イベントレポート
Ryzen 8040搭載ノート、メモリ16GBのRadeon RX 7600 XTなどがCESで展示
2024年1月15日 11:39
AMDは、1月9日~1月12日(日本時間1月10日~1月13日)に米国ラスベガスで開催されたCES 2024に出展し、同社の最新製品を展示した。
CESでは、デスクトップPC向けのRyzen 8000 Gシリーズ・プロセッサ(以下Ryzen 8000 Gシリーズ)として発表したほか、新しいGPUとしてビデオメモリを16GBに強化したRadeon RX 7600 XTを発表し、それらの製品を展示した。
また、第1四半期中に出荷開始する予定のRyzen 8040シリーズを搭載したノートPCを展示し、実際の出荷に向けて準備が進んでいることをアピールした。
Ryzen 7 8700Gを搭載したデスクトップPCが展示されるが、タスク マネージャーにはNPUが表示されないのはなぜ?
Ryzen 8000 Gシリーズは、これまでモバイル向けに展開されてきた開発コードネーム「Phoenix」およびそのリフレッシュ版となる「Hawk Point」を初めてデスクトップPCに展開した製品となる。もちろんベースになっているのはリフレッシュ版の「Hawk Point」で、NPUが16TOPSと性能が引き上げられているバージョンとなっている。
これまでNPUを統合したSoCは、AMDのRyzen 7040シリーズ・モバイル・プロセッサ、Ryzen 8040シリーズ、IntelのインテルCore Ultraプロセッサと、いずれもノートPC向けで、デスクトップPC向けは存在していなかった。その意味で、このRyzen 8000 Gが初めてNPUを統合した製品となる。
AMDのブースに展示されていたRyzen 8000 Gシリーズの最上位SKU「Ryzen 7 8700G」を搭載したPCで確認したところ、タスクマネージャーにはNPUが表示されていなかった。AMDに確認したところ、これは現時点でのAMDのNPU「Ryzen AI」の仕様ということだ。
一方で、デバイスマネージャーで確認したところ、「AMD IPU Device」とシステムデバイスのところに表示されているものがRyzen AIのデバイスだということ(IPUはRyzen AIの旧名称)で、つまりはWindowsからはNPUとして認識はされている。
実際、Ryzen 7040を搭載したノートPCで確認したところ、NPUがなければ利用できない「Windows Studio Effects」が有効になっていることが確認できたため、確かにWindowsからはNPUが認識されていることは分かった。
AMDによれば、NPUとしてはデバイスマネージャーに表示されない問題は、Microsoftと協力して解決に向けて鋭意作業中とのことで、今後のWindows Updateなどで解消される見通しだということだ(ただ、それがいつになるのかはMicrosoft次第とのことで、AMD側にも分からないということだった)。
Ryzen 8000 GシリーズはRyzen 7 8700G、Ryzen 5 8600G、Ryzen 5 8500G、そしてシステムビルダー向け専用のRyzen 3 8300Gという4つのSKUが用意されており、上位3つのSKUはそれぞれ329ドル、229ドル、176ドルという実売予想価格で1月31日から出荷開始される計画だ。
第1四半期中に出荷が予定されているRyzen 8040シリーズを搭載したノートPCが展示される
AMDは12月に開催した記者会見「AMD Advancing AI」において、「Hawk Point」のノートPC向けとしてRyzen 8040シリーズを発表し、2024年第1四半期に出荷開始する計画であることを明らかにした。現時点ではまだ正式に出荷開始したことはアナウンスされていないが、今回のCESではRyzen 8040シリーズを搭載したノートPCが展示されていた。
16GBになったRadeon RX 7600 XT、FSR3/AFMFへの対応もまもなくスタート
CESでは、Radeon RX 7600 XTを発表している。昨年の5月に発表されたRadeon RX 7600と同じく「Navi 33」のダイを採用しており、Radeon RX 7600に比べるとメモリが16GBに増やされ、クロック周波数も引き上げられている。それにあわせてTGPも165Wから190Wに引き上げられているが、650WのPSUで十分利用できる範囲の引き上げで、既に650W以上のPSUで利用しているユーザーにとっては大きな違いはないと言える。
そして細かな違いだが、Radeon RX 7600ではDisplayPortのバージョンが1.4aか2.1でAICパートナーが選択することが可能だった(コネクタのコストがDP1.4aの方が安価だから)。しかし、Radeon RX 7600 XTではDisplayPort 2.1の実装が必須に変更されている。これは将来を見据えた選択ということで、コストは上がってしまうがユーザーが長い間使えるようにということでこの仕様になったとAMDは説明した。
AMDはこのRadeon RX 7600 XTの発表に合わせてというわけではないが、FSR3(FidelityFX Super Resolution 3)とAFMF(AMD Fluid Motion Frames)を利用できる環境を整えている。前者はゲームタイトル側の対応が必要な超解像度技術(レンダリング後のポストプロセッシングで解像度を引き上げる)で、後者はドライバレベルで対応となるフレーム補償技術(GPUがフレームを作成してフレームレートを向上させる)となる。
このため、前者に関してはゲームタイトル側の対応が必要になり、後者はドライバレベルでの対応が必要になる。いずれの技術もフレームレートを向上させる効果があり、よりゲームを快適にプレイすることが可能になる。
1月23日にAMDがリリースする予定の最新ドライバ「Adrenalin Edition 24.1.1」で、AFMFが正式にサポートされる計画だとAMDは明らかにしている(ベータ版では既に対応していた)。なお、AFMFはRadeon RX 7000シリーズとRadeon RX 6000シリーズで利用することが可能だ。
今回AMDのブースではFSR3に対応したゲームタイトルのデモも行なわれた。EAの「Immortals of Aveum」がそのタイトルで、設定にFSR3があることが確認できた。ほかにもAVATARなどが既に対応しておりCES時点で20のタイトルが対応済み、今後はFlight Simulator 22やStarfieldなどのゲームタイトルが対応予定だと説明している。
また、ソフトウェアレベルでの実装になり、AMDのGPUでなくても利用できるため、NVIDIAやIntelなどのほかのGPUメーカーのビデオカードを使っているユーザーでも有効にして恩恵を得られるとAMDは説明した。