イベントレポート

壁や机上の画面をタッチ操作できる「Xperia Touch」の詳細

ソニーモバイルが発表したXperia Touch

 ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社(以下ソニーモバイル)は、2月27日(現地時間)よりスペイン王国バルセロナ市で開催中のMWC 2017で記者会見を開催し、同社の新フラッグシップ機となるXperia XZ Premiumなどのスマートフォン新製品などを発表した(発表記事『ソニーモバイル、世界初4K HDR液晶の「Xperia XZ Premium」。最大通信速度は1Gbps』、解説記事『名前や見た目よりも“中身”こそが本当にプレミアムなXperia XZ Premium』)。

 それと同時に発表されたのが、同社が「Xperiaスマートプロダクト」と呼んでいる、Xperiaブランドを冠したスマートフォンではない製品群。昨年(2017年)のIFAで発表されて日本でも販売が開始されているXperia Earが第1弾の製品となっているが、このMWCではそれに続く製品としてXperia Touchが発表された(『ソニーモバイル、投影した画面をタッチ操作できるAndroidプロジェクター「Xperia Touch」』)。

 Xperia Touchはプロジェクタ内蔵のAndroidデバイスで、カメラと赤外線センサーを利用して、投影した画像をタッチ操作できるのが特徴だ。つまり、壁や机に本機を置いて、画面を投影するだけで、大きなタブレットを操作しているような感覚でAndroid OSやAndroidアプリを操作することができるのだ。このXperia Touchの実機を触って分かったことなどをお届けしていきたい。

10点マルチタッチ対応。将来はジェスチャー操作対応も計画

 Xperia Touchは、単純に言えばプロジェクタ内蔵型のAndroidデバイスだ。こうした製品は、これまでほかのベンダーから販売されており、特に目新しくはない。しかしXperia Touchは、プロジェクタが投影した画面をタッチして操作できる点が、これまでの製品とは大きく異る。

Xperia Touchの本体
壁に投写しているところ
机に投写しているところ
このように投写されている画面をタッチして操作できる
プロジェクタの開口部の内部にカメラが入っている
本体の下部にIRのセンサーが入っている

 これは、プロジェクタのレンズが格納されている場所にカメラ、そして本体下部に赤外線のセンサーが内蔵されており、その2つを利用して指の動きなどを検知できるようになっているためだ。仕組み的には、最大で10点までのマルチタッチが可能で、複数のユーザーで利用することも可能だ。

 ただ、タッチが検知できるのは23型のサイズまで。プロジェクタの仕様としては、80型のサイズまで投影することができるので、24型以上のサイズに投影して利用する場合には、マウスを別途接続するなど、別のポインティング手段を用意する必要がある。

 ソニーモバイルの関係者によれば、内蔵されているカメラを利用してジェスチャーコントロールする機能を開発中で、出荷時には実装されないものの、実用になった段階で、実装する意向があるという。現在は開発中のジェスチャー機能がMWCでは公開されたが、スワイプなども可能になっており、慣れればUIとしては十分に有りだと感じた。

23型ではなく、大きなディスプレイ表示にしたところ。この状態ではタッチ操作はできない
開発中のジェスチャー機能では、人差し指を出してまっていると内蔵カメラが認識してジェスチャーモードになる
ジャスチャー操作中には大きな円が表示されてポインター替わりになる

 写真にあるように家庭内の机の上に置いたり、壁際に置いたりして利用することをイメージしているという。例えば、Skypeを利用して遠隔地にいる家族とビデオ通話をしたり、PlayStation 4のリモートでゲームをプレイしたり、Googleカレンダーの機能を利用して、家族で予定をシェアしたりといったシーンだ。

PlayStation 4のリモートプレイ機能も利用できる

Snapdragon 650、3GBメモリ、32GB eMMCという十分なスペック

 基本的なハードウェアとしては、SoCがSnapdragon 650、メモリは3GB(LPDDR3)、ストレージは32GB(eMMC)でmicro SDカードスロットで増設が可能。ミドルハイのスマートフォンと同等のスペックになっており、Androidを利用するには十分すぎるスペックだと言える。

 本体のサイズは69×134×143mm(幅×奥行き×高さ)となっており、重量は932g、ビデオ再生が1時間可能な容量のバッテリが内蔵されているが、基本的にはUSB Type-C(USB PDの15W)のACアダプタからの給電に対応している。なお、ワイヤレスはWi-Fiのみで、LTEなどセルラー回線には対応していない。

 プロジェクタはソニーのSXRDが採用されており、輝度は100lm、コントラスト比は4,000:1。解像度は1,366×768ドット、23型~80型までのプロジェクションサイズに対応しているが、先ほど述べたようにタッチ操作が可能なのは23型に設定した時のみとなる。

 OSはAndroid 7.0になっており、特に制限などはかかっていないので、Google Playストアが利用でき、普通に公開されているAndroidアプリをダウンロードして利用できる。つまり、感覚としてはプロジェクタ型の23型Androidタブレットそう思っておけばほぼ間違いないだろう。

 現時点では価格などは明らかになっていないが、既に欧州では予約が開始されており、今四半期には出荷開始する予定だという。ソニーモバイルの地元である日本で販売されない理由はないと考えられるため、早期の販売開始を期待したいところだ。

ソニーモバイルが参考展示したXperia Ear Open-style、耳に装着する部分は円柱状のゴムになっている
装着した状態