イベントレポート

2024年、いよいよ5Gigabit Ethernetが本格普及か

 台湾にて開催中のCOMPUTEX TAIPEI 2024にて、5Gigabit EthernetのソリューションについてRealtekのブースで展示されている。

 近年マザーボードでも採用が増えてきた5Gigabit Ethernetについて、仕掛け元であるRealtekに聞いてみた。

左上:MSI、左下:ASUS、右上:ASRock、右下:GIGABYTE。右上は今回のCOMPUTEX 2024で発表されたASRock TAICHI LITE(Z790は誤記と思われる)

 今回Realtekが準備している5Gigabit Ethernetソリューションは以下の3つ

  • RTL8126:PCI Express 3.0 x1→5Gigabit Ethernet
  • RTL8157:USB 3.1→5Gigabit Ethernet
  • RTL8252B:PHY(物理層)のみ

 なお、これらは2022年に発表されているものとなるが、デモボードの状態からようやく製品に搭載されてきた形となる。

Realtekの5Gigabit Ethernetソリューションの概要

 まず、執筆時点の市場見る限り、2.5Gigabit Ethernetが普及してきており、アドオンカードで10Gigabit Ethernetもしくはそれ以上……という状態だ。

 ここで5Gigabit Ethernetが間に入っても、結局性能を引き出すには市場にある10Gbpsの機器が必要になってきてしまうため、それなら10Gbpsで良いじゃない! というのが筆者の認識だ。

Cat.5eのケーブルのままで良い

 しかし5Gigabit Ethernetの最初のメリットとしては、LANケーブルを交換せず速度をアップグレードできる点が挙げられる。

 10Gigabit Ethernetの場合は少なくともCat.6のLANケーブルが必要になるが、Realtekの担当者によれば5Gigabit EthernetまではCat.5eで対応できるとのこと。そのため、ケーブル交換に伴うコスト削減が期待できる。

 小規模なネットワークであればケーブルを数本変えるだけのため、大したコスト削減にはならないのだが、壁の中にLANの配線がされているといった場合、確かに効果はあるだろう。

 また、これらの市場のユーザーは「速度を速くしたいが、変更は望んでいない」とのことだ(ギクっとなった筆者)。

Wi-Fiアクセスポイントなど5Gbps対応製品も増えてきている

 Realtekによれば、昨年(2023年)まではデモボードの状態だったが、今年(2024年)は対応製品がパートナーメーカーからリリースされているとのことだ。

 Realtekのブースにはマザーボードのほかに、近日発売となるTP-Link製のWi-Fiルーター「Archer GE650」とRUIO製のインドアCPE(日本で言うSoftBank Airのようなもの)が展示されていた。とはいえ対応機種はまだまだこれからということに変わりはないだろう。

マザーボード以外にも5Gigabit Ethernetが採用されている

QFNパッケージを採用で安い

 Realtekの5Gigabit Ethernetコントローラは、8×8mmのQFN(Quad Flat No-lead)パッケージを採用しているため、BGAと比べてチップのパッケージコストや実装コストが安い点も見逃せない。また、消費電力も1.7W以下に抑えられているそうだ。

消費電力は2.5Gbpsと10Gbpsの間
STLabのRTL8126を4つ搭載した製品。QFNパッケージが4つ確認できる

ちょうど良い感じのところを突いた5Gbps

 2.5Gbpsの次を考えると、コストも安く、扱いやすい5Gbpsはちょうど良い感じのところを突いた仕様と言えるだろう。

 ただ、ここまで来るとRealtekが力を入れているWi-Fi 7も含めコンシューマ向けでは違いが分からなくなるレベルに到達している。メーカーもそれは認識しているが、それでも「速度を制限する必要はありませんと」筆者に述べた。

 5Gigabit Ethernetが今後どうなっていくのか、今後が楽しみだ。