会場内で展示されたPCおよび関連製品
Samsungは今回のIFAでいくつかのPC新製品を発表した。中でも目立っているのは、11.6型のWindows 7スレートPC「Series 7 Slate PC」だ。厚さ12.9mm、860gというという薄型・軽量ボディを特徴とする。液晶解像度は1,366×768ドット。タッチペンも付属する。
本体にはUSB×1、microHDMI、ヘッドセット端子、microSDスロットを装備。充電台を兼ねる付属のドッキングステーション側には、USB×1、LAN、HDMIを備えている。
ネットワーク機能はWi-Fi、Bluetoothで、ブースではBluetooth接続のキーボードと合わせて展示。このBluetoothキーボードはオプションで販売されるという。このほか、GPS、カメラ(フロント200万画素、リア300万画素)も内蔵している。
プロセッサはCore i5-2467M(1.6GHz)。メモリは最大4GB、ストレージは最大64GBのSSDを搭載。ただしスペックは1つの参考としており、異なるスペックの製品も登場するようだ。
発売は10月を予定。価格は未確定でスペックにもよるが、1,000~1,200ユーロ程度からの価格帯になるのではないかと見通しを述べている。
また、Samsungは2スピンドルノートPCの新製品となる「Series 7 Chronos」もIFAで発表。このノートPCは、液晶ベゼルを狭くすることで、従来のPCよりワンランク小さくできた点を強くアピールしている。例えば、14型液晶製品は従来の13.3型クラスのノートPCの筐体に、15型液晶なら14型の筐体、15.6型液晶なら15型の筐体にそれぞれ収められるということだ。
また、8GBのフラッシュである「ExpressCache」も搭載。これにより起動を19秒、スリープからの復帰を2秒で行なえるとしている。インターフェイスはモデルにより異なるが、13.3型モデルはUSB×2、HDMI、LAN、SD/MSカードスロット。14型/15型/15.6型はこれに加えてUSBが1ポート追加されている。
参考仕様としては、15.6型モデルの一例でCore i7-2675QM、8GB メモリ、750GB HDD、Radeon HD 6750Mといったところ。
発売は9月末から10月を予定。価格帯は1,200~1,800ユーロあたりになるだろとしている。
Samsungの「Series 7 Chronos」。手前から15.6型モデル、14型モデル、13.3型モデル | 本体左側面のインターフェイス。HDMI、LAN、USB 3.0、USB 2.0、ヘッドセット端子、SD/メモリースティックカードスロット。写真は13.3型モデルのもので、14型以上のモデルではカードスロットが前面部に配置されているほか、右側面にもUSB 3.0を1ポート備えている |
●Giadaが小型PCを日本市場へ投入予定
Mini-ITXマザーボードなどで日本市場へ参入しているGiadaもIFAに出展。9月末以降、小型PC製品の日本市場への投入を計画しているという。ベアボーンとなる可能性もあるものの、あくまでPC製品として発売したいとしている。
発売が予定されているのは、Atom搭載ファンレスPCの「F100」および「F200」と、Core iシリーズ搭載(こちらはファンを搭載)の「i51」の3モデル。
日本向けの詳細な全仕様はコメントを得られなかったが、F100/F200はAtom D455を搭載し、メモリは2GB(最大4GB、SO-DIMMスロット×1)。i51はIntel H61チップセットにSandy Bridgeを搭載する予定となっている。
GiadaのファンレスAtom D455搭載PC「F100」のシャーシ | F100の背面 |
同じくファンレスAtom D455搭載PC「F200」のシャーシ | F200の背面 |
Sandy Bridge搭載PC「i51」のシャーシ | i51の背面 | i51はVESAマウンタもオプションで用意され、液晶の裏面に固定が可能 |
●ARCTICがスマホからのリモート操作も可能なリビング用PC
CPU/GPUクーラー関連製品メーカーとしての知名度が高いARCTIC。ARCTIC COOLINGからARCTICへとブランドを変更して以降は扱う製品のジャンルを拡大しているが、IFAのブースでは同社初のPC製品の展示・デモが行なわれた。
展示されたのはリビング向けスリムPCの「MC001」である。Atom D525、Radeon HD 5430、4GBメモリといった仕様の製品。ドライブの組み合わせにより3モデルが用意されており、Blu-ray+500GB HDD、DVD+120GB SSD、DVD+500GB HDDの3パターン。
クーラーメーカーとしてのテクノロジを投入し、ヒートパイプを使ったヒートシンクによってマザーボードを包みケース表面へ熱を逃がす仕組みとなっている。
メディア管理はWindows Media CenterやBoxeeなどで行なう。Wi-Fi経由でiPhoneやAndroidから本製品を操作するアプリが提供されるほか、同じくWi-Fi経由でオーディオのみを転送するコンパニオンユニットの発売も予定されており、ユニットの側にスピーカーやヘッドフォンを接続すると、本PC内のオーディオファイルを離れた場所で聞くことができる。例えば、リビングにPC、寝室にオーディオユニットを置き、AndroidデバイスからPC内のオーディオファイルを選択する、といった利用形態を想定している。iPhone/Androidアプリは提供が少し遅れているが、9月末には各マーケットに登場する予定とした。
すでにオンラインでの予約を開始しており、Blu-ray+HDDモデルが714ドル、DVD+SSDモデルが817ドル、DVD+HDDモデルが606ドルとなっている。出荷は9月中に開始される予定。日本での発売については代理店次第との回答だった。
●Creativeが新サウンドカード「Sound Blaster Recon3D」をデモ
Creativeのブースでは、IFAに合わせて発表された「Sound Blaster Recon3D」のデモが行なわれた。10月末から順次発売していく。
Sound Blaster Recon3DはX-Fiに変わるクアッドコアの新チップ「Sound Core3D」を用いた製品群のシリーズ名。THX TruStudio Proのハードウェアアクセラレーションや、入力した音声のエコーキャンセル、ノイズキャンセルボイスエフェクト、ボリューム調整などを統合するCrystal Voice機能の実装などがX-Fiからの強化点となっている。再生サンプリングレートは24bit/192kHz、録音サンプリングレートは24bit/96kHz。SN比は102dB。
PCI Express対応製品は「Sound Blaster Recon3D PCIe Fatal1ty Champion」、「Sound Blaster Recon3D PCIe Fatal1ty Professional」、「Sound Blaster Recon3D PCIe」の3モデルが用意され、両Fatal1tyモデルはボード上がカバーで覆われ、Fatal1ty Championは内蔵I/Oドライブが付属する。サウンドカードとしての機能面の違いはない。価格はそれぞれ199ユーロ、149ユーロ、99ユーロを予定している。
またUSB対応製品となる「Sound Blaster Recon3D」はDolby Digital Decoderのハードウェアアクセラレーションもサポート。再生サンプリングレートは24bit/48kHz、録音サンプリングレートは24bit/48kHz。SN比は90dB。PC、Xbox 360、PS3が持つ各ヘッドフォン出力からの信号を最適化できるという切り替えスイッチも装備。
また、ワイヤレスヘッドセット「Sound Blaster Tactic3D Omega」のワイヤレスユニット端子も備えており、Sound Blaster Recon3Dとのセットモデルとなる「Sound Blaster Recon3D Omega」とのセットモデルも展開される。価格はSound Blaster Recon3D単体が99ユーロ、Sound Blaster Tactic3D Omegaが199ユーロ、セットモデルのSound Blaster Recon3D Omegaが249ユーロ。
「Sound Blaster Recon3D PCIe」。写真のものはFatal1tyシリーズ用のカバーが付けられたもの | ブラケット部の入出力端子 | Fatal1ty Championモデルに付属する内蔵I/Oドライブ |
会場で配布されたカタログより、Sound Blaster Recon3D PCIeシリーズと従来製品の比較表 | Sound Blaster Recon3Dのコントロールアプリケーション |
USB接続モデルとなる「Sound Blaster Recon3D」 | 各機器に最適化したオーディオ処理を行なえるモード切り替えスイッチ | 反対側にはマイク感度の調整スイッチを装備 |
下部にはヘッドフォン出力、マイク入力端子を装備 | 上部にはオプティカル/AUX兼用入力端子、USB端子、ワイヤレスヘッドセット用のレシーバ取り付け口を装備 |
「Sound Blaster Tactic3D Omega」のレシーバを取り付けた状態 | Sound Blaster Recon3DとSound Blaster Tactic3D Omegaをセットにした、「Sound Blaster Recon3D Omega」も発売予定 | 会場で配布されたカタログより、Sound Blaster Recon3Dと従来製品の比較表 |
●Scytheも出展。アンプやクーリング製品を展示
クーラーやアクセサリのメーカーとして自作ユーザーにはおなじみのScytheもIFAに出展。同社が開発中のアンプ製品を展示した。
日本でも発売されている「鎌ベイアンプ」シリーズの最新モデルとなる「Kamabay Amp 3000」は、5インチベイ×2スロット分のサイズを持つ製品。鎌ベイアンプ2000譲りのアナログメーターも健在。
パワーICは東芝のTB2924AFGを搭載。スピーカーの出力は16W×2。入力は計4系統で、リアにRCA×3、フロントに3.5mmミニジャック×1の各入力端子を備える。なお、前モデルでは12Vペリフェラル端子からの電源供給も可能だったが、本モデルはスピーカー出力が16W×2と高まったため、ACアダプタによる電源供給が必須になる見込みとのこと。
PCI Express x1スロットに取り付ける「Kamaslot Amp」は、ボリュームユニットとセットで販売される。パワーICはTexus InstrumentsのTPA3123D2。スピーカー出力は1.5W×2となる。またBTL接続にも対応しており、本製品をサブウーファ専用のアンプとして追加する、といった使い方も想定しているという。
両モデルとも現時点ではテスト段階にあり、発売時期や価格は未定とのこと。
(2011年 9月 6日)
[Reported by 多和田 新也]