【CES 2011レポート】バッファロー編
~Pogoplug機能内蔵NASや、HDD8台搭載可能なTeraStation

Pogoplugと同等の機能を内蔵する、家庭向けNAS「Buffalo CloudStor」シリーズ

会期:1月6日~9日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center



●外部からのアクセスが簡単なPogoplug機能内蔵NAS

 バッファローの米国法人であるBuffalo Technology(USA),Inc.は、CES 2011に合わせ、北米市場で発売されるNASや外付けHDDの新モデルを発表した。そのうち、家庭向けNASとして発表されたのが、「Buffalo CloudStor」シリーズだ。

 1TBのHDDを内蔵する「CS-WV1.0TL」と、2TBのHDDを内蔵する「CS-WV2.0TL」の2製品が用意される。北米市場で2011年2月に発売が予定されており、価格はCS-WV1.0TLが169.99ドル、CS-WV2.0TLが269.99ドル。

「LS-WXL/R1」や「LS-WVL/R1」シリーズと同じく、3.5インチHDDを2台搭載できる。ただし販売時にはHDDは1台のみ搭載される背面には、空冷ファンとUSB 2.0コネクタ、Gigabit Ethernetポートなどを備える
「CloudStor」のイメージ図。Pogoplugと同じクラウドサービスが提供され、LAN内だけでなく外出先からも、全く同じローカルドライブとしてデータにアクセスできるPogoplugアダプターに比べ、HDDを取り付ける手間もかからず、非常に簡単に利用できる

 外観は、日本で発売されている、HDDを2台内蔵できる「LS-WXL/R1」や「LS-WVL/R1」シリーズと同等で、Buffalo CloudStorシリーズもHDDを2台搭載可能。ただし、発表された2製品はどちらもHDDを1台のみ搭載しており、ユーザーが拡張できるようになっている。また、CS-WV2.0TLでは高速なプロセッサが搭載され、データ転送速度が3倍になるとしている。ハードウェア的には、CS-WV1.0TLが日本のLS-WXL/R1シリーズと同等、CS-WV2.0TLが日本のLS-WVL/R1シリーズと同等と考えていいだろう。

 Buffalo CloudStorシリーズの最大の特徴は、米国CloudEnginesの「Pogoplug」をベースとしたクラウドサービスが盛り込まれている点だ。Pogoplugとは、USB接続のHDDを取り付けられるNASアダプタで、取り付けたHDDを、LAN内だけでなくインターネット経由でも同一のローカルドライブとして扱えるというものだ。Pogoplugについては関連記事を参照されたい。そしてBuffalo CloudStorには、Pogoplugのソフトウェア部分が標準でインストールされており、Pogoplugと全く同じ機能が提供されている。

 バッファローのNASでは、従来よりインターネット経由で共有ファイルにアクセスできる「Webアクセス」機能が用意されており、実際に活用している人もいるだろう。北米で販売されているバッファローのNASにも、同じWebアクセス機能が搭載されている(実は、Webアクセス機能はもともと米国法人が開発したものだそうだ)。ただ、米国で市販されている家庭用ルーターは、UPnPの設定が標準でオフになっているものがほとんどで、Webアクセスを利用する場合の設定作業が難しく、あまり広く利用されていなかった。そこで、Webアクセス機能より簡単に利用できるようにするために、CloudEnginesと提携し、Pogoplugと同等のソフトウェアを導入することになったそうだ。

 実際に、Buffalo CloudStorシリーズを、インターネットにアクセス可能となっているルーターに始めて接続すると、クラウドサービスに接続するための初期設定が自動的に行なわれ、ユーザーはPogoplugのWebサイトにアクセスし、メールアドレスとパスワードを登録するだけですぐに利用可能となる。その後、専用のクライアントソフトをPCにインストールすれば、Buffalo CloudStorの共有領域がローカルドライブとして確保される。この間、NASやルーターの設定を変更する必要は一切ない。そして、このローカルドライブには、そのPCがインターネットに接続されていれば、それがLAN内か外出先かということは一切関係なくアクセスできる。場所を問わず、外付けHDD感覚でアクセスできるというわけだ。

 また、iOS、Android、Blackberry、Palm用のアプリケーションも用意され、それら携帯端末からもデータにアクセスできる。さらに、動画ファイルをBuffalo CloudStorに転送すると、携帯端末向けの低ビットレートファイルに自動変換する機能も搭載。Buffalo CloudStorに搭載されるCPUを利用して変換するため、変換には時間がかかるようだが、iPhoneやAndroid端末経由で保存した動画を視聴する場合に威力を発揮しそうだ。

 他にも、インターネットのファイル転送サービスに近い感覚で利用できるファイル転送機能が用意されるなど、クラウドサービスの機能面は非常に充実している。しかも、このクラウドサービスは無料で利用できるという点も大きな魅力だ。

 現時点で、このクラウドサービスを搭載したNAS製品を日本でも発売するかどうかは未定だそうだ。しかし、非常に手軽に利用できる点と、利便性の高さを考えると、日本でも展開してもらいたい機能であることは間違いない。日本で発売されるNAS製品にも、早い時期に搭載されることを期待したい。

●HDD 8台搭載可能なビジネス用NAS

 NAS製品としては、ビジネス向けとして展開されている「TeraStation Pro」シリーズの新モデルも発表された。従来のTeraStation Proシリーズは、HDDを4台内蔵できるモデルが用意されていたが、今回新たに、HDDを6台内蔵できる「TeraStation Pro 6(TS-6VHL/R6)」と、HDDを8台内蔵できる「TeraStation Pro 8(TS-8VHL/R6)」の2製品が追加された。

HDDを8台内蔵できる、TeraStation Proの新モデル「TeraStation Pro 8」。HDDを4台内蔵できる従来のTeraStation Proを横に2台並べたような形状となっているこちらは、HDDを6台内蔵できる「TeraStation Pro 6」。本体の形状はTeraStation Pro 8と同じだ
正面のカバーを外すと、8個のHDDリムーバブルベイが現れる。TeraStation Pro 6では、2個のベイが閉じられているそうだTeraStation Pro 6の背面。大型のファンが2個あり、左にはGigabit Ethernetポートが2個、USB 2.0×2、USB 3.0×2、UPS用シリアルポートがある。TeraStation Pro 8はUSB 3.0ポートが省かれる

 本体は、HDDを4台内蔵できる従来のTeraStation Proを横に広げたような形状となっている。本体前面カバーを開けると、縦に4個並んだHDDリムーバブルベイが横に2列並んでおり、合計8個のHDDが取り付けられる。利用可能なHDDは、正式に3TBドライブがサポートされ、最大24TBまで拡張可能。

 サポートするRAIDレベルは、RAID 0/1/5/6/10/50/51/60/61にJBODと非常に豊富。ちなみに、TeraStation Pro 6も同じ本体が利用されているが、8個あるHDDリムーバブルベイのうち2つにフタが取り付けられている。また、HDDは2TBまでのサポートとなる。

 背面には、大型の空冷ファンが2個取り付けられている。用意されているポートは、Gigabit Ethernetポートが2個、USB 2.0が2個で、UPS接続用のシリアルポートも用意される。また、TeraStation Pro 6では、さらにUSB 3.0が2ポート追加される。

 システム面も強化され、CPUがデュアルコアのAtom D510に、メモリ搭載量が2GBとなったことで、パフォーマンスも大幅に向上。TeraStation Pro 8ではアクセス速度が100MB/秒になるとしている。

 TeraStation Pro 8は、8TBモデル、16TBモデル、24TBモデルの3モデルが用意され、北米での価格は、容量の少ない順に2999.99ドル、4499.99ドル、6499.99ドルとなる。またTeraStation Pro 6は、6TBモデルと12TBモデルが用意され、価格は容量の少ない順に2499.99ドル、4199.99ドルとなる。発売時期は、2011年2月。日本での発売は未定だ。

●外付けHDDはUSB 3.0対応

 次に、外付けHDDの新製品だ。こちらは4モデルが発表されたが、基本的に既存のUSB 2.0対応モデルをUSB 3.0対応へと強化したものとなっている。

USB 3.0対応のポータブルHDD「MiniStation Stealth USB 3.0(HD-PCTU3)」シリーズ。HD-PCTU2をUSB 3.0に対応させたもので、500GBと1TBの2製品を用意3.5インチHDDを1台内蔵する「DriveStation Axis USB 3.0(HD-LBU3)」シリーズ。こちらはHD-LBU2をUSB 3.0に対応させたもので、1TBと2TBの2製品を用意背面にUSB 3.0ポートを用意。小型の空冷ファンも取り付けられている
3.5インチHDDを2台内蔵し、RAID 0/1に対応する「DriveStation Duo USB 3.0(HD-WLU3R1)」シリーズ。こちらは、日本で発売済みだ3.5インチHDDを4台内蔵し、RAID 0/5/10に対応する「DriveStation Quad USB 3.0(HD-QLU3R5)」シリーズ。HD-QLSU2/R5をUSB 3.0に対応させたもので、4TBと8TBの2製品を用意正面のカバーを外すと、HDDベイが4個現れる
背面には、大型の空冷ファンとUSB 3.0コネクタが見える

 まず、2.5インチHDD内蔵のポータブルHDD「MiniStation Stealth USB 3.0(HD-PCTU3)」シリーズ。日本で発売済みの「HD-PCTU2」シリーズと同じボディを採用し、USB 3.0に対応。500GBと1TBの2製品が用意され、価格は500GBモデルが89.99ドル、1TBモデルが129.99ドル。

 3.5インチHDDを1台内蔵する外付けHDDの新製品が「DriveStation Axis USB 3.0(HD-LBU3)」シリーズだ。日本で発売済みの「HD-LBU2」と同じボディを採用し、USB 3.0に対応。1TBと2TBの2製品が用意され、価格は1TBモデルが99.99ドル、2TBモデルが149.99ドル。

 3.5インチHDDを2台内蔵し、RAID 0/1に対応した「DriveStation Duo USB 3.0(HD-WLU3R1)」シリーズ。こちらは、日本で既に発売されている「HD-WLU3/R1」シリーズと同等だ。2TBと4TBの2製品が用意され、価格は2TBモデルが279.99ドル、4TBモデルが459.99ドル。

 最後に、3.5インチHDDを4台内蔵し、RAID 0/5/10に対応した「DriveStation Quad USB 3.0(HD-QLU3R5)」シリーズ。日本で発売済みの「HD-QLSU2/R5」シリーズをベースに、USB 3.0に対応させたモデルだ。アクセス速度が253MB/秒と、非常に高速となっている。4TBと8TBの2製品が用意され、価格は4TBモデルが629.99ドル、8TBモデルが1199.99ドル。

 これらUBS 3.0対応外付けHDDの新モデルと同等の製品は、HD-WLU3R1シリーズを除き、日本での発売は未定となっている。

●450Mbps無線LAN対応ルーター

 ところで、日本だけでなく北米でも未発表の無線LANルーター新モデルが展示されていたので、最後にそちらも紹介しておこう。これは、3×3 MIMOによる450Mbpsでの無線LAN通信に対応した新モデルだそうだ。

 本体形状は、発売済みの「WHR-HP-G300N」に近いが、上部に3本のアンテナが取り付けられている点が大きく異なっている。現時点では、まだ型番もつけられておらず、詳しい仕様も不明。450Mbpsでの無線LAN通信も、2.4GHz帯と5GHz帯のどちら(または双方)で利用できるのかもわからない。ただ、450Mbpsでの無線LAN通信をサポートした無線LANルーターが開発されていることは間違いなく、近い将来に発表されることになるはずだ。こちらも期待して待ちたいと思う。

3×3 MIMO 450Mbpsでの無線LAN通信に対応する、無線LANルーターの未発表モデル。製品の詳しい仕様は公開されておらず、発売時期も未定だ背面には、WAN用とLAN用のポートとUSB 2.0コネクタ、機能切り替え用スイッチが用意されている

(2011年 1月 11日)

[Reported by 平澤 寿康]