、オーバーフロールームとして用意された別室で、同時中継されている映像をスクリーンで見ることになる。

24回目を迎えるWWDC開催。66の国と地域から開発者が訪れ、うち64%が初参加
会期中には100を超えるセッションと120ものコードラボがある。Appleのエンジニアも約1,000人が会場に訪れている
WWDC 2013のチケットは販売開始から71秒でソールドアウトした

 講演は例年どおりティム・クックCEOによる現状の分析、紹介から始まった。直営店であるApple Storeは14カ国に展開され、現時点で407店舗が世界中に存在する。全世界の1日あたりの総来店者数は100万人に及ぶとのことだ。スライドとビデオでは、ドイツの首都であるベルリンにオープンした店舗の開店日の様子が紹介された。ドイツにはフランクフルト、ミュンヘン、ドレスデンなど複数の都市にすでにApple Storeが開店していたが、首都ベルリンへの出店は初めて。ショッピング街のメインストリートに旗艦店として誕生した。

ドイツの首都ベルリンの目抜き通りにオープンしたApple Storeの旗艦店舗
ベルリンにオープンした「Kurfurstendamm店」の開店時の様子
現在、世界14カ国に407店舗が展開するApple Store

 「iPhone 3G」の登場とともに誕生したApp Storeは5周年を迎えた。日本では出荷されなかった初代iPhoneの時代にはネイティブアプリケーションは導入されず、Apple純正アプリケーション以外はWebベースの運用だった。iPhone OS 2.0と同時に導入されたサードパーティによるネイティブアプリケーションが、今日のiOSの成功を生み出したことは言うまでもない。App Storeからダウンロードされたアプリケーションは5年間で500億本にも及んでいる。iOS向けのアプリケーションは90万本に達し、そのうち93%が現在もアクティブで毎月継続的にダウンロードされている。この90万本のうちiPadにも対応するのが37万5,000本となっている。

 App Storeへの登録アカウントは5億7,500万アカウントで、開発者への支払額は累積で100億ドルを突破した。2012年までの累積額が50億ドルなので、過去4年分の累積額を1年で上積みした計算になる。こうしたアプリケーションストアからの収入はApp Storeが全体の74%を占めているというデータを紹介し、あらためて、同社プラットホームでのアプリケーション開発は、開発者にとっての収益につながることを強調している。

iPhone 3Gとともに誕生したApp Storeは5周年を迎えた
これまでデベロッパに支払われた総額は10億ドル(1兆円弱)
アプリケーションストアからの収入は74%を同社のApp Storeが占めると説明

 こうしたアプリケーション開発企業の1つとして、スタートアップの「Anki」が紹介された。サードパーティとしては今回唯一の登壇者となり、破格の扱いだ。同社が開発しているのは、現在米国で急速に普及しているアプリケーションと周辺アイテムを組み合わせて利用するホビーアイテム。ジャンルこそ違え、「AR.Drone」のような本格的なホビーアイテムや、あるいはハードウェアとアプリケーションを組み合わせるという点で、「NIKE Fuelband」や「Jawbone Up」のようなヘルスケア製品などにも類するものだ。

 Ankiが開発しているのは、ロボティクスなミニカーだ。設定されたコースに複数のミニカーを制御して走行させる。ミニカーは相互に認識しあっているので、それぞれ単独でありながらも、接触などはしないように走行を続ける。そこに、より速いミニカーである赤いクルマを投入すると、これまた接触しないように赤いクルマがほかのクルマをすいすい追い越して行くのはなかなか痛快だ。

 さらにAI(人工知能)的な要素をさらに加えている。こうして抜かれることを嫌ったほかの車輌は連携して抜かれないようにブロックを始める。すると“Weapons Enabled!”の命令のもと、赤いクルマは擬似的に武装。仮想弾を発射して強制的に周囲のクルマを排除していった。もちろん実際に弾が撃たれているわけではなく、位置関係などをもとに相互にミニカーを制御して、撃たれたように見せかけている。

Ankiの共同創業者であるBoris Sofman氏による「anki drive」のデモンストレーション。コース上を高速で走るミニカーがiOSデバイスで制御されている。位置関係が相互に把握されているので、接触しない。命令次第では連携してブロックもできる

 iOSアプリに限らずビデオゲームではありがちなゲーム設定ではあるものの、重要なのは、これが実際のミニカーを用いて行なわれていることだ。ホビーであれなんであれ、手に取れる製品を販売し、その可能性をアプリケーションで拡げていく。Ankiのようなデモは、子供のころなら誰もが自分の手とミニカーを使って体験、空想したことのある内容である。これがアプリケーションの力を借りて、より