日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は、本社を東京都江東区大島に移転。2011年5月16日に、開所式を行なうことを明らかにするとともに、2月17日、報道関係者を対象に新本社の様子を公開した。
新本社は、社員からの募集の結果、「HP Garage Tokyo」の愛称で呼ばれる。「創業時にガレージからスタートしたヒューレット・パッカードの歴史に基づき、創業時の精神を忘れないようにという意味を込めた」(日本HP管理統括グローバルリアルエステイト本部・加藤武彦氏)という。
新本社には、市ヶ谷本社、荻窪事業所、高井戸事業所、新宿事業所の4つのオフィスを統合。すでに、2011年2月2日に竣工式を行なっており、3月上旬から、同社新宿事業所などを対象に、週末の時間帯を使いながら順次移転が開始され、ゴールデンウイークをピークに、5月には移転が完了する。
「コンパックの統合以降、それぞれが利用していたオフィスを活用。約10年間に渡ってオフィスが分散していた。それらを統合し、最先端のテクノロジーとサービスを提供する『ソリューションショーケース』、創造性を発揮し、働き方の多様性をサポートする『先進的ワークプレイス』を 実現する」(加藤氏)という。
正社員で約4,000人、契約社員や派遣社員、協力会社の社員などを含めると約6,000人が勤務することになる。
なお、バックオフィス機能を持つ八王子事業所、PCやサーバーの生産拠点である昭島事業所はそのまま活用することになる。
最初に移転を予定している新宿事業所は、パートナーやカスタマー向けのトレーニングであり、同事業所が先に移転するということは、4月以降に移転する社員よりも早く、カスタマーやパートナーが、セミナー、トレーニングなどで新本社を利用することになりそうだ。
2009年9月に地鎮祭を行ない、建設を開始した新本社は、19,123平方mの敷地面積に、建築面積6,726平方m、地上9階建てのビルを建築。延床面積は44,532平方mとなる。
1フロアあたりの面積は5,607平方mで、約100m×55mという大きさを持つ。「サッカーコートと同程度の広さになり、都内最大級の基準階面積となる。バルコニーをすべての方角に設置し、そこに外部柱を配置したことで、整形無柱のフレキシブルなオフィス空間を実現。家具レイアウトの基準をもとに導き出した利用的な大きさとして、全方位奥行き17mという効率的空間を実現した」という。
1~7階までをオフィスに利用。8階はカフェテリアなどの社員が利用できるフロアとし、9階は機械室となる。
オフィスフロアでは、天井高を2.9mとすることや、柱を大幅に減らしていること、さらに4方向ともガラスを多用していることから、より広い空間として感じることができるようになっている。
フロア中央部では、1階から最上階までを吹き抜けとしているほか、4方向にバルコニーを設置したことで庇(ひさし)を有効に利用。日射遮蔽、自然採光、自然換気併用空調を実現することで、CO2排出量を約40%削減できるという。
「庇をすべての方向に設置したことで、直射日光を遮ることができる。直接日光が当たると、ブラインドを下ろすことになり、日中でも電気をつけることにつながる。これを防ぐことで電気代を削減できる。また、吹き抜けによって、煙突効果で空気の流れを作るこができる。自然換気と併用することで、効率的な空調を実現している」という。
1階受付フロアの大理石の下は床暖房としており、冬場はこの熱を利用して、抜き抜けから全フロアに暖かい空気を送り込む。
また、西側のバルコニーをリフレッシュバルコニーとし、社員が外気を吸ってリフレッシュすることが可能なスペースを確保。東、北、南側はいずれもメンテナンスバルコニーとして、外部柱を配置したり、近隣への視線制御の機能を持たせている。
ダクトスペースや空調機の設置スペースは、バルコニーや庇部分を利用することから、「ダクトスペースの増設、空調機の増設などか容易にできる。天井裏の簡素が可能になる点も、オフィスの柔軟性を発揮するのに効果的だ」とした。
吹き抜け部付近には、コミュニケーションスペースとして、カウンターなどを配置。男女の洗面所を吹き抜け部の南北側にそれぞれ設置したり、吹き抜け部付近に階段を設置することで上下の移動を簡単にすることで、吹き抜け部を中心として社員がコミュニケーションを図りやすいようにしているという。
それでは、日本ヒーレット・パッカードの新本社「HP Garage Tokyo」の様子を写真で紹介しよう。
(2011年 2月 18日)
[Reported by 大河原 克行]