イベントレポート
【Inter BEE 2017】クリエイターの創造性を発揮するのにAIは必須
2017年11月17日 11:31
Adobe Systems(以下Adobe)は、Creative Cloudなどのクリエイター向けのツール群を提供する企業としてPCユーザーにはおなじみだが、昨年(2016年)の11月に行なったAdobe MAX 2016において「Adobe Sensei」と呼ばれるAIプラットフォームを発表し、それをCreative Cloudのツールとして提供しているアプリケーションなどに組み込んで提供を開始している。
そのAdobeは、Inter BEE 2017(国際放送機器展)にも参加している。Adobe Systems プラットフォーム&開発エコシステム 主任 ラース・トゥリエロフ氏は、Inter BEEのINTER BEE FORUM特別講演において講演を行なったほか、その後、本誌の取材に応じ、Adobe Senseiの現状などについて説明した。
紙に何かを書いたり折り紙を作ったりするような創造体験を実現
トゥリエロフ氏は、INTER BEE FORUM特別講演で、「人工知能とクリエイティブの融合による新たなコンテンツ制作について」というタイトルで、Adobe Senseiを利用したコンテンツ作成の未来についてのビジョンを説明した。
「ある企業がビジネスを拡張したいと思ったときに、もはやブランドロイヤリティ、価格などはあまり意味がない。ユーザーに提供できる体験こそが重要で、それが成長に残された最後のチャンスだ」と述べ、コンテンツにせよ、ビジネスにせよユーザーに情報を届けたり、コンテンツを届けるには、他者よりも優れたユーザー体験を顧客に提供することが重要だと述べた。
同氏は、その実現を助けるのがAIだとした。「AIを活用するというと、ではインテリジェンスとは何かと問われることが多い。知識とスキルという人もいるが、知識はデータベースであり、スキルは機能のことでアプリケーションプログラムだ。それだと現状のコンピュータもインテリジェンスだということになるが、それにはみな同意しないだろう。インテリジェンスとは、想像力であり対応能力だ」とし、たとえばユーザーが自撮りし、その写真を利用して望むような形に加工することをAIが助ける、そうした仕組みこそがAIの本質だと説明した。
その上で「グーテンベルグが印刷技術を開発し、それが知的世界へ与えた影響力は計りしれないが、それ以前にも紙の発明があり、知識は紙により蓄積されてきた。紙にはそうした心地よさがあり、創造性を育んできた。われわれのAIであるAdobe Senseiのゴールは、そうした紙のように手軽に使える体験を提供することだ」と述べ、Adobe Senseiでユーザーが望むコンテンツ制作を可能にするのだと説明した。
その上で、AIの可能性を今後広げて行くには、技術、発見、アクセラレート、決断、尊重の5つが重要だと指摘し、そうしたAIを同社の製品であるCreative Cloud、そしてExperience Cloudなどの製品に統合していくという戦略を説明した。
クラウド化、モバイル化、AI、オープン化がITの大きなトレンドとAdobeは考えている
講演終了後に本誌の取材に応じたトゥリエロフ氏は、Adobe Senseiに関するいくつかの疑問に答えてくれた。
トゥリエロフ氏は「昨年AdobeのCTOがこれからのITには4つのトレンドがあると述べた。1つ目はクラウドコンピューティング、2つ目がモバイル化の進展、3つ目がAI、そして4つ目がオープンなエコシステムだと述べた。弊社の製品はそうした認識に基づいて、クラウド化、モバイルアプリケーションの提供、そしてAdobe Senseiの提供などを進めている」とし、同社にとってCreative Cloud、モバイルOS向けのアプリケーションの提供などに次ぐ重要なステップとして、Adobe SenseiというAIプラットフォームの導入を考えていると説明した。
よく誤解されているのだが、Adobe SenseiというAIは、それ自体が1つの製品ではない。AdobeからAdobe Senseiというアプリケーションが提供されているのではなく、Adobe SenseiはPhotoshop CCやLightroom CC、Premiere CCといったアプリケーションの下で動いているミドルウェアのようなモノで、アプリケーションからはAPI経由で呼び出され、その結果をアプリケーションに返すという形の仕組みになっている。
逆に言えば、どのAdobeアプリケーション、それこそCreative Cloudだけでなく、Document CloudやExperience CloudといったほかのAdobeのクラウドサービスの一部として提供されているアプリケーションプログラムにも、Adobe Senseiを利用したAI機能を実装できる。したがって、今後Creative Cloudのアプリケーションがバージョンアップされる度に、Adobe Senseiを利用した機能が増えていく、そうした形でエンドユーザーには見えていく形になる。
すでに一部の機能は実装されており利用がはじまっている。「つねに新しいアルゴリズムの開発を行なっているだけでなく、Adobe Stockの膨大なデータを利用して学習を行なっており、日々Adobe Senseiを改善している」と説明した。
なお、Adobe Stockというのは、Adobeが提供している写真や動画の利用権を販売するサービスで、そこには半ばパブリック(ユーザーが自分のコンテンツに利用するには利用権を購入する必要があるが、検索は自由にできる)に提供されている写真や動画ファイルなどが存在している。言うまでもないが、こうした機械学習(マシンラーニング)に利用できる学習用ビッグデータは、「デジタルの石油」という表現をする人もいるほどで、そうしたストックサービス用のデータを学習用ビッグデータとして活用できることはAdobeの強みとなっている。
ここで、ユーザーによっては、ユーザーがCreative Cloudのクラウドストレージに預けているデータ(たとえばLightroom CCの写真)をそうした学習に使われてしまうのではないかというプライバシーに懸念を持つ方もいらっしゃるだろう。トゥリエロフ氏は「弊社ではユーザーのプライバシーに関しては最大限の配慮を払うべきだと考えている。とくにエンタープライズの顧客に関してはそのことは重要で、そうした法律ではもっとも厳しいと思われる欧州の法律に基づいて運用されている。コンシューマのデータに関しても、ユーザーがオプトアウトしていれば学習には使用できないようにしている」と述べ、ユーザーが望まなければ学習用のデータとしては活用しないと説明している。
実際、Creative CloudのAdobe IDの設定には「セキュリティとプライバシー」というページが用意されており、ユーザーが「機械学習」のところで「はい、自分のコンテンツを機械学習テクノロジを使用してアドビが分析するのを許可します」というチェックを外せば、ユーザーのデータを機械学習のデータセットとして使われることはない。
Adobe Sensei APIの95%は現状では内部用限定
そうしたAdobe Senseiだが、現状ではAdobeが4つの重要なトレンドの最後だと考えている「オープンなエコシステム」という意味では、まだほど遠い現状だ。「現時点ではAdobe Senseiが用意しているAPIの95%は、内部用限定となっている。時間が経てば公開できるかもしれないが、現時点では開発段階で、APIにも変更を加えている段階で、外部に公開できるようなものになっていないからだ」とのことで、残念ながらAdobeのパートナー企業や、外部のサードパーティベンダーなどが利用できないという。
しかし、一部のAPIはすでに公開しているという。具体的にはフォントの検出用APIだ。AdobeのモバイルアプリケーションであるCapture CCには、フォントの写真を撮ると、TypeKit(記事:Adobe、Creative Cloud Typekit向けにモリサワTypeBankフォント10種類を追加参照)に用意されているフォントから似ているフォントを自動で探してくれる機能が実装されている(ただし現時点では英語フォントのみ)。この機能はAdobe Senseiを利用して実現されているのだが、そのフォント検出のAPIがすでに公開されており、それを使うとCapture CC同じような機能をサードパーティが実装することが可能になるという。
なお、それらのAPIの詳細は、Adobeがソフトウェア開発者向けに公開されているAdobe I/Oで詳細が公開されているとのこと。興味がある開発者をAdobe I/Oをご参照いただきたい。
では、Adobe Senseiの残り95%はいつ公開されるのか、それがAdobeにとって次のステップになるのは容易に想像できる。というのも、Adobeが説明するITの大きなトレンドの4つ目は「オープンなエコシステム」であるからだ。それについてトゥリエロフ氏は「将来のロードマップに関してはコメントできない」とだけ述べた。裏を読めばつまりロードマップにはそれがあるということだが……。
最後に、AIの話をするとすぐに出てくる「AIが人間の仕事を奪うのではないか」ということについて、トゥリエロフ氏に伺ってみた。すると、トゥリエロフ氏は「Photoshopが出てきてクリエイターの創造性はなくなったかと言えばそうではない。むしろ、今の若い人はPhotoshopがなければ、創造性を実現することができなくなりつつある。私は10年後にはAIもそうなっていると思う」と述べ、今後逆にクリエイターが積極的にAIを使ってもっともっと創造性を実現できるようなデジタル環境が実現するだろうと説明した。
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