ブラザー販売株式会社代表取締役社長片山俊介氏 |
ブラザーは4日、同社初のドキュメントスキャナ、およびビジネス向けプリンタ/複合機「ジャスティオ」の新製品発表会を開催。同社の取り組みと中長期の目標の説明、および新製品の特徴についての発表を行なった。
発表会ではまず、ブラザー販売株式会社代表取締役社長の片山俊介氏が登壇。東日本大震災を受けての2011年の同社の支援活動の概要を報告した後、同社の中長期の事業戦略を説明。2015年までに売上を現在の1.5倍である7,500億円、営業利益580億円という目標を示した。
その具体的な施策として、設備投資や研究開発投資、M&Aはもちろんのこと、シースルー型ヘッドマウントディスプレイや、この日発表のドキュメントスキャナといった新規事業への取り組み、さらにハードウェアと外部サービスを効果的に連携させるポータルサイト「Brother Online」などを紹介。「不透明な経営環境が続いているが、ブラザーらしい価値を提供できるよう努めて行きたい」と意欲を語った。
●ドキュメントスキャナ4製品を投入、最上位機種はPCレスで使用可能
続いてブラザー販売株式会社取締役の三島勉氏が登壇し、新製品の説明を行なった。製品の詳細な仕様については関連記事で紹介しているため、本稿ではドキュメントスキャナ市場参入の理由、および同社製品の強みなどについての発表を中心に紹介する。
この日発表されたのは、同社では初となるドキュメントスキャナで、ビジネス向けプリンタ/複合機のブランドである「ジャスティオ」シリーズの新製品として、卓上用途からモバイル用途まで計4機種が発表された。
これらを投入するに至った背景について、三島氏は「スキャナ機能の強みを活かすため、複合機の1機能というだけではなく、ドキュメントスキャナ自体の事業参入の検討を進めてきた」と説明。2007年に誕生し、いまや多彩なラインナップを展開するジャスティオブランドの複合機に備わる「スキャン to Eメール送信」、「スキャン to FTP」など各種機能のノウハウを活用することが1つの目的と語った。
ラインナップは、卓上タイプ2製品、モバイルタイプ2製品の計4製品。いずれもビジネスユースおよび個人ユースの両方を想定しており、卓上タイプでは大量の資料のすばやい電子化や効率的な共有、FAXの通信費や印刷費の節約、さらに個人ユースでは「断捨離」といったキーワードを挙げたほか、学校資料やレシピのデータ化やグループ内での共有を利用目的として挙げている。
大きな特徴として、無線/有線の両方に対応した卓上タイプの上位モデル「ADS-2500W」が実現している「PCレス」をキーワードとして挙げる。これはFacebook、Evernote、Picasaなどのクラウドサービスに、写真や書類をスキャナから直接アップロードして共有できるというもので、PCレスで動作することが他社製品にない大きな特徴であるとする。
またモバイル端末の連携機能として、専用アプリを導入したiOS/Android端末にスキャンしたデータをPCレスで直接取り込める「Brother iPrint&Scan」のほか、スキャナとAndroid端末をUSBケーブルで接続してスキャンデータを直接Android端末で閲覧できる「スキャン to Android」も搭載する。これらダイレクトクラウド、ダイレクトモバイルの機能について同氏は「既存のこのクラスのスキャナにはない、ブラザーのドキュメントスキャナの大きな特徴」と自信を見せた。
●A4モノクロレーザープリンタ/複合機5機種もモデルチェンジ
またこの日は、A4モノクロレーザープリンタおよび複合機の新製品5機種も同時に発表された。複合機の「MFC-8950DW」ではプリント速度が従来機種の30ppmから40ppmへと高速化したほか、用紙にトナーを瞬時に付着させる新定着技術の採用により、モノクロレーザープリンタの「HL-6180DW」ではスリープモードからの復帰時間が約20秒から約4秒へと大幅短縮、また待機時消費電力も約75Wから約4.6Wへと劇的に削減された。
このほか自動両面プリント機能などの機能も搭載した今回の新ラインナップについて、同氏は「お客様が望む仕様を徹底的に強化した結果」と説明し、新カテゴリのドキュメントスキャナを加え、ジャスティオブランドをさらに充実させ、販路の拡大を図っていきたいとした。
同じくモノクロレーザープリンタの「HL-5440D」 | 同じくモノクロレーザープリンタの「HL-6180DW」。5年無償保証がつくPROブランドの製品 |
モノクロレーザー複合機の「MFC-8520DN」。有線LANを搭載する | 同じくモノクロレーザー複合機の「MFC-8950DW」。5年無償保証がつくPROブランドの製品 |
(2012年 7月 5日)
[Reported by 山口 真弘]