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プリンタ里帰りプロジェクトに神奈川県が参加
~インクカートリッジ回収箱を県内16カ所に設置
(2012/12/20 16:42)
セイコーエプソン、キヤノン、ブラザー、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、レックスマークインターナショナル、デルのプリンタメーカー6社が共同で取り組んでいる「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」が、神奈川県と協定を結び、2012年12月20日、神奈川県庁で調印式を行なった。
神奈川県の黒岩祐二知事は、「インクカートリッジ里帰りプロジェクトは、家庭に普及しているプリンタの使用済みインクカートリッジを回収、分解し、再利用するもの。モノを作るだけでなく、資源を守ることに対して、企業の責任として取り組んでいく点で、時代は大きく変わったと感じている。大変すばらしいことである。これから年賀状の印刷がヤマ場を迎える。タイムリーといえる時期に協定を結ぶことができた。県のホームページや、県のたよりを通じて、インクカートリッジを捨てずに回収に協力してもらえるようにお願いしたい」と語った。
またプリンタメーカーを代表して調印式に参加したキヤノンマーケティングジャパンの村瀬治男会長は、「最大規模の自治体である神奈川県の参加は心強い。県内の各自治体の参加にもつながると期待している。今週末には、多くの人が年賀状を製作することになるだろう。今日の報道をみて、使用済みインクカートリッジを捨てずに、近くの回収箱に持って行く人も増えるだろう。一度、回収箱を利用すれば、それが習慣化する。その点でもいいタイミングで、神奈川県に参加していただいたことを感謝する」と語った。
里帰りプロジェクトは、家庭用インクジェットプリンタの使用済みインクカートリッジを回収する共同プロジェクトだ。日本国内では、年間約2億個のインクカートリッジが使用されているが、使用済みインクカートリッジの回収量は全体の1割程度に留まっている。競合関係にあるメーカー各社が、使用済みインクカートリッジの回収/リサイクルを共同推進することで、業界が一丸となって廃棄物減量や資源循環型社会形成に貢献する狙いがある。
同プロジェクトは、2008年4月8日にスタート。全国3,639拠点の郵便局に回収箱を設置しているほか、2010年からは自治体との連携を強化。現時点で全国191自治体が参加を表明している。11月末時点では、171自治体、2,031カ所に回収箱を設置して回収を行なっており、神奈川県では、すでに横浜市、川崎市、平塚市、藤沢市などが参加している。
郵便局や自治体関連施設に設置された回収箱が、使用済みインクカートリッジで一杯になると「ゆうパック」を利用して、仕分け拠点である、長野県諏訪市のエプソンミズベに配送。そこで、メーカーごとにカートリッジが仕分けされ、それぞれのメーカーに再配送されて、各社ごとにリサイクルされるという仕組みだ。
里帰りプロジェクトによると、2012年3月までに、累計で555万本の使用済みインクカートリッジを回収している。これは排出CO2削減量として208tにあたるほか、杉の木のCO2吸収量では14,900本分にあたるという。今年度だけで220万本程度の使用済みインクカートリッジが回収できそうだという。
村瀬会長は、「エプソンミズベでは、障碍者雇用の場となっており、回収量の増加に伴って雇用も増加している。また、国連環境計画(UNEP)に対して、カートリッジ1個あたり3円の寄付を行なっており、今年9月までに累積で1,600万円を寄付。環境省と国連大学高等研究所によるSATOYAMAイニシアティブには累積で300万円を寄付するなど、社会貢献も行なっている。1つ1つは小さく、まだ回収率は低いが、それでもこの活動がなかったら、それだけのカートリッジが捨てられてしまい、社会貢献にもつながらなかった。そこに、この5年間の取り組み成果がある」などとした。
また、村瀬会長は、「2010年から身近な場所で回収できることを目指して自治体と協定を結んでいるが、これ以降、回収数が増加している。自治体との協定を大きな意味がある」と述べた。
神奈川県との協定によって、同県では2012年12月21日から、神奈川県庁を初めとして県施設、神奈川県庁舎(本庁舎、新庁舎、分庁舎、第二分庁舎)、横須賀合同庁舎、厚木合同庁舎、平塚合同庁舎、小田原合同庁舎、足柄合同庁舎、藤沢合同庁舎、津久井合同庁舎、三浦合同庁舎、県立図書館、川崎図書館、かながわ県民センター、川崎県民センターの16カ所に設置する。
すでに横浜市などが設置している352の回収場所を含めて、神奈川県内には368カ所に回収箱が設置されることになる