米Intelは2日(現地時間)、Intel Architecture(IA)ベースのコアを48個集積した研究用のプロセッサ「シングルチップ・クラウド・コンピューター(SCC)」を開発した。
今回の試作では、P54C(Pentium)ベースのコア48個を、2Dメッシュのネットワークで構築した。2つのコアを1つの“タイル”としてみなし、2つのL2キャッシュと共通のメッセージバッファ/ルータを持つ。そして4つの“タイル”を1つの“島”として扱い、各々の島の電力や動作クロックをコントロールできる。さらに、この“島”を6つ組み合わせることで、48コアを実現した。
タイル間は、独自の高速ネットワークで構築され、256GB/secの転送速度と、低レイテンシで接続されるのが特徴とされる。Intelでは、クラウドデータセンターに非常に似たマルチプロセッサの構成を、この1チップで実現できるようになったため、SCCと名付けたという。
SCCの主な特徴 | “タイル”と“島”の概念 | クラウドデータセンターに似た構成を1チップで実現 |
新プロセッサでは、IAとして新しいプログラミングモデルを採用する。先述のように“島”ごとに電力とクロックが制御できるため、プログラマはタスクを実行するコアを決めることで電力の最適化が行なえる。消費電力は25W~125Wまでスケーラブルに変化するという。
また、コヒーレンシはソフトウェアで制御するようになったため、ハードウェアのキャッシュコヒーレンシ機構が省かれた。このほか、4つのDDR3メモリコントローラを内蔵するのも特徴となっている。
ハードウェアのキャッシュコヒーレンシ機構を省き、高速なデータバスを備える | 各々の“島”で消費電力と動作クロックを管理する | 新しいプログラミングモデルの採用 |
同社ではSCCを第2世代のメニイコアプロセッサとして位置付けている(第1世代はLarrabee)。現在、IntelとHP、Yahoo!による「Open Cirrus」コラボレーションの研究者は、クラウドアプリケーションを、データ集約型のJAVAソフトウェアフレームワークであるHadoopを使い移植を進めている。また、産学共同研究プロジェクトで使用するために、100個以上の実験用チップを製造する計画としている。
将来的なビジョンとしては、クライアントPCに搭載されれば、人間の視覚と同様に物体や動作を高精度で認識できるようになったり、人間の脳波を読み取り、簡単な命令を考えるだけで操作できるようになるとしている。
メニイコアが実現する新たなコンピューティング | コア数の進化に伴う利用形態の進化 |
(2009年 12月 3日)
[Reported by 劉 尭]