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ASUS、「ZenFone Zoom」発表会レポート
~ジョニー・シー会長、ZenFone Zoom筐体製造工程からのこだわりをアピール
(2016/1/25 19:20)
ASUSは、HOYA製の手ぶれ補正付き3倍ズームレンズを搭載したAndroidスマートフォン「ZenFone Zoom」を2月5日に発売する。
製品の詳細については別記事を参照されたい。本記事ではZenFone Zoom発表会の模様、および展示機のハンズオンを紹介する。
日本でのSIMロックフリースマホはシェアNo.1。ユーザーにお礼を述べる会長
発表会では、台湾より来日したジョニー・シー会長が自らZenFone Zoomをアピールすることとなった。
冒頭では、ZenFoneのコンセプトについて改めて紹介され、「ワンランク上の贅沢を誰にでも(Empowering Luxury for Everyone)」の実現に向けて、ASUSの開発者は絶え間ぬ努力をしてきたと話す。2014年6月市場に全世界に進出してから、わずか1年半で2,800万台の累計販売台数を実現したことを明らかにした。
そして、BCN AWARD 2016で新設された「SIMフリースマートフォン」のジャンルにおいて、初年度で第1位を受賞したことをアピール。これはひとえに日本のユーザーの強い支持によってもたらされた結果であるとし、「ありがとうございました」と日本語で謝辞を述べるとともに、会長自ら深くお辞儀し、ユーザーに感謝の意を示した。
このASUSの開発者の絶え間ぬ努力は今後も継続すると約束。その最新製品がZenFone Zoomであるとし、製品の紹介に話を移した。
シリーズで最高にこだわった筐体
既報の通り、ZeonFone Zoomは世界最薄を実現した、光学3倍ズームカメラを搭載したSIMロックフリースマートフォンである。これまで沈胴式レンズを採用し、ズーム機構を実現したスマートフォンは存在していたが、ZenFone Zoomは屈折光学式レンズを採用することで、それと比較して4.5倍薄い筐体を実現したという。
ここでそのままレンズの話に移ると思われたが、シー氏はZenFone Zoomの特徴として、こだわり筐体の「工芸美」、3倍ズームレンズの「鷹ノ目」、PC級の性能を実現する「性能怪獣」の3つを挙げ、まずは筐体の特徴について紹介した。
筐体について、シー氏は「時代を超越した美しさと最先端の革新的技術を融合させた」とし、「禅の美を宿す逸品」だと紹介。ここで筐体製造工程のビデオが流され、ナノモールディング技術によるシームレスなアンテナデザイン、航空機レベルのアルミ合金および加工技術、0.125mmの超微細サンドブラスト、アルマイト処理、メタルエッジカッティングなどがアピールされた。
さらに、プレミアムモデルでは本革が採用されているのだが、上質な本革のうち約38%しかないもっとも良い部分を選びすぐり、イタリア職人の本革加工技術を受け継ぐ技術で加工しているという。ZenFone Zoomの筐体が製造されるまで、実に201回もの作業手順があるとしており、「ユーザーに心をこめた、最高のおもてなしをお届けする」と豪語する。
もちろん、ZenFone Zoomがここまで筐体にこだわるのには理由がある。ユーザーに贅沢を体感してもらうのも理由の1つだが、3倍光学ズームのユニットを収納し、それがきちんと機能するよう保護する意味でも、高剛性を実現するアルミニウムのユニボディフレームが必要だった。
レンズユニットは6.1mm厚。HOYAと共同開発
最大の特徴となる光学3倍ズームレンズのユニットだが、先述の通り屈折光学式を採用することで6.1mm厚に抑えた。ガラスモールド非球面レンズ技術を採用し、非球面レンズを4枚、球面レンズを4枚、プリズムを2個使用した10枚構成となっている。
レンズはデュアルステッピングモーターを採用しており、正確なズームを実現する。なおハンズオンで試してみたところ、ズームは無断階ではなく、1倍から3倍まで32段階のステップズームであった(つまり1倍と3倍を除けば30ステップ)。
これらのレンズユニットの製造は、レンズの設計/開発で有名なHOYAが担当している。後に登壇したHOYAグループ オプティクス事業部 DCM SBU SBU長の神原稔氏によると、HOYAは30年ほど前からズームレンズの開発を行なっており、さまざまなデジタルカメラ向けにレンズユニットを供給しているのだが、10年前ほどからどの機器でも搭載できるようなサイズのレンズユニットの開発を行なってきたという。そして2年前、スマートフォンでのカメラ搭載が当たり前になりつつある市場を鑑み、スマートフォン向けのレンズユニット開発に注力。その結果が今回、ZenFone Zoomに採用されるに至ったと話す。
このレンズユニットの素晴らしさについて、シー氏も自ら認める形で、「妥協のない日本の精密技術だからこそ実現できた」と語る。加えて、4段相当の光学手ブレ補正技術の搭載、0.03秒のレーザーオートフォーカス、デュアルカラートーンLEDフラッシュ、およびカメラを使う上で重要となるズームボタンやシャッターボタン、録画ボタンをハードウェアで備えることにより、カメラ機能をフルに活用するハードウェアに仕上げた。
そして、大胆にもAppleの「iPhone 6s Plus」を比較対象として挙げ、ZenFone Zoomの優れたカメラ性能をアピール。さらに、いくつかの作例、および柴犬「まる」の飼い主でInstagramで絶大な人気を誇る小野慎二郎氏を招き、ZenFone Zoomのカメラの素晴らしさについて紹介した。
この中で小野氏は、「私のTwitterのフォロワーは5万人しかいないが、Instagramは230万人もいる。文字が主体のTwitterとは異なり、Instagramは写真でユーザーと交流する“ビジュアル・コミュニケーション”であり、言葉の壁がない。そのため世界中の人からフォローされる。言葉の判断は10秒かかるが、ビジュアルの判断は1秒とかからない。ビジュアル・コミュニケーションで特に重要なのが、“リアルタイム”、“単純明快”、“質よりタイミング”の3つのポイントだと思っている。ZenFone Zoomを使い始めてから、一眼レフで撮って現像してアップロードするといった手間がなくなり、これらのポイントを実現できる。特に女性にとって、ビジュアル・コミュニケーションに最適なツールではないか」と語った。
PC級の性能を実現するAtom Z3590
最後に、ZenFone Zoomに搭載されるそのほかの機能や特徴について説明された。まずはプロセッサだが、Atom Z3590(2.5GHz)の搭載で、Cortex-A53オクタコア搭載のスマートフォンと比較して、「mobileXPRT」で3倍、「WebXPRT」で3.6倍の性能を実現。内蔵されるGPUのPowerVR 6430(640MHz駆動)も、Adreno(型番不明)GPUと比較して2.3~2.7倍の性能を実現できるという。
バッテリは3,000mAhで、残容量0%から60%まで39分で充電できる急速充電機能も搭載。スピーカーは5基のマグネットスピーカーにより、音量や重低音を向上させ、歪みを低減させたという。加えて、液晶表面にGorilla Glass 4を採用し、耐久性や耐衝撃性を上げ、破損率を低下させている。
ASUS独自の「ZenUI」も採用。中でも写真を整理する「PhotoCollage」、および数タップで簡単に動画を編集/作成できる「MiniMovie」が便利だとした。
発表会の最後では、インテル株式会社 代表取締役社長の江田麻季子氏がゲストとして壇上に呼ばれた。江田氏は、ZenFone Zoomの国内発表に祝辞を述べるとともに、486時代から25年以上続くASUSとのパートナーシップについて謝辞を述べ、今後も製品の共同開発で協力していく意向を示した。