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社内の無駄な工数を50%も削減!統合型データ基盤「Microsoft IQ」とは
2026年9月18日 09:34
Microsoftは9月17日に日本向けの記者説明会を開催し、同社が「Microsoft IQ」として推進しているエージェント型AI向けの統合型インテリジェンス層に関する説明を行なった。
Microsoft IQは、「Microsoft 365」などに蓄積されているビジネスデータ、「Dynamics 365」や「Power BI」などに蓄積されているCRMや分析データ、「Azure」に蓄積されている各種データベース、そして世界中のWebサイトに格納されている各種のデータなどに統合的にアクセスすることを可能にする基盤になる。
Microsoft IQにより、「Microsoft 365 Copilot」、「GitHub Copilot」、そしてMicrosoft 365/「Agent 365」上で提供されるAIエージェントなどから、企業が所有するデータとインターネット上にあるデータを効率よく活用して、より便利なAIエージェント、エージェント型AIを実現する。
人間の従業員と同じ知識やコンテキストをAIエージェントが持つ必要がある
Microsoftは、生産性向上ツールのMicrosoft 365、そのAI機能であるMicrosoft 365 Copilot、クラウド型CRMのDynamics 365やクラウド型分析ツールのPower BIなどのエンタープライズ向けSaaS(Software as a Service)、AzureのようなIaaS(Infrastructure as a Service)といったエンタープライズ向けの各種ソフトウェアやサービスなどを提供している。かつてはWindowsやOfficeといったPC用のソフトウェアが事業の中心だったが、今ではエンタープライズ向けのクラウド事業が稼ぎ頭になっている。
MicrosoftのAI戦略は、Microsoft 365 Copilot、GitHub Copilo、そして、Microsoft 365やAgent 365と呼ばれるAIエージェント向けの基盤上で動作するエージェント型AI/AIエージェントなどを通じてAIの機能を顧客に提供するものだ。これにより、顧客のビジネスプロセスを変革し、顧客の収益性や生産性向上を実現するという形になる。
Microsoft Azure担当上席副社長のアルーン・ウラグ氏は「2028年には数十億を超えるAIエージェントが採用される時代になると考えている。そうした時代を見据えて、エンタープライズの顧客と会話すると、AIエージェントを従業員と同じぐらい信頼できるようにするにはどうしたらいいかという相談をよく受ける。
この観点で考えると、最も重要なことはAIエージェントにも従業員と同じだけの知識とコンテキスト(文脈)を与えていくことだといえる。我々の産業では次のAIの波はよりよいAIモデルだけではなく、よりよいコンテキストこそが重要になると考えている」と述べ、Microsoft 365を活用している人間の従業員だけでなく、AIエージェントにも、従業員がもっているような知識、その知識を支えるコンテキストを与える必要があると指摘した。
人間とAIが一緒に働く世界で必要になるデータ環境
というのも、今エンタープライズで発生しているAI革命の中では、人間とAIエージェントが一緒に働く世界観が実現しつつある。いわゆるエージェント型AIでは、AIがPCを自分で操作して、Photoshopで写真を編集して、それをPowerPointに読み込んでプレゼンのスライドを自動作成する。あるいは、それらの作業が(ソフトウェアを使わず)AIモデルの中で行なわれるかもしれない。
しかし、そうした作られたスライドが、期待していた内容にならないことも普通にある。なぜかというと、AIモデルの学習データはインターネット上にあるようなデータで、一般的な傾向を反映したスライドなら問題なく作成できるが、企業の中にだけあるノウハウや情報などは反映できないからだ。このため、企業のITリソース上にあるさまざまなデータをAIに読み込んでもらう必要がある。
同時に、AIが答えを与えるのは、その従業員が閲覧する権限があるデータに限られる必要がある。言うまでもなく、ある従業員が「うちの社長の給料」とAIに聞いて、AIがそれを答えてしまっては困るからだ。このため、エンタープライズ向けのAIにはガードレールという機能が用意されており、それによりそのユーザーに閲覧権限があるデータだけを元に答えるようになっている。
また、AIエージェントが参照する企業のITリソース上にあるデータは、決して同じ形式ではない。たとえば、文書のことを考えてみよう。エンタープライズのクラウドストレージ(Microsoftの場合にはOneDrive for Business)などにおかれている文書ファイルにはWord形式(docx)、Excel形式(xlsx)、PDF形式……など、ちょっと考えただけでも複数の形式がある。さらに画像や動画などを入れると、数限りない形式が存在することになる。人間であれば、あのファイルはどこにあるということを覚えていてすぐ探せるかもしれないが、AIエージェントがそれを探すには、そもそもメタデータなど、AIが探せる形式になっている必要がある。
Dynamics 365やPower BIなどのSaaS、さらにはAzure上で動作しているデータベースでは、それぞれ独自のフォーマットや構造をもっている。さらに、ミッションクリティカルなビジネス(金融など)を行なっている企業の中にはメインフレームを使い続けているところもあり、そのメインフレームのデータベースなどにもどうにか接続しなければならない。つまり、エンタープライズのデータ構造は非常に複雑になっており、エージェント型AI/AIエージェントに優しい環境ではないのだ。
SCSKはFabric IQの導入で原因分析の工数を約50%削減
そこで、Microsoftが投入したのが、Microsoft IQだ。
Microsoft IQは、人間のユーザーが操作するMicrosoft 365 Copilot、さらにはエージェント型AI/AIエージェントが、4つのIQのデータに効率よくアクセスすることを可能にする統合型インテリジェンス層だ。4つのIQとは、Microsoft 365のデータである「Work IQ」、CRMやBIツールのデータである「Fabric IQ」、パブリッククラウドサービスであるAzure上のデータである「Foundry IQ」、インターネット上のデータに相当する「Web IQ」を指す。
4つのIQにあるデータにAIや人間がアクセスする際は、IQがそれぞれの特性を理解して効率よくアクセスすることを可能にする。
同時に、人間やAIエージェントのアカウント(MicrosoftであればEntra ID)がアクセスできる権限をきちんと制御して、あらかじめ規定されているデータを利用して結果を返すようにするガードレールの役割も果たす。つまり、エンタープライズにとって最大の懸念であるセキュリティに対する防壁にもなる。
ウラグ氏は「Microsoft IQはこのようにエージェント型AI/AIエージェントがコンテキストを理解して動く基盤になる」と説明し、従来はAIができなかったような、企業内の機密情報にアクセスしたり、過去のノウハウの塊であるビジネス文書にアクセスしたり、Teams上の従業員同士のやりとりすら読み取り、そのコンテキストを動作に反映したりできるのがメリットだと述べた。
つまり、Microsoft IQを導入すれば、AIエージェントも、その企業の文化を理解した従業員の一人として働くことができるようになるわけだ。
「私たちが最も重視しているのはこのIQはお客さまのIQであるということだ。このIQはまさにお客さまのIP(知的財産)そのものであり、このIPをMicrosoft IQを通じて活用してもらうことで、AIエージェント、さらにいえば従業員も最大限のパフォーマンスを発揮してより高い成果を得ることができる」と述べ、これからのエージェント型AI/AIエージェント時代に向けて、Microsoft IQの導入が重要であると強調した。
実際、ウラグ氏はすでにMicrosoft IQを導入している日本の顧客としてSCSKの事例を紹介した。「以前のSCSKでは、多くの大企業と同じように、重要なビジネス情報は週次報告、月次報告、スプレッドシート、さまざまな業務システム上のデータなどに分散しており、業績の変化を把握し、その原因を理解するのが難しい状況だった。SCSKにとっての課題はデータがないことではなく、意思決定に間に合うスピードでデータ同士をつなげられないことだった。
しかし、Fabric IQを導入することで、利益率・オペレーション指標の変化に関する兆候をより早期に察知し、その要因候補を素早く把握できるようになった。業績悪化の兆候を検知するまでの時間は、数日から当日または翌営業日へと短縮され、根本原因分析にかかる工数も約50%削減された。
今のSCSKでは分断されたデータと遅れた可視性の状態から、タイムリーかつ一貫した業績理解へと移行し、より迅速で根拠のある意思決定が可能になった」とウラグ氏は説明し、異なるアプリケーションやデータベース上に散らばっているビジネスデータをそれぞれ参照するのではなく、それらをMicrosoft IQによって統合的に扱えるようになったことで、リアルタイムのデータによってより迅速な意思決定が可能になったとアピールした。
























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