イベントレポート

Alienware、2つのACアダプタで小型化した外付けGPU

Dellが発表した「Concept Polaris」、従来のeGPUと比較してコンパクトで高いデザイン性が特徴(写真提供:Dell)

 Dellは1月3日(現地時間)より米国ラスベガスで開催されているCESにあわせて報道発表を行ない、多数のノートPCなどを発表している。それと同時に今回のCESでは、多くのコンセプトモデルも発表しており、1月4日(現地時間)にはeGPU(External GPU、外付GPUボックス)を次の段階へと進化させるコンセプトモデルとして「Concept Polaris」を発表した。

今風のゲーミングPCのデザインを採用したConcept Polaris

Alienwareのデザイン意匠「Alienware Legend 2.0」を採用しているConcept Polaris(写真提供:Dell)

 Concept Polarisは、eGPUのコンセプトモデル。Dellは、2014年にAlienware Graphics Amplifierの製品名で、eGPUの最初のモデルを発表し、Alienwareブランドで販売してきた。こうしたeGPUが登場した背景としては、IntelがPCI Express x4レーンをケーブル化できるThunderboltの技術を導入したことがある。それにより、ノートPCにThunderbolt 3ポートが搭載されるようになると、eGPUが多くのメーカーから販売されるようになり、既にありふれた製品になっている。

 そうした中で、DellはConcept Polarisを、eGPUを次の段階へと進化させる製品として位置づけており、多くの強化を加えている。その最大の特徴はデザインだ。eGPUと言えば、外付けHDDなどの意匠に似たような、いわゆる「IT機器っぽい」デザインが採用されていることが多い。どうせ机の下とかに置くから良いだろうということだが、その一方でZ世代のゲーマーのようにデザインにこだわるユーザー層にとっては「ダサイ」というイメージが否めなかったのも事実だ。

前面パネル(写真提供:Dell)
フルサイズのビデオカードが入るような奥行き(写真提供:Dell)

 そこで、Concept Polarisでは、Dellが「Alienware Legend 2.0」と呼んでいる、近年のAlienware製品で採用されている丸みやエッジを強調する新しい世代のゲーミングPCと共通のデザインを採用。白を基調とした丸形のケースにグリーンのAlienwareの意匠を前面に採用したデザインは、従来のeGPUのケースとは一線を画すものとなっている。

フルサイズカード対応で、電源を2つのACアダプタにすることで小型化

既製品のフルサイズが入る、水冷のシステムを採用する予定(写真提供:Dell)

 Dellによれば既製品のフルサイズである16インチ(約40cm)のデスクトップビデオカードに対応しながらも、比較的コンパクトになっている。その最大の要因は、電源をボックスの外に追い出したことだ。

 従来のeGPUでは、デスクトップPC用の電源をそのまま活用していたため、どうしてもそのスペースが必要になる。Concept PolarisではACアダプタを採用することで、すっきりとしたデザインを実現することが可能になったとDellは説明している。

 ACアダプタは330WのACアダプタが2つないしは425WのACアダプタが2つという構成から選ぶことができるようになる予定で、ハイエンドのビデオカードがオーバークロック時に消費する電力をまかなうことができそうだ。

背面ポート(写真提供:Dell)

 また、ゲーマーにとって重要な性能に配慮し、DellがCryoTechクーリングソリューションと呼んでいる240mmのサーマル・インターフェイスを採用した水冷キットを採用する計画で、Alienwareの「Alienware Command Center」ソフトウェアを利用してオーバークロックが可能になっている。

 PCとの接続はThunderbolt 3、Thunderbolt 4およびUSB4に対応しており、eGPU側にはDisplayPortなどのディスプレイ出力やUSB端子、さらには2.5Gigabit Ethernet(RJ45)などが背面に用意される。

 Dellによれば、このConcept Polarisは商品化の予定があり、今冬にもリリースされる見通しだとアナウンスされている。価格などは現時点では未定だ。