【CES 2011レポート】MSI編
複数のFusionノート、Sandy Bridge関連製品を披露

会期:1月6日~9日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center/The Venetian



 

 MSIはCES開幕前のカンファレンス、CES会場内に設けられたブースにおいて、数多くの新製品を展示。上位から下位までラインナップされるSandy Brdige搭載ノート、Fusion APU搭載ノート、開発中のAndroidタブレットなど、注目製品も多い。

●3クラスに分けて提供されるSandy Brdigeノート

 MSIのSandy Bridge搭載ノートPCは、対象となる利用形態に応じて3つのシリーズに分けられる。なお、細かい仕様については未定ということでコメントを得られていない部分も多い。

 ゲーミングユースを意識した「Gシリーズ」は、性能面でワンタッチオーバークロック機能の「Turbo Drive Engine」の搭載をアピール。一部モデルにおいて世界初のDynaAudio製スピーカーを搭載した点、フルHD対応の液晶やHDMI 1.4サポートといった点も、このシリーズの特徴として挙げられている。

 中位となる「Fシリーズ」は、一般的なノートを超えた能力を持たせることを目指したシリーズで、カンファレンスではTHX TruStudio Pro Audioの搭載を強調。このほか、指紋が付きにくいコーティングなどを売りにしているという。

 作業の生産性向上を目指す「Cシリーズ」は、長時間駆動や、USB接続機器の高速充電機能をアピールしている。

 このほか、MSIが力を入れているAll-In-One(AIO)PCにおいても、さっそくSandy Bridgeを採用。搭載モデルの展示を行なっている。

最上位モデルの「GT780R」。17.3型フルHD対応の液晶に、GeForce GTX 500Mシリーズを搭載。従来のゲーマー向けノートPCからデザインも変更した「GT680R」は15.6型フルHD液晶を搭載。CPUはSandy Bridgeとなるが、GPUは一世代前のGeForce GTX 460Mとなる「GE620」は15.6型フルHD液晶、GeForce GT 540Mを搭載する
「FR720」は17.3型フルHD液晶モデル。FR720はSandy Bridge内蔵グラフィックスを利用するが、姉妹モデルのFX720ではGeForce GT 500Mシリーズを搭載する「FR620」は15.6型フルHD液晶を搭載。同じくFR620が内蔵グラフィックス、FX620がGeForce GT 500Mシリーズを搭載する「FX420」は14型1,366×768ドットの液晶を搭載。Radeon HD 6470Mを搭載する
「AE2410」はマルチタッチ対応23.6型フルHD液晶を搭載。Core i7-2630QMやCore i5-2410M、内蔵グラフィックス、GeForce GT 540MがOEM向けオプションとして用意される「AE2210」はマルチタッチ対応の21.5型フルHD液晶を搭載。デスクトップ向けのCore i5-2500Sを搭載するため、AE2410とは異なりHD Grapics 2000となる。同じくOEM向けにGeForce GT 540Mがオプションで用意される

●Brazos採用ノートPC、AIOも

 MSIでは、AMDがCES開幕直前に発表したBrazosプラットフォームを採用するノートPCやAIOも発表。ブースにおいて製品を展示している。

 プロセッサはいずれもTDP18W、1.6GHz動作のAMD E-350を採用。12型/13.3型/15.6型液晶のノートPC、20型のAIOまでを1つのプロセッサでカバーしている。グラフィックス機能はいずれも内蔵GPUを利用。

 製品の量産はすでに行なえる状態にあり、1~2カ月内には市場に並ぶだろうとしている。

「CR650」は15.6型フルHD液晶を搭載「X370」はX-Slimシリーズの製品で、13.3型の1,366×768ドット液晶を搭載。重量は1.4kg
「U270」はWindBookシリーズにラインナップされる製品で、重量は1.3kg。このクラスにもUSB3.0を搭載することをアピールしていた「AE2050」は20型液晶を搭載するAIO。やはりUSB3.0の搭載のほか、急速充電機能の装備をアピールしていた

●COMPUTEXの時より進化したAndroidタブレット

 2010年6月に行なわれたCOMPUTEX TAIPEIにおいて投入が発表された10.1型タブレットPC「Wind Pad 100」。CESのMSIブースにおいても、その一角にタブレットコーナーが設けられた。

 Windows版となる「Wind Pad 100W」は、昨年(2010年)末に量産化したとのことで、COMPUTEX時のデザインをベースにしているが、一部仕様は変わっている。Atom Z530、Intel NM10 Expressといった仕様は変わらないが、メモリが2GBへ増加し、フラッシュメモリは32GB。HDDは内蔵しない。重量800gも維持している。

 また、インターフェイスが充実したのも大きな変更点で、外部ストレージなどを繋ぐUSB、オーディオ出力、mini HDMIを装備している。一方、1,366×768ドットとしていた液晶解像度については、1,024×600ドットへと後退している。

Windows 7 Home Premium採用のスレートPC「Wind Pad 100W」外部ストレージなどを接続可能なUSBポートを装備
反対側にはヘッドフォン出力、mini HDMIを備える電源スイッチの脇には、無線LAN/Bluetoothのオン/オフスイッチを備える

 Android搭載タブレットは、COMPUTEX時には「Wind Pad 110」という製品名で紹介を受けたが、CESにおいては「Wind Pad 100A」という製品名になった。こちらは今年春の製品化を予定しているという。

 ほぼ試作機に近かったCOMPUTEX時に比べて、まずデザインのブラッシュアップを行なったとのこと。ブーススタッフからは「Wind Pad 100WはiPhone 3G、Wind Pad 100AはiPhone 4に見えないか」と問いかけられ、このあたりを意識したデザインであることをうかがわせる。ただ、これも最終仕様というわけではなく、いまは現状で未装備となっているMenu、Backなどのレイアウトを検討している段階だという。

 重量はWindows版よりやや重い850g。ただし厚みはWindows版の18.5mmに対して、14mmとより薄い。CPUはARM Cortex A8、Androidバージョンは2.2、バッテリ駆動時間は10時間としている。ストレージは、512MBの“SLC” NANDフラッシュを搭載するほか、SDカードスロットを備えている。

 独自のUIも備えており、下部にブラウザ・書籍・イメージ・ムービー・音楽などのアイコンが並び、それぞれに独自のインタフェースが提供される仕様となっている。

Android 2.2採用のタブレットPC。独自UIを提供しているディスプレイ名の白い縁取りに対し、裏面はヘアライン加工された黒い金属パネルを備える。着せ替えはできないIOポートは、フルサイズのSDカードスロット、ホストPCとの接続用USB、mini HDMI、ヘッドフォン出力を装備

●Big-Bangシリーズ最上位「MARSHAL」ほか、自作パーツの新製品

 自作パーツ関連でも、Intel P67/H67搭載マザーボードの展示が行なわれた。MSIのIntel 6シリーズチップセットマザーについては、12月のうちから一部情報が公開されている。

 MSIでは従来から「Military Class」という独自の基準でもってCPU電源周りの安定性をアピールしてきたが、Intel 6世代では「Military Class II」へと進化。VRMに用いるチョークコイルはSuper Ferrite Chokeを採用。CPUの負荷に応じて自動的に効率をスイッチできる仕組みで、従来のチョークコイルに比べて10%の電力減、30%の効率アップを果たしたという。

 また、キャパシタもVRM部には長寿命のHi-cキャパシタを採用。そのほかの部分についても固体電解キャパシタを用いている。

 このほか、ワンタッチオーバークロック機能の「OC Genie」についても機能強化が行なわれ、Turbo Boost時の規定最大クロックを超えたオーバークロックを全コアに対して適用する機能となっている。

MSIのIntel 6シリーズにおいてはMilitary Class IIという新たな基準を策定。電源効率に優れるSuper Ferrite Choke(SFC)を採用する重要なポイントにおいては固体電解キャパシタよりも長寿命のHi-cキャパシタを採用自動OC機能のOC GenieではTurbo Boostの規定最大以上のクロックを全コアに適用

 そのIntel P67搭載マザーの最上位モデルとして投入されるのが「P67A-MARSHAL」だ。ハイエンドブランドの“Big-Bangシリーズ”にラインナップされるモデルとなる。

 先述したMilitary Class IIに準拠するほか、電源供給用に8ピン端子を2基搭載、ブリッジチップを用いてのPCI Express x16×8スロット、12基のUSB 3.0といった特徴を備える。

 またBIOSは3系統となっており、これらのBIOSは相互に連携をとり、アップデート時には自動的に同期し、異常時には起動可能なBIOSから起動したうえでバックグラウンドで自動的にリカバリが行なわれるという。

Intel P67搭載の最上位モデル「P67A-MARSHAL」の特徴を示したスライドIntel P67を搭載するハイエンドマザー、P67A-MARSHAL24フェーズのDr.MOS仕様PWMを採用。SFCはヒートシンクに隠れて見えないがHi-cキャパシタは確認できる。左上には8ピン×2の電源端子
電源・リセットやOC Genieのほか、トリプルBIOSの切り替えスイッチを備えるPCI Express x16スロットを8基装備。SATA 6Gbpsは4基、USB 3.0は12基を備える「P67A-GD80」はメインストリーム系の最上位。VRMは12フェーズ。USB 3.0を10基備える
「P67A-GD65」は8フェーズVRMの製品。USB3.0は4基。下部に見える赤い端子は急速充電用USBポートのヘッダピン。他の製品でも採用される「P67A-GD55」はGD65に近い仕様の廉価版モデルとなる「P67A-C45」はPCI Express x16は1基のみのモデルとなるが、PCIスロットを3基備える特徴を持つ
Intel H67搭載の「H67MA-ED55」。10フェーズのVRMにPCI Express x16を2基備える点が特徴。ただしCrossFireやSLIへは対応しないとのこと「H67MA-E45」はIntel H67搭載の標準モデルとなる

 ビデオカードでは、オーバークロック向け仕様のデザインを採用する「Lightningシリーズ」のGeForce GTX 580搭載モデルとRadeon HD 6970搭載モデルが展示された。価格や登場時期などは未定。また、出荷時の動作クロックなども今後決定されるという。

 GeForce GTX 580が16フェーズVRM、Radeon HD 6970が18フェーズVRMとなっており、電源端子は8ピン×2に強化されている。Windows上で動作するツール「Afterburner」を用いてGPU、メモリをオーバークロックが可能。

 クーラーはいずれも90mm角ファンを2基備える「Twin Frozr III」を採用する。また基板上にはGeForce GTX 580およびRadeon HD 6970搭載モデルともにBIOS切り替えスイッチを備えている。

GeForce GTX 580搭載の「N580GTX Lightning」N580GTX Lightningの裏面。基板中央に4基のプロードライザーを備え、うち3基がGPU用、1基がメモリ用となる
同じくN580GTX Lightningの裏面。独特の基板デザインとなっており、BIOS切り替えスイッチも備えているRadeon HD 6970搭載の「R6970 Lightning」。基本的な設計は似ていたが、こちらは電源が18フェーズとなっている

(2011年 1月 11日)

[Reported by 多和田 新也]