イベントレポート
NVIDIA連携でAI時代のデータセンターに挑むMediaTek
2025年5月22日 09:29
MediaTekは、COMPUTEX TAIPEI 2025の基調講演に登壇し、同社のソリューションに関して説明を行なった。MediaTek CEO リック・ツァイ氏は「我々は近年データセンター事業にも乗り出しているが、その戦略はIPを他社に提供してカスタムチップを作り上げていくことだ」と述べ、MediaTekとしても成長著しいデータセンター向け半導体事業に力を入れていることを強調。後半には、NVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏が登壇し、NVIDIAとMediaTekが共同で開発したGB10を搭載したDGX Sparkなどの取り組みに関して説明した。
スマホやTVの半導体メーカーから、自動車やデータセンターなどに軸を広げるMediaTek
MediaTekは1997年に、UMC(United Microelectronics Corporation)がファウンドリビジネスに特化するにあたり、製品部門がスピンアウトする形で設立された半導体メーカー。当初は光学ドライブのコントローラなどが主力事業だったが、後にデジタルTV向けのSoC、普及価格帯のスマートフォン向けSoCなどの事業に進出し、現在はファブレスの半導体メーカーとしてはグローバルに5位の規模となる半導体メーカーになっている。ツァイ氏は「我々の製品は既に200億台を超える機器に採用されている。これは全世界で一人あたりが2.5台の製品を採用したデバイスを持っている計算になる」と、アピールした。
「我々は今AIの時代に途中にしている。そのためAIを加速するような半導体製品を用意しており、AI機能を搭載したスマートフォン、IoT、自動車、スーパーコンピュータ、ASICなどに取り組んでいる」とし、同社の主力事業であるスマートフォン/Chromebook向けSoCやIoT向けSoC、さらには今後の注力分野として自動車、さらにAIデータセンター向けのソリューションに力を入れていくと説明した。
その基本となる今後の展開として、MediaTekの製造パートナーであるTSMCとのパートナーシップについて説明し、今年の9月に同社製品がテープアウト(半導体業界の用語で、製造に利用するマスクを完成させて、サンプルウェハの製造が開始できるようになること)を予定しているTSMCの2nmについて触れ、3nmと比べて性能は15%向上するが、消費電力は25%減少すると説明した。
PC向けとしては同社がChromebookデバイス向けに提供しているTSMCの3nmで製造されているKompanioについて説明し、20時間のバッテリ駆動時間と50TOPSのNPUを搭載して、Google Geminiが快適に使えることをアピールした。
さらに自動車向けとして、「Dimensity Auto」製品が既に顧客向けにサンプル出荷を開始していると説明し、フラグシップ製品となるC-X1などの製品がまもなく市販車に採用される見通しだと説明した。Dimensity Autoは、NVIDIAとの協業により開発されたもので、SoCの大部分はMediaTekが設計し、GPUはNVIDIAのIPデザインを提供される形になる。
ここでもNVIDIAのジェンスン・フアンCEOが基調講演に登壇、MediaTekとの深い関係をアピール
そうしたNVIDIAとの提携は、自動車向けだけに留まらない。MediaTekはデータセンター向けの各種製品で、NVIDIAとの協業を行なっている。3月のGTCで発表されたDGX Sparkには、MediaTekがCPUの設計を担当したGB10がSoCとして採用されている。
MediaTekは昨年(2024年)にデータセンター向けのカスタムASICを提供する事業を始めることを明らかにしている。たとえば、チップレットでダイとダイを接続するインターコネクト、高速I/O、ネットワーク、HBMコントローラなどのメモリ設計などに関してのIPデザインを提供し、それらを顧客が選んで顧客に最適なカスタムASICを提供するとツァイ氏は説明。たとえば、データセンター向けにTPUを導入したい企業などに、そうしたカスタムASICを提供するというビジネスになる。
そして、そのカスタムASICに関してもNVIDIAとの協業が今回明らかにされ、NVIDIAが19日に行なった基調講演の中で発表した「NVLink Fusion」にMediaTekが対応する方針が再度アナウンスされた。
NVIDIAとの協業について説明された後、このMediaTekの基調講演の2時間前に行なわれたFoxconnの基調講演に登壇したばかりのNVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏が、MediaTekの基調講演にも登壇した。これにより、フアン氏は今回5つ行なわれた基調講演のうち3つに登壇したことになり、今回のCOMPUTEXがNVIDIAの独壇場というイメージをさらに強くした。
フアン氏はNVLink Fusionの重要性やGB10を搭載したDGX Sparkなどについて紹介した後、ツァイ氏からフアン氏がお気に入りだと公言している夜市のフルーツ店のフルーツを贈られ、ご満悦な様子だった。なお、このフルーツは、来場者にも数量限定ながら配布されており、なくなる前にゲットできた参加者は嬉しそうに食べながら会場を去って行った。






















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