Intel基調講演
米Intel主席副社長兼最高セールス&マーケティング責任者、ショーン・マローニ氏 |
会期:6月2日~6日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
Taipei International Convention Center
COMPUTEX TAIPEI 2009初日を迎えた6月2日(現地時間)、オープニングイベントとして、米Intel主席副社長兼最高セールス&マーケティング責任者のショーン・マローニ氏による基調講演が開催され、Intelチップセットを搭載する台湾製のデスクトップ向けマザーボードの出荷数が10億枚を突破したと報告するとともに、将来に向けての同社のビジョンを語った。
まずはじめにマローニ氏は、デスクトップPCについて語った。
「昨年(2008年)、全世界でPC出荷量が大幅減となり、PC事業やマザーボード事業が死んだと言われているが、私はそうは思わない。今後2年ほどは、すばらしい好機だと思っている」とマローニ氏。その根拠として、HDMI機器の普及にともなうHD映像の需要増大や、マイクロソフトの新OS「Windows 7」の登場などを挙げ、それらに対応するとともに、より進化させるために、32nmプロセスや第2世代High-Kメタルゲートテクノロジーを採用した次世代プロセッサ「Lynnfield」、最新チップセットとなる「Intel 5 Series」を投入すると発表。実際に壇上に用意されたLynnfield搭載PCを利用し、Windows 7上でのさまざまな作業が快適に行なえることや、WiMAXを利用してアメリカのホームサーバーと接続し、ホームサーバーに保存されているHD動画や音楽などのコンテンツを、その場にあるかのように扱えること、利用するアプリケーションを問わず、LynnfieldのCPUコアが最適に動作することなどが紹介された。
Intelチップセットを搭載する台湾製のデスクトップ向けマザーボードの出荷数が10億枚を突破 | オールインワンPC、HDMI、Nehalem、Windows 7が、次の10億に向けた変化のカギを握るという | 次への進化に向けて、「Intel 5シリーズ」チップセットを投入 |
多数のIntel 5シリーズチップセット搭載マザーボードを紹介 | Lynnfield搭載PCを利用して、パフォーマンスの優位性を示した |
●Montevina PlusでモバイルノートPCを強化
続いて、米Intel副社長兼モバイル・プラットフォーム事業本部長のムーリー・エデン氏が登壇し、IntelモバイルPCについてのビジョンを語った。
エデン氏は、「携帯電話の進化によって、電話は一家に1台から一部屋に1台、1人に1台へと急速に普及した。これと同じように、近い将来には、1人に1台がノートPCを持つまでに成長すると考えている」とし、ノートPC向けの新プラットフォームとなる「Montevina Plus」を発表した。
Montevina Plusでは、3.06GHzのプロセッサがモバイルノートPCに搭載され、3年前ではハイエンドワークステーションで利用していた3DモデリングソフトがモバイルノートPCで快適に動作するとともに、音楽や動画のエンコード速度も大幅に高速化されるとする。また、Montevina Plusの薄型/軽量モバイルノートPC向けファミリーでは、58%の小型化と42%の省電力化が達成され、薄型/軽量モバイルノートPCの高性能化とバッテリ駆動時間の向上を実現すると説明。この、薄型/軽量モバイルノートPC向けファミリーには、Celeron搭載のエントリーモデルから、Core 2 Duo搭載の上位モデルまで、全4モデルが用意されるとした。
また、今回の基調講演では詳細は語られなかったものの、Nehalemアーキテクチャを採用する、Montevinaに次ぐ次世代のモバイル向けプラットフォーム「Calpella」も紹介された。
●AtomとWiMAXでデジタルデバイドを解消
最後に、デジタルデバイドについて取り上げられた。
マローニ氏は、PCを持つ者と持たない者の間の情報格差(デジタルデバイド)が深刻なまでに拡がっていることを指摘しつつ、その格差を解消する取り組みとして、接続性とコストを改善するべく、新しいテクノロジーを提供するとした。
接続性の改善策としては、広帯域無線通信ネットワークの「WiMAX」を取り上げた。実際のロシアでの例を取り上げつつ、WiMAXによって、都市部では一度に非常に多くのユーザーをカバーできることや、有線ブロードバンドの敷設が困難な場所に対しても比較的容易にブロードバンド環境を提供できることなどが紹介され、接続性の改善策として非常に有効な手段であるとした。
コストについては、前回のCOMPUTEX TAIPEI 2008で発表されたAtomプロセッサを取り上げた。そして、AtomプロセッサとWiMAXを組み込んだ「ネットトップ」を紹介し、これによって、多くの人が低コストでインターネットに接続する手段を手に入れられるとした。
ネットブックについては、「第3世代ネットブック」とする最新のネットブックを紹介するとともに、キッズ向けPC市場にも言及。世界中の全ての子供がPCを利用してネットの情報に触れられることの重要性を指摘するとともに、そこには巨大な未開拓市場が存在し、その市場に対してネットブックが大きな役割を果たすとした。
さらにIntelが支援して開発が進められている、Linuxベースのネットブック向けOS「Moblin 2 beta」が動作するネットブックも公開された。
ネットブックでMoblin 2 Betaが動作する様子をデモで紹介するとともに、起動直後に表示されるホームページの優れたカスタマイズ性、用意されているアプリケーションの豊富さなども紹介。さらに、Moblin 2 Beta上でGoogle Andriod対応アプリケーションが動作する様子も示された。ネットブックで動作するMoblin 2 Betaや、搭載されているアプリケーションは、どれもは非常に軽快に動作しており、ネットブックの新たな可能性を感じさせるには十分なものであった。
WiMAXが、ネットワークへの接続性を改善 | Atomプロセッサによって、PCの低コスト化を実現 | デジタルデバイドの有効な改善策として、AtomプロセッサとWiMAXを搭載するネットトップを示す |
第3世代ネットブックも多数展示し紹介 | キッズ向けネットブックを手に、キッズ向けPC市場の重要性を指摘 | Moblin 2 Betaが動作するネットブックも披露 |
Moblin 2の起動画面。自由なカスタマイズが可能であると紹介 | 数多くのアプリケーションが搭載されている |
Moblin 2上でGoogle Andriod対応アプリケーションが動作することも示された | Moblin 2がネットブックの価値をさらに高めるとした |
(2009年 6月 3日)
[Reported by 平澤 寿康]