イベントレポート
【詳報】AMD、PCIe 4.0に対応した第3世代Ryzenプロセッサを今夏投入
~Core i9-9900Kを上回る性能を発揮し、より低消費電力とアピール
2019年1月10日 09:17
CES 2019の会期2日目にあたる1月9日(米国時間)、米AMD社長兼CEOのリサ・スー氏が基調講演に登壇し、同社の戦略や新製品などについて説明した。
この中でスー氏は、同社が開発してきた7nmプロセスルールで製造されるZen2に基づいた第3世代Ryzenプロセッサを、2019年半ばに投入すると明らかにした。
PCI Express 4.0に対応し、Socket AM4マザーボードとピン互換で利用できる第3世代Ryzen
AMDのスー氏が公開したのは、同社のZen2アーキテクチャに基づいた、新しいデスクトップPC向けのプロセッサで、第3世代Ryzenプロセッサと呼ばれる事になる。
モデルナンバーは3000番台となるため、AMD Ryzen Desktop 3000シリーズが製品名となる。
スー氏によれば、第3世代Ryzenは7nmプロセスルールで製造され、CPUのダイと、I/Oのダイの2つが1つのパッケージ上で統合される形になる。
I/Oのダイには、PCI Express Gen 4 (4.0)のコントローラが含まれており、マザーボードが対応していれば、PCI Express 4.0を利用することができる。
マザーボードが対応していればというのは、第3世代Ryzenは、従来のRyzenで使われてきたSocket AM4を利用するため、PCI Express 4.0に対応していない従来のAM4マザーボードでも、そのまま使うことができるためだ。このため、この夏からは第3世代Ryzenに対応したマザーボードが提供される予定になっている。
なお、既存のAM4マザーボードで第3世代Ryzenを利用する場合、BIOSのアップデートが必要で、AMDによれば、BIOSアップデートは各マザーボードメーカーなどが提供するかたちになるという。
また、どのマザーボードが第3世代Ryzenに対応しているのかを示すために、Ryzen 3000 Ready Programが計画されており「AMD Ryzen Desktop 3000 Ready」というシールなどが用意され、ユーザーが判別できるようになる見込みだ。
プロセッサ自体の熱設計や、CPUクーラーのマウント用ネジ位置、電源ユニット、ケースなどは従来世代と変更がないため、現在のRyzen Desktopで使われているものをそのまま流用できる。
Core i9-9900Kと比較してわずかに高い性能を発揮し、30%省電力とアピール
スー氏は、この第3世代RyzenとRadeon VIIを利用して3Dゲームをプレイするデモを行なったほか、第3世代RyzenとCore i9-9900Kを利用したデモを披露した。
比較に利用されたのは定番ベンチマークのCinebench R15で、第3世代Ryzenのスコアが2,057だったのに対して、Core i9-9900Kのスコアは2,040となっており、第3世代Ryzenがわずかに上回るという結果になった。
かつ、システムの消費電力に関して、Core i9-9900Kが179.9Wだったのに対し、第3世代Ryzenは134.4Wとなったことも示し、「性能でCore i9-9900Kを上回っており、かつ消費電力は30%低い」と述べ、7nmプロセスルールで製造されるRyzenのアドバンテージをアピールした。
スー氏によれば「第3世代Ryzenは今年の中頃に投入する」とのことで、今年の夏頃には新しい第3世代Ryzenが市場に投入されることになりそうだ。