イベントレポート

2画面見開き型の「Yoga Book 9i」と赤いアレを搭載したスマホ「ThinkPhone」を実機写真でチェック

ThinkPhoneの本体左側に用意されている赤ボタン、デザインの意匠はかなり「TrackPoint」が意識されている

 Lenovoは1月5日~1月8日(現地時間、日本時間1月6日~1月9日)の4日間にわたって米国ネバダ州ラスベガス市で開催されているCES 2023に合わせて新製品を発表した。同社はCES 2023の期間中に会場近くのレストランにおいて、そうした新製品の展示を行ない、2画面見開き型PCの「Yoga Book 9i」や、「Think」ブランドを冠したスマートフォン「ThinkPhone」などの実機を公開した。

2画面見開き型のYoga Book 9i、外付キーボードとフォリオケーススタンドを使って出先でノートPCのように使える

B面とC面がディスプレイになっているYoga Book 9i

 Yoga Book 9iはクラムシェル型デバイスだが、通常はキーボードになっているC面がディスプレイになっているということが最大の特徴となる。B面のディスプレイと合わせて2つの画面を持っていて、360度回転ヒンジでタブレット型、テント型などに変形させて使うことも可能だが、最大の特徴は2画面をフラットにして縦、ないしは横において付属している外付キーボード(Bluetooth接続)とスタンドになるフォリオケースとを組み合わせて利用することで、2画面のノートPCとして利用することができることだ。

360度回転ヒンジを備えて2-in-1型のように使える。テントモードやタブレットモードにして使うこともできる
折りたたむと外見は通常のクラムシェルノートPCのようだ

 フォリオケースはマグネット式で簡単に組み立てることができるようになっているだけでなく、折りたたみも簡単で、持ち運び時にはかなり小さく折りたたんで持ち運ぶことができる。その状態でYoga Book 9iを縦置きすると、縦2画面のPCとして、横に置くと横2画面のPCとして利用することが可能になる。

折りたためるフォリオケース、キーボードを持ち運ぶのに利用する。ペンもホルダーに入れて持ち歩くことができる
ポート類

 ディスプレイは13.3型の2.8K(2,880×1,800ドット)OLEDパネルで16:10のアスペクト比、DCI-P3 100%の色域を実現している。そのディスプレイが2枚、B面(ノートPCの通常の画面)とC面(通常はキーボードの面)に搭載されている。したがって、Windowsからは二つのディスプレイが内蔵されていると見えている形になる。

実機ではまだES品だったが、第13世代Core UシリーズがCPUとして採用されている

 CPUは第13世代CoreのUシリーズ(TDP15W版)が採用されており、展示されていたサンプルはES版のCPUが採用されていたため、どのSKUが製品で搭載されるかは不明だが、スペックシートにはCore i7と公開されているのでCore i7-1335Uあたりになるだろう。メモリは最大16GB、ストレージは512GBないしは1TBとなっている。

 ただ、本体だけで1.38kgの重量があることが弱点と言える。というのも、一般的なノートPCで1番電力を消費しているのはディスプレイで、それが2枚あるためバッテリ駆動時には通常のノートPCに比べて消費電力が大きくなってしまうからだ。

 このため、80Whrという大容量のバッテリを搭載しており、どうしても重量が増えてしまうという結果だ。それとは別にキーボードとフォリオケースを持ち運ばないとノートPC的な使い方ができないことを考えると、さらに重量は増えることになる。そこはトレードオフと考える必要があるだろう。

 LenovoによればYoga Book 9i の価格は2,099.99ドルが想定されており、6月から市場に提供される計画だ。米州、欧州、アジアなどでの提供が明らかにされているが、日本で提供されるかは現時点では未定だ。

ThinkPadと共通のデザイン意匠やコラボ機能を搭載したThinkPhone、赤ぽっちではなく赤ボタンを搭載

ThinkPhone、裏側のデザイン意匠はThinkPad X1 Carbon風

 もう1つの注目製品となるThinkPhoneは、Lenovoのビジネス向けPCのブランド(ThinkPad、ThinkBook、ThinkCentre)と共通のThinkがついた新しいシリーズとなるブランドになる。つまり、ビジネス向けのスマートフォンというのがThinkPhoneの立ち位置となる。

 ただ、ThinkPhoneを提供するのはLenovoではなく、Lenovoの子会社であるスマートフォンメーカーであるMotorolaで、Motorolaが提供するビジネスユーザーをターゲットにしたスマートフォンとなる。

ThinkPhoneの右側にはTrackPoint風の赤いボタンが……
ボタンを押すとショートカットが表示される
ThinkPadにコンパニオンツールをインストールすると、ThinkPadからリモートコントールすることもできる

 このため、デザインもThinkPadと共通の意匠になっており、背面はThinkPad X1 Carbonシリーズと同じようなカーボン柄になっており、「ThinkPhone」の「i」の「・」は赤になっているなど、ほかのThinkシリーズと同じようなブランドロゴになっている。

 しかも、左側に用意されているファンクションボタンは、ThinkPadの象徴と言える「TrackPoint」を意識して赤くになっている。もちろん、TrackPointと同じようにポインティングデバイスとして使えるわけではなく(スマートフォンはタッチ操作が基本であるためそうしたポインティングデバイスは必要がないため)、このボタンを押すことでショートカットメニューを表示させて、付属するPCとのリンクソフト「Think 2 Think」を利用してPCに接続して、スマートフォンの画面をPCに表示させて操作したりなどさまざまなPCとスマートフォンのコラボ機能を利用することができる。

カメラは広角と超広角の2つのレンズが用意されており、5,000万画素

 スマートフォンとしてSnapdragon 8+ Gen 1を搭載しており、6.6型FHD+の解像度で、バッテリで最大38時間駆動が可能だとLenovoでは説明している。また、Wi-Fi 6Eにも標準で対応している。なお、背面カメラは2つ用意されており、標準(広角、1x)と超広角(0.5x)の2つのモードが用意されていることがカメラソフトウエアで確認することができた。

 Lenovoによれば米国、欧州、ラテンアメリカ、中東、オーストラリアそしていくつかのアジア諸国で数ヶ月以内に提供開始される計画だが、現時点では価格やそこに日本が含まれるかなどは未定だ。

2023年型のThinkPad X1シリーズが発表、基本的にはCPUが第13世代になったことが最大の強化点

左がThinkPad X1 Nano Gen 3、右がThinkPad X1 Carbon、奥がThinkPad X1 Yoga Gen 8、いずれも第12世代Coreを搭載した前モデルを第13世代Coreに強化したモデルとなる

 LenovoはCESに先立ってThinkPad X1シリーズの最新製品を発表した。14型ディスプレイを搭載したクラムシェル型ノートPCとなる「ThinkPad X1 Carbon Gen 11」、同じく14型の2-in-1型となる「ThinkPad X1 Yoga Gen 8」、そして13型ディスプレイを採用し最小構成で重量が1kgを切る「ThinkPad X1 Nano Gen 3」の3製品。

 スペックを見ても、現地で実機を確認しても、基本的にはCPUがアップグレードされていることが最大の強化点で、デザインや機能などは前世代とほぼ同等になっている。これは第13世代Coreが、第12世代Coreの改良版であることを考えれば妥当なアップデートと言える。

ThinkPad X1 Carbon Gen 11、外観からのGen 10との差異は見当たらなかった
ThinkPad X1 Yoga Gen 8、こちらも製品名以外に外観の差は見当たらなかった
ThinkPad x1Nano Gen 3こちらも特に外観の差は見当たらなかった

 なお、今回はAMDのRyzenシリーズを搭載した13型のThinkPad Z13、16型のThinkPad Z16に関しては特に発表がなかった。というのも、ThinkPad Z13は、AMDのRyzen PRO 6000シリーズ(開発コードネーム:Rembrandt)のUシリーズ(TDP15~28W)を搭載しているのだが、今回のCESでAMDはその後継となるRyzen 7000シリーズのノートPC版を発表したが、直接の後継となるRyzen 7040シリーズ(開発コードネーム:Phoenix)はHSシリーズ(TDP35~45W)が発表されたが、Uシリーズ(15~28W)に関して、存在は明らかにされたが、具体的なSKUをAMDは発表しなかった。

 このため、ThinkPad Z13の後継が登場するのはそのPhoenixのUシリーズをAMDが発表してからと考えられ、今回は発表されなかったと考えることができるだろう。

ThinkBook Plus Twist、A面がEペーパーのディスプレイ、B面がOLEDになっており、ディスプレイを回転させてディスプレイを切り替えて使うことができる。バッテリで使う時にOLEDからEペーパー側に切り替えると、バッテリ駆動時間を延ばすことができる。動画とかを見るのには適していないが、文章を書くときなどには最適