イベントレポート

400京トークン消費時代に応える。Qualcommサーバー向け新ブランド「Dragonfly」

Snapdragon、B2B向けのDragonwingについで、サーバー向けのブランドになるDragonfly

 Qualcomm CEOのクリスチアーノ・アーモン氏は6月1日(台湾時間)、COMPUTEX 2026の開幕基調講演に登壇した。この中で、スマートフォン、PC、自動車、ロボットなどさまざまなエッジデバイスで、エージェント型AIを実行する時代が来ていると述べ、同社はエージェント型AIに対応した製品の拡充を目指すと表明した。

 また、「我々のデータセンター向けの製品ブランドはDragonflyになる」と述べ、同社が6月24日に発表を行なうと予告したサーバー向け製品のブランド名を公開した。

AIは人間の生活と切り離せなくなりつつあり、COMPUTEXではそれを構成するフルスタックの要素が展示される

TITRA ジェームス・フアン会長

 Qualcommの基調講演は、COMPUTEXの基調講演の中では最初に行なわれるため「開幕基調講演」と名付けられて開催されている。

 このため、COMPUTEXの主催者であるTITRA(台湾貿易センター)、TCA(台北市電脳商業同業公会)の関係者らも登壇して、COMPUTEXの開幕を宣言した。TITRAからはジェームス・フアン会長、TCAからはジェーソン・チャン会長(Acer CEO)が登壇し、スピーチを行なった。

AIは単一のツールでなくて新しい文明の始まり

 TITRAのフアン氏は「現在は世界的な秩序が解体されつつ、再構築が行なわれており、不確実性こそ新しい常態になっている。またテクノロジーも進化しており、AIはもはや単一のツールではなく新しい文明の始まりだ。COMPUTEXはPC、インターネット、モバイル、クラウドの勃興とともに発展してきた。今、AIはツールからアクターへと進化しつつあり、単なるテクノロジーのストーリーではなく、人間のストーリーになりつつある」と述べ、AIと人間の生活はもはや切り離せない存在になりつつあり、だからこそCOMPUTEXはAIをメインテーマに据えてイベントを開催しているのだと強調した。

TCA ジェーソン・チャン会長(Acer CEO)
台湾はAIのフルスタックを提供できる

 TCA会長のチャン氏は「Computing(コンピューティング)、Connectivity(接続性)、Storage(ストレージ)、Efficiency(効率性・省エネ)、Application(アプリケーション)が今年のCOMPUTEXを示すキーワードだ」と述べ、AIが単なるGPUやCPUといった半導体だけでなく、それらをくみ上げてデータセンターにすることやソフトウェアを含めたフルスタックの競争になっていると指摘し、COMPUTEXではそうしたフルスタックのソリューションを展示していると説明した。

トークン需要の爆発に対処するため、エッジとサーバー両方でトークンを処理する分散処理が重要に

Qualcomm CEOクリスチアーノ・アーモン氏

 続いて、フアン会長に呼ばれて登壇したQualcommのアーモン氏は「私は今年(2026年)をエージェント型AIの年だと位置づけている」と述べ、AIはプロンプトにユーザーが入れた質問に答えるツールから自律的に行動し、複数のタスクの間を調整しながら動作していくものへと進化していくとした。

 そしてエージェントは人間の「相棒(コンパニオン)」として機能するようになり、これまではスマートフォンなどのモバイル機器中心だったユーザーの生活が、今後はエージェントが中心になっていくのだと説明した。

 さらに、「エージェント型AIの時代にふさわしいハードウェアへのアップグレードが、いままさに始まろうとしている」と述べ、今後スマートフォンやノートPCなどがその時代に合わせて進化していく必要があると述べた。また、ロボットや自動車なども同様で、エージェント型AIによりさらに進化していくと説明した。

デジタルの中心はデバイスからエージェントへ
デバイスもAIエージェントに合わせて進化する必要がある

 その上で、今後はエージェント型AIなどが処理するトークンが爆発的に増えていくとし、2026年には10秒間に世界で消費されているトークンは、317億トークンだと予想されるが、2030年にはそれが40倍になる1兆2,700億トークンへと爆発的に増えると説明した。2030年に年間で必要になると予想されるトークンは400京になると説明し、「もうなんの単位かよく分からないだろう」と会場を笑いに誘いつつ、トークンの処理をサーバーだけで行なうのではなく、エッジ(クライアント)側とサーバーの両方に分散して行なうハイブリッドが重要だと述べた。

2026年には10秒で317億トークンが消費されている
2030年に10秒で1兆2,700億トークン
2030年には400京トークンが必要になる、英語だと4quintillion
AIエージェントはエッジとサーバーの分散処理に

 その上で、昨年(2025年)のCOMPUTEXで発表されたQualcommのデータセンター向け製品に関して「昨年ここでサーバー製品について発表し、詳細は今後にという話をしたが、今回はそのブランドがDragonflyであり、詳細は6月24日に明らかにする予定だ」と述べ、講演を終えた。

Dragonflyを搭載しているとみられるラック

【お詫びと訂正】初出時、タイトルなどで「40垓トークン」(秒間消費)としておりましたが、正しくは「400京トークン」(年間消費)です。お詫びして訂正させていただきます。