【CeBIT 2010レポート】【Intel編】
6コアのGulftownは「Core i7-X980」として来週発表へ

Intel PCクライアント事業本部 チップセット&プラットフォームマーケティングディレクター スティーブ.R.ピーターソン氏

会期:3月2日~3月6日(現地時間)
会場:ドイツ共和国 ハノーバー市 ハノーバーメッセ



 IntelはCeBITが行なわれているハノーバーメッセで記者会見を開催し、同社のコンシューマ向け製品に関する説明会を行なった。

 この中で、同社のPCクライアント事業本部 チップセット&プラットフォームマーケティングディレクター スティーブ.R.ピーターソン氏は、「多くのエンスージアストユーザーに興味を持っていただいている6コアのGulftown(開発コードネーム)だが、もう間もなく発表され、小売店には短期間で出荷される」と述べ、見通しを明らかにした。

 実際、CeBITのショーフロアではマザーボードベンダーによるデモも行なわれており、発表自体がそう遠くないことを示唆している。

●デスクトップPCの未来はAIOにあり、日本市場がその未来を示唆

 Intelのピーターソン氏はデスクトップPCの置かれている現状について触れ「ここ数年ノートPCがものすごい勢いで増えていることから、デスクトップPCの売り上げは激減していくと考えられていた。しかし、現実にはデスクトップPCの売り上げは増えている」と、決してデスクトップPCのビジネスが衰退している訳ではないという認識を明らかにした。

 ピーターソン氏によれば、デスクトップPCの成長に貢献しているのは、ここ最近生まれてきた2つの新しいセグメントだという。1つ目が、同社がAIO(All In One)と呼んでいる液晶一体型PCだ。液晶一体型PCは、もともと日本のPCメーカーが古くから取り組んできたセグメントで、近年HP、Dell、Acer、Lenovo、ASUSといった米国やアジアのPCメーカーも積極的に取り組み始めている。

 「今後コンシューマ向けのデスクトップPCの多くの部分はAIOになると考えている。その何よりの証拠は日本市場だ。日本市場はPCメーカーが常に新しいPCの使い方を提案するユニークな市場だが、すでにデスクトップPCの70%はAIOになり、そのほとんどがTVチューナを搭載している」と日本市場を例に挙げた。さらに、今後はAIOだけでなく、SFF(Small Form Factor)などの小型PCよりも、さらに小さなμSFFなどがデスクトップPCの主流になるだろうと述べた。

デスクトップPCはまだまだ成長している。その中でも成長株なのがエンスージアスト向けとAIO(液晶一体型デスクトップ)今後コンシューマ向けのPCの多くはAIOやμSFFなどの新しい形のデスクトップPCになる

●既存のX58マザーボードで利用可能なGulftown

 ピーターソン氏がもう1つの成長市場として取り上げたのが、いわゆるエンスージアスト(熱狂的なマニア)と呼ばれる、ハイエンドゲーマーやオーバークロックマニアのユーザーなどを対象にしたハイエンドPCだ。

 ピーターソン氏は「この市場は潜在的な可能性が非常に高い市場だ。実際、我々の調査によれば、EMEA地域(欧州、中東、アフリカ)のエンスージアストユーザーは、50%が2年に一度はPCを買い換え、14%が毎年PCを買い換える」とし、Intelとしてもエンスージアスト市場にビジネスチャンスがあると考えており、非常に重視しているという認識を明らかにした。

 その上でそのエンスージアスト市場に向けた具体的な製品として、開発コードネームGulftownで知られる製品を紹介した。Gulftownは、Core i7として一昨年に投入されたBloomfieldの後継となる製品で、コア数がBloomfiledの4コアから6コアへと増やされた製品となる。

□CeBITで発表されたGuulftownの概要
・6コア/12スレッド(HTテクノロジ対応)
・Intel Turbo Boost Technology
・32nmプロセス
・X58マザーボードに対応(要BIOSアップデート)
・12MB L3共有キャッシュ
・メモリコントローラ統合(3チャネル、DDR3-1066まで対応)
・QPI対応
・SSE4.1/4.2対応

 GulftownはLGA1366で提供され、すでにIntel X58 Expressチップセットを搭載したマザーボードを所有しているユーザーであれば、BIOSアップデートを行なうだけでGulftownを利用することが可能になる。なお、ピーターソン氏は具体的なブランド名やSKU名、クロック周波数などに関しては「発表を待って欲しい」と明らかにしなかった。

 その後、Gulftownを利用したデモが行なわれ、Bloomfiledとの比較テストでCineBench 11を利用して、Gulftownの方がより高速に処理できる様子を見せた。

GulftownのスペックGulftownダイのフロアプラン
GulftownのウェハGulftown(左)とBloomfield(右)のベンチマーク比較。左のGulftownの方が処理が先に進んでいることを確認できる

●展示会場では「Core i7-X980」としてGulftownのデモが公開される

 前述のように、Intelのピーターソン氏はGulftownのブランド名、SKU、クロック周波数などを公開しなかったのだが、展示会場に行ってみると、マザーボードメーカーASRockによるGulftownのデモが行なわれており、そこには「Core i7-X980」という製品名/SKU名と、デバイスマネージャ表示で3.33GHzというクロック周波数が確認できた。

 現時点ではGulftownのリリース日はIntelからは公式には公開されていないが、マザーボードメーカーの関係者は皆「来週」と口をそろえており、ピーターソン氏も「もうまもなく」と言っていることと総合すれば、そんなに遠くない時期に発表され、市場に出回ることは間違いないと言っていいだろう。

ASRockによるGulftownのデモ。Intelから公式な発表はないが、ASRockによれば製品名はCore i7、SKU名はX980だという。他のマザーボードベンダー関係者によれば「あれはIntelの指示に違反している…」だそうだタスクマネージャで12個の論理プロセッサがあることが確認でき、かつデバイスマネージャでクロック周波数は3.33GHzと確認できる

(2010年 3月 5日)

[Reported by 笠原 一輝]