NVIDIA、最新のアンチエイリアス技術を解説
~PC日本語版「アサシン クリードIII」発表に合わせたキャンペーンも実施

竹重雅也氏



 NVIDIAは、プレス向け説明会を開催し、同社デベロッパーテクノロジーエンジニアの竹重雅也氏が最新のアンチエイリアス(AA)技術について解説を行なった。

 今回の技術内容は、新発表のものではないが、後述するように最新のゲームタイトルでこれらの技術が用いられている。

左のようなロゴも、そのままディスプレイに表示すると解像度が足りないため、このようなギザギザなものになってしまう

 AAは古くからある技術で、ディスプレイに斜線や曲線を表示した際に現われる、エッジの部分のギザギザ(ジャギー)を低減する技術。ジャギーが発生するのは、ディスプレイの解像度が不十分なため。静止画ではあまり気にならなくても、ゲームで画面が動くと、場合によってはジャギーが波打つように表示され、大きな違和感を生じさせる。

 AA技術の代表的なものとしては、スーパーサンプリングAA(SSAA)がある。SSAAでは、1つのピクセルを、内部的に複数のサブピクセルに分割し、サブピクセルの平均の色を出すことで、ジャギーを抑える。

 具体的には4X SSAAの場合、1つのピクセルを縦2横2の4ピクセルに分割した上でシェーディング。そして各サブピクセルの中心点(これはアルゴリズムによって変化する)の色を算出。最後に、4つのサブピクセルの色の平均値を求め、その色を実際のピクセルの色に決定する。下の絵の例だと、青い丸がサブピクセルの中心点。右下以外のサブピクセルにはレンダリング上は2つの色(白と緑)が存在するが、ここでは中心点の色だけを算出する。それによって、1つのサブピクセルが白、残りの3つは緑となり、これを平均化して、元のピクセルは緑を4分の1だけ白に薄めた色でレンダリングする。やり方は単純だが、サブピクセル全てをシェーディングするため、処理が重いのが欠点となる。

4X SSAAの場合、1つのピクセルを内部的に4つに細分化してレンダリング。その上で、基準点(ここでは青い丸)の色を求めるその結果がこれ
そして4つのサブピクセルの平均値を求め、その色で最終出力する。解像度は同じだが、先に挙げたロゴよりも見やすくなっている

 これを改良したのがマルチサンプルAA(MSAA)となる。MSAAでも、ピクセルをサブピクセルに分割するのは同じだが、各サブピクセルに対しては、奥行きテストを行なう。これで、サブピクセルの中の基準点におけるオブジェクトの色を抽出し、色の平均化を行ない、最終的なシェーディングを行なう。下の絵の例だとピンクの丸がサブピクセルの基準点。この場合も1つが白、3つが緑となるので、元のピクセルは緑を4分の1だけ白に薄めた色になる。MSAAは、シェーディングが1回だけなので、負荷はSSAAより少ないが、仕組み上、テクスチャのジャギーには効果がないという欠点が残る。

4X MSAAでは、4つのサブピクセルの奥行きテストを実施し、その色を抽出
効果は高く、シェーディング負荷も少ないが、テクスチャのジャギーに対応できない

 その後登場したのがFXAA。FXAAではサブピクセルへの分割は行なわず、通常のレンダリングを行なう。その上で、各ピクセルの周辺ピクセルとの輝度差を計算し、輝度差の大きいところはエッジであると判断し、そのエッジの向きと長さを検出する。最後に、そのエッジ部分にだけ、周辺ピクセルに合わせた色のブレンドを行なう。下の絵の例だと、赤い線に表わされているように、緑と白の境界部分のピクセルがエッジと判断され、その上でエッジ上にあるピクセルは、周囲のピクセルを参照した色の平均化を行なう。

 下の写真の場合、MSAAでは照準器の内部がテクスチャで表現されているため、そのエッジにはジャギーが残っているが、FXAAでは解消されているのが分かる。

FXAAはサブピクセルを用いない実際のゲームでの表示例。これはAAなし。斜線などにジャギーが現われている
MSAAの適用で斜線のジャギーは消えたが、照準器の中の緑の部分はテクスチャであるためジャギーが残っているFXAAを適用すると、そのジャギーも消えた

TXAAは負荷はMSAAと同じだが、画質は高い

 そして、MSAAを上回る画質を低負荷で実現したのが、NVIDIAが開発したTXAAだ。NVIDIAの説明によれば、TXAAはサブピクセル分割に伴う負荷はMSAAと同じだが、2xのTXAAで4x MSAA以上、4x TXAAで8x MSAA以上の画質を実現するとしている。

 TXAAがMSAAより高い画質を得る顕著な例として、MSAAでは、平均化処理がピクセルごとに行なわれるため、ピクセル境界にコントラストの差ができるとジャギーが発生するのに対し、TXAAではピクセル境界を越えた大きな範囲を参照して平均化処理を行なうため、HDR処理されたフレームでもAAが有効に作用する。TXAAのもう1つの特徴は、前フレームの結果も参照することでさらに高画質化を行なうというもの。

 TXAAを活用するには、Kepler世代のGPUとゲーム側での対応が必要となるが、11月22日に発売された「コール オブ デューティ ブラックオプス II」、日本語PC版が11月26日に発表され、12月21日に発売される「アサシン クリードIII」などの最新タイトルがTXAAに対応している。以下に、実際のゲーム内での写真および動画を紹介する。

コール オブ デューティ ブラックオプス IIより。4X MSAAと4X TXAAの比較


 今説明会では、これらの最新タイトルに合わせたキャンペーンの実施も発表。26日よりパートナー各社から発売される「Geared for Gaming PC」を購入したユーザーに先着でNVIDIA特製ロゴ入りバックパックをプレゼントする。

 また、これらのメーカーからは、コール オブ デューティ ブラックオプス IIおよびアサシン クリードIII推奨スペックPCも発売となるほか、ASUS、GIGABYTE、ZOTACからアサシンクリードIIIのオリジナルパッケージ版ビデオカードが発売。このうち、ASUSの製品には「Assassin's Creed III」、「I Am Alive」、「R.U.S.E.」、「Splinter Cell: Conviction」、「Rainbow Six Vegas 2」のうちいずれかをダウンロードできるクーポンが同梱される。

キャンペーンの概要プレゼントされるバックパックASUSのオリジナルパッケージ版ビデオカード

(2012年 11月 26日)

[Reported by 若杉 紀彦]