イベントレポート

Snapdragonに匹敵するSoC「Dragonwing IQ10」。ヒューマノイド発展の布石なるか

Qualcommが発表したDragonwing IQ10の詳細を説明するスライド(出典: Qualcomm CES 2026、Qualcomm)

 Qualcommは1月5日(現地時間)、B2B向けブランドとして展開しているDragonwingの新製品として「Dragonwing IQ10」を発表した。

 Dragonwing IQ10は、フィジカルAIとして急速に注目を集めつつあるヒューマノイドロボットや、産業用ロボット(AMR)などをAIで動作させるロボット向けのSoCで、Snapdragon譲りの高性能で高い電力効率を実現していることが特徴になる。

注目を集めるフィジカルAI向けのDragonwing IQ10

フィジカルAIは急速に注目を集めつつあり、1兆ドルの市場規模があると考えられている(出典: Qualcomm CES 2026、Qualcomm)

 近年のQualcommは、基本となるIPデザイン(CPU/GPU/NPUなど)を、まずはPCやスマートフォンなどの高性能を必要とするセグメント向けに投入し、それからXR(eXtended Reality)、自動車やIoTなどに横展開していくという製品戦略を採っている。XR用なら「Snapdragon XR」だし、自動車用なら「Snapdragon Digital Chassis」として展開され、XRグラスのベンダーや自動車ベンダーなどで採用が進んでいる。

 今回発表されたDragonwing IQ10もそうした製品の1つで、最近注目を集めつつあるフィジカルAIと呼ばれる、AIベースのロボット向けの半導体製品となる。

 従来のロボットは、自動車と同じように専用のマイクロコントローラなどをベースに作り込まれていたが、近年は汎用プロセッサ+ソフトウェア、つまりはソフトウェア定義(Software Defined)ベースに置き換わりつつある。

 その背景にあるのはAIの急速な普及だ。LLMのようなAIが前後のコンテキスト(文脈)を読み取って動作可能になりつつあるため、それとAIによるCV(Computer Vision、画像認識)を組み合わせることで、より高度なロボットの動作を、低コストで実現できるようになってきているのだ。

 そこで注目されているのが、AIソフトウェアをローカルで実行できる強力な半導体だ。PCやスマートフォンに採用されているのと同じような半導体が、フィジカルAIで利用されるため、Qualcommなどの半導体ベンダーにとっては新しいビジネスチャンスだと捉えられているのだ。

Snapdragonシリーズ譲りの高性能かつ低消費電力を武器に

Qualcommはチップだけでなくソフトウェアも含めて一気通貫で提供する(出典: Qualcomm CES 2026、Qualcomm)

 Dragonwing IQ10は、18コアのOryon CPU、Adreno GPU、Hexagon NPUなどを1チップに統合したSoCで、18コアのOryon CPUというスペックからも分かるように、PC用のSnapdragon X2 Eliteに匹敵するような高い性能を持っている。

 同時に、高い電力効率も実現しており、必要に応じて高性能を発揮できるが、アイドル時などは低消費電力で動作する。

 フィジカルAIが目指しているようなヒューマノイド型ロボットは、ワイヤレスでのバッテリ駆動となる。このため、PCやスマートフォン向けのSoCと同様に電力効率が重要になり、Dragonwing IQ10のように低消費電力だが高性能というチップへのニーズが高まっているのだ。

 QualcommはDragonwing IQ10向けのソフトウェア開発スタックに関しても用意しており、エッジ側のAIソフトウェアだけでなく、クラウド側でAIの学習を行なうソリューションを含めて一気通貫で提供する。

 今回のCESでQualcommとベトナムのロボット企業であるVinMotionは、QualcommブースにおいてMotion 2ヒューマノイドのデモを行なう予定だ。