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IBMと富士フイルム、磁気テープの記録密度を更新

~手のひらサイズのカートリッジで220TBを実現

磁気テープの構造

 米IBMと富士フイルム株式会社は、塗布型磁気テープにおいて世界最高となる、1平方インチあたり1,230億bitの面記録密度(123Gbpsi)を達成、データの記録/再生を実証したと発表した。

 記録密度123Gbpsiは、手のひらサイズのテープカートリッジ(1巻き)で220TBに相当する記録密度で、従来の「LTO6」規格カートリッジの88倍、IBMの最新エンタープライズ向けテープカートリッジの22倍の記録密度となる。IBMのテープドライブ第1号と比較すると、実に1億1千万倍の容量となる。

 IBMと富士フイルムは、2002年以来、磁気テープ技術の共同開発を続けており、今回発表された磁気テープは富士フイルムのバリウムフェライト(BaFe)磁性体の粒子体積、磁気特性のばらつき抑制や、ナノオーダーで粒子配列の制御などを行なう塗布型磁気テープ技術「NANOCUBIC」と、IBMリサーチのサーボ及び読み取りヘッドの高精度制御技術や信号処理技術により実現したという。

 富士フイルムによると、今回発表された磁気テープは従来の塗布設備で生産されており、実用化にあたり既存設備の応用が見込めるため、既に量産化を視野に入れているという。

 技術的詳細は、5月11日から15日まで北京で開催される2015 Intermag、同期間にラスベガスで開催されるIBM EDGEで発表される予定で、研究試作品が来週の2015 NAB ShowのIBMブースで展示される予定。

 また今回IBMは、テープ技術をOpenStack Swiftなどの最新のクラウドオブジェクトストレージシステムに利用可能とする技術の開発を示唆しており、これによりテープメディアへアクセス頻度の低いデータ(コールドデータ)の"オブジェクト"単位での保存が可能になるとしている。

(佐藤 岳大)