【MWC 2011レポート】LG、8.9型「Optimus Pad」発表
~裸眼3D視に対応するスマートフォンOptimus 3Dも

2月14日(現地時間)発表



 LG Electronicsは、2月14日(スペイン現地時間)に開幕したMobile World Congressにあわせて、記者向けのカンファレンスを開催。Android 3.0(Honeycomb)搭載の8.9型タブレット端末「Optimus Pad」と、裸眼3D視に対応するスマートフォン「Optimus 3D」を発表した。1月に開催されたInternational CESで発表されたTegra 2搭載のスマートフォン「Optimus 2X」、そして薄型スマートフォンの「Optimus Black」と合わせた4製品が、展示ホールにおける同社ブースの主要展示製品となっている。

 特に8.9型のタブレット端末「Optimus Pad」は、今春に日本市場向けにも投入されることが確実視されており、13日に先行して発表されたSamsungの「GALAXY Tab 10.1」に加えて、Android 3.0搭載タブレットでは本命の1つと予想されることから、大きな注目を集めることになりそうだ。

●3Dコンテンツの撮影から視聴まで行なえるスマートフォン「Optimus 3D」

 会場近辺にある商業施設内のカンファレンスルームで開催された記者向けのカンファレンスでは、冒頭にLG ElectronicsのPresident and CEOであるJong-Seok Park氏が登壇。いわゆるフューチャーフォンからスマートフォンへのシフトが急速に進んでいるというデータを示して、よりハイスペックな製品を早期に投入していくことが市場とユーザーののニーズに応える重要なポイントであるという見方を示した。また「True Tablet War」という言葉を用いて、Android3.0(Honeycomb)搭載のタブレットに、差別化した製品を投入することで、タブレット市場における覇権を争う決意も示した。

LG ElectronicsのPresident and CEOであるJong-Seok Park氏。CESで発表済みの2製品に加えて、裸眼3D視対応の「Optimus 3D」を加えたスマートフォン3機種、そしてタブレット「Optimus Pad」を紹介した。LGによると、2009年比における2010年のスマートフォン市場の伸びは67%。2009年に1億4,700万台だった出荷数が、2010年には3億台に迫る勢い。
今回発表された「Optimus 3D」を加えたLGの主力となるスマートフォン3製品。Android 3.0(Honeycomb)の登場と8.9型のタブレット「Optimus Pad」を投入することでタブレット市場は「True Tablet War」となり、覇権を争う決意を示した。

 詳細についての説明はOptimus 3D、Optimus Padともに、同社のDirector of Europe Product MarketingのDaniel Hernandez氏が担当した。最初に詳細が紹介されたのはスマートフォンの「Optimus 3D」。名称のとおり裸眼3D視に対応したスマートフォンだ。搭載されているプロセッサはデュアルコアのTI製OMAP4でクロック周波数は1GHz。すでに発売されている3D視対応競合製品との差別化を図るためか、パフォーマンスに優れている要素として「デュアルコア」、「デュアルチャネル」、「デュアルメモリ」の3つのデュアルを強調した。ただデュアルコアとデュアルチャネルはともかく、デュアルメモリに関しては実際にどうした仕組みを示すのかはわかりにくく、パフォーマンスをあらわすマーケティング用語として3つ揃えた使われ方をしているものとみられる。ちなみに背面側についている3D撮影なカメラもレンズが2つということで、デュアルレンズという表記がされている。

 3Dコンテンツについては「Optimus 3D」単体で、「見ること」「撮影すること」「シェアすること」のすべてが行える。背面にふたつ付いているカメラは500万画素。レンズの間隔は24mmでLEDフラッシュも搭載。撮影時もディスプレイで裸眼3D視をしながら、3Dの動画を撮影することができるという。

撮影した3D動画はシームレスにYouTubeで共有が可能

 こうして撮影した3D動画コンテンツのシェアに関してはYouTubeと提携。3D表示のランチャーアプリ「3D Play」がプリインストールされておりYouTubeのメニューから、同製品で撮影された3D動画を簡単に視聴することができる。2D撮影と3D撮影の動画は720Pに対応、2Dだけならば1080PのフルHD対応となっている。HDMI1.4出力端子も搭載しているので、3D対応TVやPCに接続すれば2D、3Dともに高解像度での外部映像出力が可能。ただし3Dの表示方式には違いがあるので、例え3D対応TVであっても、必ずしもすべての製品に対応しているわけではない。


スマートフォンに搭載されるプロセッサのクロック周波数の推移。2009年、2010年の主力だった1GHzから、2011年は1GHzのデュアルコアに移行するOptimus 3Dのベンチマーク(同社資料)。すっかりスマートフォンもパフォーマンスを競うステージへと移行した背面に搭載される500万画素のカメラが2個。カメラ間隔は24mm
HDMI1.4でTV出力が可能なほか、DLNAにも対応しているのでOptimus 3Dで撮影した写真や動画を家庭内で簡単に共有することができるOptimus 3D側面のHDMI端子とUSB端子LGの提唱するOptimus 3Dを中心にした3D映像のエコシステム
ブース出展されていた「Optimus 3D」。来場者は自由に操作することができる4.3型液晶を搭載するため、持った感じは少し大きめ。背面にある2つのカメラが印象的裸眼3D視対応のゲームも数本がデモンストレーションされていた

【表1】Optimus 3Dのスペック

プロセッサTI製デュアルコアプロセッサ OMAP4 /1GHz
内蔵ストレージ8GB/(最大32GB)
ディスプレイ4.3型WVGA(480×800ドット)
ネットワーク3GHSPA+(900/1,900/2,100Hz)
GSMEDGE(850/900/1,800/1,900Hz)
無線LANIEEE 802.11b/g/n
リアカメラ500万画素×2(LEDフラッシュ搭載)
バッテリ1,500mAh
OSAndroid 2.2(2.3対応予定)
サイズ68×128.8×11.9mm(幅×奥行き×高さ)
重量約168g

●中間サイズがベストサイズという選択肢「Optimus Pad」
Optimus Padを紹介する、LG Electronicsの、Director of Europe Product Marketing所属、Daniel Hernandez氏

 続いて詳細が説明されたのは「Optimus Pad」。前述したとおり、タブレット用のAndroid OSである3.0(Honeycomb)を搭載する製品である。Optimus 3Dに続いて製品詳細の説明を行なったHernandez氏によると「仕事とプライベート、両方のユーザーニーズに応えるタブレットのスタンダードになる」と製品への自信を見せた。

 何より特徴的なのはそのサイズにある。「Optimus Pad」のディスプレイサイズは8.9型。その製品名にこそ言及はしないものの、比較に用いていたのは7型と9.7型のタブレット製品。言うまでもなく前者はGalaxy Tabであり、後者はiPadを暗に示している。既報のとおり前日にあたる13日の夜には10.1型のGalaxy Tabが発表されているが、LGにしてみれば、これまた後者に位置する製品と言うことになるのだろう。

仕事、そしてプライベートにおけるユーザーのニーズをLGはこのように分析した重要な3つのポイント。生産性の向上と、マルチメディア対応の充実、そしてポータブル性を考慮したデザイン片手で握ることができる8.9型がベストサイズと結論づけたLG
カンファレンスで示された、9.7型、7型ではスタンダードになりえないという例。あくまでLGの考えであるが、暗にGalaxy TabとiPadを示している。確かに中間サイズになるので、それが正しいかはともかくとして、メーカー側の主張としては当然のスタンスである。9.7型(iPad)では片手で握ることができないので不安定、7型ではホリゾンタルモードでの横幅が足りない。同様の比較はブース内でも行なわれていて、こちらはiPadとの比較で長辺のピクセル数についても触れられていた

 サイズ以外の特徴としてはやはりデュアルコア搭載製品であることがあげられる。こちらに搭載されているのはTegra 2(T250)。そのため同製品は会場内のNVIDIAブースにも展示されている。マルチメディア機能に関しては単体でHD画像の再生が可能なほか、HDMI端子を通じて、大画面TVやプレゼンテーションスクリーンに高解像度な映像を映し出すことができる。これがいわゆる仕事でもプライベートでもと言う部分だろう。

 Optimus Pad自体の液晶パネルは3D表示に対応しているわけではないが、背面側のカメラは3D撮影が可能なように、Optimus 3D同様の500万画素のカメラが2個搭載されている。静止画、動画ともに3D撮影が可能だ。こちらのスペックはOptimus 3Dに準じる。つまり3Dコンテンツ視聴はできないが、3Dの静止画や3Dの動画コンテンツ制作は可能ということになる。

タブレット製品に最適化されたAndroid OSである3.0(Honeycomb)の搭載で、シームレスなマルチタスキングが可能背面に搭載される3D撮影が可能な500万画素のカメラ×2。Optimus 3Dにはないフロント側カメラ(2Mピクセル)も搭載されている本体の厚さは12.8mm
LGのブース内で大変な混雑ながらも体験することができる「Optimus Tab」。写真の左上に位置するのがフロント側のカメラ「Optimus Pad」背面の様子。エッジはラウンドした形状で、すなわち片手で握ったときのグリップ感を考慮したもの。カメラ位置は長辺の中央にあるので、3D撮影時はタブレットを水平に構えて両端を持ち撮影するスタイルになる

カメラ部分のクローズアップ。Optimus 3Dでは2つのカメラ間に位置していたLEDフラッシュが、向かって右側のカメラ横に配置されている。光軸を考えると、2Dの静止画/動画を撮影するときは、こちらのカメラが利用されるものと思われる

側面の様子。HDMI出力端子とUSB出力端子、そして充電用の接点などがみえる展示ブース内で行なわれている、競合製品となりうる7型、9.7型との比較デモのコーナー。言うまでもなく、Galaxy TabとiPadを含めた比較。写真のようにiPadに比べて軽量であることは準備ができていたが、Galaxy Tabの10.1型は599gと600gを切って発表されたので、重量という点においては分が悪い結果になっているOptimus Padのデモ展示エリア。こうしたハンズオン可能なエリアがブース内に2カ所あるほか、前述した比較コーナーや説明員が手にしているデモ機もある

【表2】Optimus Padのスペック

プロセッサNVIDIA製デュアルコアプロセッサ Tegra 2(T250) /1GHz
内蔵ストレージ32GB
ディスプレイ8.9型WXGA(1,280×768ドット)
ネットワーク3GHSPA+(900/1,900/2,100Hz)
GSMEDGE(850/1,800/1,900Hz)
無線LANIEEE 802.11b/g/n
内蔵カメラリア:500万画素×2(LEDフラッシュ搭載) / フロント:200万画素
バッテリ6,400mAh
OSAndroid 3.0(Honeycomb)
サイズ149.4×243×12.8mm(同)
重量約630g

(2011年 2月 16日)

[Reported by 矢作 晃]