CeBIT前日にお伝えしたMSIブースの記事でも一部紹介したが、このCeBIT 2010には未発表チップセットを含む、AMD 8シリーズチップセットを搭載したマザーボードが各ベンダーから展示され、事実上の製品解禁状態となっている。
AMD 8チップセットは、SATA 6GbpsをサポートするSB850を組み合わせたことに特徴ある製品群で、6コアのPhenomプロセッサへの対応も表明されている今年のAMDプラットフォームの主力となるものだ。
AMD 890FXはAMD 8シリーズ最上位モデルで、CrossFire Xでの使用を意識した製品。ブースの説明員によればPCI Expressのレーン数が合計で42レーンとのこと。チップセットの発表は4月が予定されているという。
最上位モデルということで、このチップセットを搭載したマザーボードはハイエンド向け製品が目立つ。ASUSTeKのハイエンドユーザ向けマザーボードシリーズであるR.O.G.シリーズの製品も展示されており、PCI Express x16スロットとOC機能の充実をアピールする。AMD 890FXのR.O.G.シリーズ製品は7~8月のリリースを計画しているという。
AMD 870は3~4月のローンチが計画されているというチップセット。AMD 890FXと同じくグラフィック非統合型チップセットで、その下位モデルという位置付けになる。
AMD 890GXはAMD 8シリーズの先鞭をつけたグラフィック統合型チップセットの上位モデルだ。本製品はすでに発表済みの製品で詳しい仕様も公開されている。動作クロック700MHzのDirect X10.1対応グラフィックスを統合するのが特徴となる。
AMD 880GはAMD 890GXの下位モデルとなるチップセットで、AMD 785Gの後継に相当すると見られる。詳しい仕様は不明だが、統合されるグラフィックス機能はRadeon HD 4250と名付けられており、モデル名から見る限り、AMD 785GのRadeon HD 4200から何らかのアップデートはなされているようである。
なお、ほとんどのマザーボードでサウスブリッジにSB850を組み合わせており、チップセット内蔵のSATA 6Gbpsを利用可能にしている。ただし、ASRock製品ではSB810というサウスブリッジを組み合わせた製品を展示。こちらはSATA 6Gbps対応が省かれ、SATA 3Gbps×6ポートの構成のチップセットになるという。とはいえ、多くの製品がSATA 6Gbps、さらにUSB3.0もサポートしてことは、今年のマザーボードのトレンドを掴むうえでも興味深い製品群といえるだろう。
以下、チップセットごとに展示された製品を紹介する。なお、ここでは先だって紹介したMSI製品も再度掲載している。
●AMD 890FX+SB850搭載マザーボード●AMD 870+SB850搭載マザーボード
ASUSTeKの「M4A87TD EVO」。USB3.0サポート。下位のグラフィック非統合チップセットということで製品の構成はシンプルなものが多い | ECSの「A875M-A」。DDR3-1600までのOC動作をうたう | MSIの「870A-G54」 |
●AMD 890GX+SB850搭載マザーボード
●AMD 880G搭載マザーボード
●ASUSTeKがRadeon HD 5870×2基構成のビデオカードを展示
AMD製品関連のPCパーツでは、ASUSTeKがRadeon HD 5870のデュアルGPUビデオカード「ARES/2DIS/4GD5」を展示したのが目立った。
Radeon HD 5870のデュアルGPUといえばRadeon HD 5970を想像する方もいると思うが、Radeon HD 5970はデュアルGPU化に際して、Radeon HD 5870より動作クロックを低く設定している。これをOC動作して、Radeon HD 5870相当に引き上げたのが本製品だ。
ASUSTeKのARES/2DIS/4GD5のコアクロックは850MHz。ビデオメモリは1GPUあたり2GBで、計4GBの構成となっている。メモリのデータレートは4.8Gbpsで、コア、メモリともにRadeon HD 5870相当の動作クロックとなる。ただしそのぶん消費電力も増しており、PCI Express用電源コネクタは8ピン×2+6ピンという構成になっている。
価格は未定。発売は第2四半期を予定しているという。
ASUSTeKの「ARES/2DIS/4GD5」。Radeon HD 5870相当のクロックで動作する、Radeon HD 5970のOCモデル | 電源端子は8ピン×2、6ピン×1の構成となっている |
(2010年 3月 3日)
[Reported by 多和田 新也]