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Windows XPのサポートがついに終了、最新環境への移行を

加治佐俊一氏
4月9日 発表

 日本マイクロソフト株式会社は9日、同社の製品のライフサイクルポリシーに基づき、12年半続いたWindows XPのサポートを終了した。これに伴い都内の本社で記者会見を開き、同社 業務執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフトディベロップメント株式会社 代表取締役 社長の加治佐俊一氏が、サポート終了の経緯や今後の対応について説明した。

 Windows XPは2001年10月の発売以来、約12年半の製品サポートを提供してきた。サポート終了に関しては、2007年1月に発表していた。またちょうど今から1年前となる2013年4月9日に「移行支援強化期間」として、業界や官公庁、関係団体と協力して周知/啓発の活動を行なってきた。

 移行支援強化期間の具体的な施策としては、特設サイトの開設、量販店における小冊子の配布、Windows Update経由での注意喚起などを通して周知と啓発を行なってきた。移行支援としては、パートナー各社による移行支援サービスの提供や、ライセンス価格の割引、金利ゼロキャンペーンの展開、稟議書テンプレートの提供などを行なった。

 その取り組みの結果、2012年下半期に法人向けでは45.5%、個人向けでは27%あった稼働Windows XP搭載PCのシェアが、2014年上半期予測ではそれぞれ6.6%、8.7%まで低下。当初の目標値である10%以下はほぼ達成できたとしている。

 ただ、それでも台数にすると592万台ある状況について加治佐氏は「今でもなおWindows XPをお使いいただいているユーザーは“何らかの特殊の理由がある”のは明白であり、移行は難しいのは我々も理解している。よって“いつ0%になるか”というのは分からないが、それでも4月9日以降も徐々に稼働台数が減っていくだろう」とした。

 業務執行役員 Windows本部 本部長の藤本恭史氏の補足を付け加えておくと、「これまでのサポート終了OSの稼働状況もおおよそ把握しており、その経験に基くと、サポート終了後は一定の台数が存在するも、ユーザーの利用時間は明らかに減少傾向にあり、フェードアウトしていく時期は市場による」とした。

Windows XPが2014年4月9日でサポート終了
Windows XPのサポート終了に向けての取り組み
移行支援強化期間の具体的な取り組み
Windows XPの稼働台数シェア

 Windows XPのサポートが終了した後も、日本マイクロソフトとしては最新OS環境への移行を強く推進していく。その最大の理由となっているのが、PCを取り巻く環境の変化である。

 Windows XPが発売された2001年当時、代表的なPCのスペックはメモリ64MB、HDD 20GB、1,024×768ドット表示対応ディスプレイといった、今からすれば非常に非力なものであった。Windows XPはそのようなシステムで最適に動かせるような仕組みになっており、脆弱性への対応は当時として考えうる現実的な仕組みを実装していた。

 しかしこの13年間で、脆弱性を突いたセキュリティリスクは大きく変化した。2001年当時は、MelissaやI Love you、Code Red、Nimdaなどのウイルスやワームが流行していたが、これらのウイルスは単に感染を広げる作者のいたずらであることが多く、また対策ソフトで容易に検出/駆除ができた。

 一方2014年現在は、明確な目的を持って活動するものが増えており、オンラインバンキングからお金を引き出す金銭的なものから、サイバーテロと呼ばれるような国家が絡むような政治問題にまで発展している。13年前のWindows XPレベルの脆弱性対応だけでは、対処しきれなくなっているのも当然だ。

 最新のWindows 8.1を搭載したPCの一般的なスペックは、メモリが4~8GB、内蔵SSDが128~512GB、解像度が1,920×1,080ドットなどと、Windows XP当時のマシンと比較して大幅に高性能になっている。そのためWindows 8.1ではWindows XPが実現できなかった多層防御によるセキュリティ対策を実現し、大幅にセキュリティ性が向上した。

 実際、同社によるOS別マルウェア感染率調査によると、Windows XPはWindows 8と比較して、21倍も感染率が高いという結果が出ており、改めてWindows XPのセキュリティリスクの高さについて指摘した。

PC環境の変化
セキュリティリスクの変化
OS別のマルウェア感染率

 さてそのサポートが終了したWindows XP(そしてOffice 2003)であるが、4月9日に「最終パッチ」を4つリリースした。Windowsのファイル操作コンポーネントの脆弱性、WordおよびOffice Web Appsの脆弱性、Publisher 2003の脆弱性によってリモートでコードが実行される問題、そしてInternet Explorer 6の累積的なセキュリティ更新プログラムである。この4つを最後に、Windows XPやOffice 2003向けに新しいパッチがリリースされることはなくなる。

 また先述の通り、Windows XP搭載PCはやはり市場に残る形となるが、それらを利用する際は、上記の最終パッチを含むすべてのセキュリティ更新プログラムを適用し、セキュリティ製品も最新の状態にした上で、できるだけインターネットから切断し、なおかつUSBメモリなどの記録媒体によってウイルスをPC内に持ち込まないような、セキュリティリスクを軽減する対策をした上で、利用して欲しいとしている。

 当然のことながら、これは万全の対策ではないので、できるだけ早く最新環境へ移行するよう呼びかけた。同社はWindows XPから最新環境へ移行するのに際して、これまで最新OS搭載PCの購入者などには移行を支援する電話サポート窓口の電話番号を案内していたが、4月9日よりこの電話番号を一般公開し、環境移行前の相談も受け付けるようにした。

 また、Windows 8.1など最新のOSを利用していても、セキュリティ対策をしっかり行なう、オンラインストレージなどを用いてデータをバックアップする、オンライン詐欺に注意するといったセキュリティ対策の喚起を行なった。

 さらに、Windows Vistaは2017年4月11日、Windows 7は2020年1月14日、Windows 8/8.1は2023年1月10日でサポートが終了することを紹介した。特に現在稼働台数が多いWindows 7については「東京オリンピックが開かれている年では、既にサポートが終了していることを忘れてはならない」と注意を促した。

Windows XP/Office 2003向けの最後の更新プログラム
今後のWindows XPの利用に関しての注意
XP移行支援サポート窓口の電話番号を公開
Windows Vista/7/8/8.1のサポート終了日
最新OSを利用していてもセキュリティ対策を行なう必要がある

(劉 尭)