米Hewlett-Packard(HP)のプライベートイベント「GPC 2012」の最終日には、2011年9月にHP社長兼最高経営責任者(CEO)に就任したメグ・ホイットマン氏による基調講演が行なわれた。
イベントレポートの初報で述べた通り、このイベントは同社のパートナーに向けたもので、ホイットマン氏の講演の大部分は、有り体に言えば「我々と一緒にビジネスを成功させましょう!」という決起集会である。
だが、ホイットマン氏が、多くの聴衆を前に講演するのは初めてであり、かつ同氏は、webOS事業の打ち切り、PC部門の売却検討など、前任者が引き起こした混乱を受けてのCEO就任となるため、同氏は今後HPをどういった方向に導こうとしているのかをじっくりと説明するとともに、短い講演時間の半分近くを質疑応答に費やし、「どのような疑問に対しても返答したい」と、オープンな姿勢で臨んだ。
まず、ホイットマン氏は、自身の役目として最も大事なこととして、安定性を築くこと、そして信頼を回復することだと述べた。もちろん、これは前述の混乱に対する回答である。ホイットマン氏は、CEO就任後、30日をかけてPC部門のPSGについて分析を行ない、結果としてすでに発表されているように、PC部門を維持するのが最善の策であるとの結論に至った。幅広い製品ポートフォリオこそが同社の強みであり、今回発表されたシンクライアントや液晶一体型ワークステーションのように、幅広い製品展開を行ない、パートナーのビジネスを強化する礎にしたいとした。なかでも、コンシューマ向けの「Envy 14 Spectre」(日本未発表)について講演の中で唯一具体的な製品名を挙げつつ、Ultrabookが非常に大きなビジネスであることを強調した。
もう1つ同氏が強調したのが、HPが今後もハードウェア会社であり続けるということだ。同社は企業向け情報管理ソフトをてがけるAutonomyを2011年に買収。パートナー向けには今回、そのセッションもあったが、これは顧客の非常に難しい問題を解決するための一助とするもので、HPの根幹はハードウェアであることを再確認した。
最後に同氏は今後集中していく分野として、収束されたインフラ、情報の最適化、セキュリティ、クラウドの4つを挙げた。同氏は、「少ないことを、よりうまくやっていきたい」と再三述べており、これらの分野に集中した、ただし小規模でない投資を行なっていく姿勢を明確にした。
質疑応答では部門代表者を壇上に招いた |
また、質疑応答では、各部門を統括する副社長を壇上に招き、聴衆に紹介するとともに、質問に答え、HPの経営陣が一枚岩となってビジネスに臨む構えであることを示して見せた。
(2012年 2月 20日)
[Reported by 若杉 紀彦]